第二十三話 新聞部には悪いイメージしかない
放課後。帰宅しようとしたら、新聞部の後輩女子――久守さんに話しかけられた。
「いいんすか!? 星宮さんのお話、聞かせてもらえるってすごく嬉しいっす」
「まぁ、普通の話でもいいのなら」
「普通のお話がいいんすよ! とりあえず、うちの部室に来てくださいっす……活動しているのはあたしだけなんで遠慮しなくて大丈夫っすから!」
そういうわけで、教室から新聞部の部室に移動することに。
とはいえ、案内されたのは最上階にある空き教室だった。もはや教室というよりは物置と化していて、文化祭や体育祭の時にのみ使われるような道具が多数保管されている。その隅っこに、申し訳程度に机と椅子が置かれていた。
「すみませんっす。うち、今年にできた新参部活なもので……物置しか借りれなかったっす」
「今年できたんだ……だから一人しかいないってこと?」
「そうなるっすね!」
一人にしては明るいなぁ。ハキハキとしている少女である。
敬語もクセがあるというか、下手くそというか……新聞部なのに熱血体育会系の女子みたいでちょっと面白かった。
「どうぞどうぞ、座ってくださいっす!」
「ありがとう……でも、久守さんは座らないの」
「あたしは立ってるっす! 先輩がいるのに座るなんて、とんでもないことっすから!」
「別に気にしないけど」
「えっと……中学まで厳しい部活動でしごかれてたっすから、ちょっとその時の癖が抜けないっす」
……本当に体育会系だったみたいだ。元、という枕詞がつくけれど。
よっぽど厳しい部活動だったのかもしれない。久守さんが思い出したくもないと言わんばかりの顔をしていたので、これ以上は何も聞かないでおいた。
「それで、星宮さんいついてなんすけど……いいっすか?」
「……話す前に、聞いてどうするのかだけ教えてくれる?」
さて、挨拶はほどほどに。
久守さんは本題に入りたそうにしていたが、しかしその前にちゃんと釘をさすことにした。
「ひめに迷惑がかかるようなことをするのであれば、止めるけど」
彼女は新聞部を自称していた。
大抵、こういう新聞部キャラはスクープと言って余計な尾ひれを付ける――という悪いイメージを持っている。
なので、警戒していたわけだが。
「え? そ、そんな、迷惑だなんてとんでもないっす! あの、あたし……そう思われてるんすか? ショックっす……」
……あ、あれ?
久守さんがすごく悲しそうな顔をしていた。
うーん。もしかして、俺が勝手に悪いイメージを持っているだけ?
漫画とかアニメに毒されすぎていたのかもしれない。
「この前、星宮さんが新しい発見をしてニュースになってたじゃないっすか。その件を取り上げて、ご本人にもインタビューをしたんすよ。それで記事を作っていたら、大空先輩が星宮さんと仲良くしているって噂を聞いたので、ご友人視点での彼女のお話を聞きたいなぁ――と思っただけっす」
うん。やっぱりそうだ。
久守さん、かなりいい子だ!
新聞部と言えば、尾ひれのつけたスクープ……と決めつけた自分が恥ずかしかった。
今の話だと、ひめにも事前に話を聞いていたみたいなので、不要な心配だったみたいだ。
「すみませんっす。詮索しすぎみたいっすね……」
「い、いや! 俺がちょっと被害妄想しすぎてたかもっ!」
しょぼんと俯いた久守さんを見て、罪悪感で胸が痛んだ。
新聞部がマスゴミだとは限らないようだ――。
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