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誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻


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第百六十話 ぷく顔ひめちゃん

 聖さん、テスト期間で体重が増えたようだ。


「ドッグトレーニング作戦、勉強のモチベーションを向上させることに効果はあったのですが……」


 俺の隣に座るひめは、紙コップに入ったオレンジジュースをストローで飲みながら、聖さんをジトっとした目で見つめている。

 その視線に耐えきれないのか、聖さんはひめから目をそらしていた。


「だって、勉強のためだから仕方ないでしょっ。頭を使ったら糖分を使うし?」


「お勉強中は良いのです。でも、お勉強が終わってもずっと食べていたのがダメなのです。お姉ちゃんは『待て』ができないのですか?」


「……い、犬扱いしないでっ。うぅ、ひめちゃんが厳しいよぉ」


 ひめの言葉は反論の余地がない正論である。

 聖さんは半泣きになりながらフライドポテトを食べていた。いや、叱られている時くらい、食べるのは控えた方がいいかと。


 というか、体重が増えたのならポテトをあげたのはまずかったかもしれない。


「聖さん、ポテト二つは食べすぎな気が……」


「え? なに?」


「いや、これ以上食べたら……」


「聞こえないなぁ。よーへーからもらったポテト、美味しいよっ。ありがとー!」


 なるほど。返す気はないのだろう。聞こえないふりをして、ポテトを美味しそうに頬張っていた。


 ……うーむ。

 正直なところ、たくさん食べる人は嫌いじゃなかったりする。気持ちの良い食べっぷりは見ていてなんか爽快だ。テレビでも、たまに大食い系の番組をやってたら見ちゃうんだよなぁ。


 なので、聖さんに対して強く出られない。

 それに今日は、聖さんが赤点を取らなかったお祝いでもあるのだ。厳しくするのはためらってしまう。


 そしてたぶん、ひめも同じような気持ちを抱いているのだろう。


「……お姉ちゃんへのお小言はこれくらいにしておきます。陽平くん、そういうことなので次からは気を付けてください」


 あるいは、食欲に溺れた聖さんに呆れているのか。

 これ以上は何も言わないことに決めたようで、俺の方に注意を促してきた。


「分かった。気を付けるよ」


「陽平くんは優しいので、お姉ちゃんを甘やかしてしまいますからね。時には厳しくしないとダメですよ」


 今度はなぜか俺が叱られていた。怒りの矛先が変わっている。

 ……こういう時に、こんなことを思うのは良くないと思うんだけど。


 叱っている時のひめが結構かわいい。

 いつもよりちょっとほっぺたが膨らんでいて、なんだか愛らしいのだ。


 そのせいでついつい、頬が緩んだ。


「むぅ。陽平くん、真剣に聞いていますか? お姉ちゃんがこのままだとぷくぷくになっちゃいますよ?」


 俺の表情が緩んでいたからだろう。

 そのせいですっかり、ひめはご機嫌斜めだった。


「ごめんごめん。そうだよね、体重は気を付けないとね」


「はい。今はまだ若いおかげで代謝も高いのですが、年を重ねると脂肪がつきやすくなってきます。その時に食欲を制御する理性がないと、後々にたいへんなことになっちゃいますからね」


 慌てて謝ったが、まだ機嫌は直りそうにない。

 ぷくーっとほっぺたを膨らませたままだった。


(いちいち、かわいいなぁ)


 笑った顔はもちろん、普段の無表情も、それから怒った顔も……ひめは全部が愛らしい。


「うふふ。ひめちゃん、フグみたいになってるよ~」


 聖さんも、ひめの怒っている顔が嫌いではないのかもしれない。

 もしかしてこの人、ひめがのぷくーっとした顔が見たくてわざと怒られているのだろうか。


「誰のせいでこうなっていると思いますか?」


「え? よーへーのせいでしょ?」


「違います。元々はお姉ちゃんのせいです……決めました。今年の夏休みは、ダイエットしましょう。わたしも手伝うので、元の体重に戻してください」


「えー!? ひ、ひどいっ。ダイエットやだぁ~!」


 ……いや、単純に聖さんがだらしないだけか――。

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