表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

249/253

第二百四十四話 力とは『速度』

 一球ずつ、ひめは丁寧に玉を投げる。

 玉を拾って、しっかり握り、籠の位置を確認してから腕を振る。


 決して慌てず、かといって臆することなく集中して投じられた玉は、綺麗な弧を描いて玉入れの籠に吸い込まれていった。


 玉入れは五分間行われる。それを二試合行い、入った合計の玉の数で競い合う。

 一試合目の残り時間、あと一分。試合当初こそ焦って周囲を見渡す余裕はなかったのだが、今は少し落ち着いている。クラスメイト達の奮闘や、ひめの観察もできるくらいには、視野も広い。


(たぶん、俺より入ってるかも)


 ひめの精度が高すぎて、俺では太刀打ちできていなかった。一応、投げてはいるのだが全然入らない……球技の才能は俺にはなさそうだ。


 まぁ、だからといって手を抜いていい理由にはならない。一応、やれることはやろう。


(――よし!)


 改めて気合を入れなおして、玉を拾うために少し移動する。

 その際、ふと視界の隅に見慣れた彼女を見つけた。


(あ、聖さんだ)


 彼女の所属する四組は、俺たちの隣の籠で玉入れを行っている。

 試合前のひめとのやり取りもあって、聖さんのことはずっと意識の片隅にあった。そのせいか、ふと聖さんの様子も見てしまったのである。


 彼女はどんな感じなのだろう。

 そう思って見たのが、間違いだったのかもしれない。


「――す、すごっ」


 無意識に声が出てしまった。

 なぜなら、聖さんが凄まじい勢いで玉を投げまくっていたからである。地面に落ちている玉を拾うと同時に投げていた……ひめとは違って、一投ごとの動作が雑である。


 精度の高いひめとは比較にならない。普通に考えると、あの子の圧勝に思えるのだが……しかし、聖さんはその質を『量』で補っていたのだ。


 まるで、千手観音。

 腕が何本にも見える速度……はさすがに言いすぎだが、それに匹敵する速度で球を投げまくっていた。

 籠を見ているかどうかも怪しい。もちろん、丁寧なひめと比較したら雲泥の差だが……この玉入れをいう競技は、フォームの綺麗さを競うものではない。


 玉の入った数だけが、結果なのだ。

 故に、聖さんのやり方も決して間違いではない。むしろ、理想に近いと言っても過言ではないのかもしれない。


「とりゃー!」


 しかも、聖さんは気合も入っているみたいだ。

 少し距離があるのに、聖さんの声が聞こえてきた。いつもはおっとりしているのに……妹に負けたくないという気持ちがやっぱり強いのかもしれない。


(これは――まずいな)


 聖さんの様子を見ていたのは、ほんの数秒の出来事。

 たったそれだけなのに、嫌な予感を覚えてしまった。


 正直なところ、ひめが得意としているこの競技なら聖さんに勝てると思っていた。

 しかし、あの子は一つ一つの動きが丁寧なので、聖さんと比較すると動作が遅い。丁寧な性格だからなのか、八歳だから体力が少ないからなのか……あるいは両方のせいかもしれないが、そのせいで聖さんに数歩後れを取っているように見える。


(聖さんに、力でゴリ押しされてる……!)


 力とは、速さだ。

 単純な筋力で、ひめの技術がねじ伏せられてしまっている。


(お、俺もぼーっとしている場合じゃないっ)


 聖さんの勢いに呆然としていたが、このままだとひめだけじゃなくてクラスも負けてしまいそうだ。

 慌てて玉入れに戻ったのだが。


 やはり……結果は、惨敗だった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
球拾い係になってひたすらひめちゃんに渡すのじゃ 対決に燃えてるひめがそれを承諾するかと、ひめの体力が持つかが問題だけども
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ