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誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻


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第二百三十一話 天才幼女の新たなる才能



 時が流れるの早い。

 あっという間に、練習を開始して二週間が経過した。


 もう夏の名残など一切なくなって、むしろ冬の顔がちらほらと見えてきたこの季節。俺とひめは、今日もまた放課後になるとグラウンドに出て練習していた。


「……今日は結構な人がいます」


「みんな練習してるね」


 体育祭も近くなってきたからなのか、グラウンドではちらほらと俺たち以外の生徒が練習している姿も見かけるようになった。グラウンドも放課後の一時間は一般生徒が使用して問題ない、ということになっているらしい。


『よーへーとひめちゃんを見てなのか、れんしゅーしたいって人が増えたんだよね~。だから解放しちゃった!』


 と、この前聖さんから説明を受けた。

 そういうわけなので使用の許可はもう取らなくていいのだが、その代わりに他の生徒と共同で場所を使用するようになっている。


 まぁ、とはいっても一定の間隔が空いているので、干渉することはない。でも、玉入れなどの道具は順番に使う必要があった。ちょうど今は俺とひめが使用している。


「次の人たちを待たせないように、わたしたちも手早く練習しちゃいましょう」


「うん。そうしよう」


 相変わらず、気遣いのできる少女だ。

 ぼーっとしている時間がもったいない。そう言わんばかりに、ひめは足元に落ちていた玉を拾った。


「ていっ」


 力のない声と同時に、ひめが玉を投じる。

 お手玉みたいな、弾性のない材質の玉がふらふらとした弧を描いて……それから、スポッとかご入れに飛び込んでいった。


 実は……この二週間で、ひめの新たなる才能が一つ見つかっている。

 この子、異常に玉入れが上手いのだ。。


「やっぱり、この競技は得意かもしれません」


 本人も自覚はあるらしい。

 練習を開始した二週間前こそ、投げる筋力が足りなくて届かなかったのだが……練習して飛距離が出るようになると、面白いように綺麗に玉が入るようになったのだ。


「ひめ、投げ方が綺麗だよね」


「そうでしょうか。見様見真似で、野球選手を真似しているのですが……うまくいっているなら、良かったです」


 思い返してみると、二週間前からやけにフォームは綺麗だった気がする。


(一度見聞きしたものは忘れないから……だけじゃなくて、再現するのも得意なのかな?)


 ひめってもしかしたら、かなり器用な子なのかもしれない。

 普通は、フォームを完璧に覚えていても再現するのは難しいはずなのに。


 そう考えると、この子はテクニック的な面において優れた才能がある、ということになる。


(ひめって、体力がないだけで運動はそこまで苦手じゃないのでは?)


 まだ八歳だから、彼女は筋力の面で大きく劣る。でもそれは彼女自身の問題というよりは、年齢的に仕方ないことだ。


 つまり、今よりもさらに成長して、筋力や体力がついてきたら――運動も平均以上にはできるようになるのかもしれない。


 ……なんてことを、ひめの玉入れを見ながらぼんやりと思った。


「えいっ」


 動作は緩慢。しかし、力感のない綺麗な投げ方で玉を投じるひめ。

 動きが機敏じゃないので、連続で投げることこそしないのだが、的確に玉を入れる。


 この様子なら、玉入れは心配しなくて良さそうだ。


「陽平くん、また入りました」


「うん。すごいね、ひめ」


「はい……えへへ。運動はあまり好きじゃないのですが、陽平くんがたくさん褒めてくれるので、いいですね」


 ……それから、もう一つ。

 最近、ひめの才能が開花しているものがある。


 それは――彼女の『かわいさ』だった。

 まぁ、これにかんしては出会ったときから満開なのだが。


(体育祭……どうなるんだろ)


 ひめのがんばった姿を想像すると、ついついニヤけてしまう。

 体育祭が、楽しみだった――。

いつもお読みくださりありがとうございます!

本作二巻が4月12日に発売いたします。あと三日後です!

web版では陽平と星宮姉妹のほのぼのとしたお話を中心に書いているのですが、書籍版で彼らの『恋愛関係』を中心に物語を展開しています。

陽平とひめちゃん、聖のラブコメを書いているので、ぜひぜひお読みいただけますと嬉しいですm(__)m

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