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誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻


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第百五話 両手にロリ

 子供が仲良くなるのは早い。

 いつの間にか、ひめと心陽ちゃんは打ち解けていた。


(二人とも、人と仲良くするのが上手なタイプではないのに……)


 この場にいる誰一人として社交的な人間はいない。もちろん俺も含めて、である。


 まぁ、ひめと心陽ちゃんは子供なので、一番まずいのは俺なのではないかという話はさておき。

 自分のことを棚上げにして、俺は二人のことを考えていた。


 ひめも人懐っこい性格ではないし、心陽ちゃんも人を選ぶタイプの子である。積極的で好奇心旺盛な女児だが、仲良くするのは自分が信頼した人限定らしい。


 だからこそ、二人の相性が良かったことは意外だった。

 鉢合わせになった時はどうしたものかと冷や冷やしたけれど……この感じなら二人が一緒にいても大丈夫だろう。


 まずそのことに安堵していた、そんな頃。


「よーちゃん、おかし食べたいっ」


 さっきまで俺に説教していたことなんてもう忘れたようだ。

 正座している俺に向かって、心陽ちゃんがお菓子をおねだりしてくる。


 感情に素直だなぁ。怒ったり、笑ったり、お腹が空いたり……そういうところが子供らしくて愛らしかった。心陽ちゃんはちょっとめんどくさい一面もあるけど、この自分に素直な性格は彼女のいいところだと思う。姉の嫉妬深いところや怖いところを見てきた俺からすると、心陽ちゃんなんてかわいいものだった。


「分かった。おやつにしよっか」


 幸いなことに、姉さんが菓子類は大量に購入して心陽ちゃんに持たせてくれている。ジュースもあるし、今日は奮発してくれたなぁ。なんだかんだ、急遽預けることに引け目があったのかもしれない。偶然だけど今日はひめもいるので、たくさんお菓子とジュースがあって良かった。


「あ、そういえばわたしも手土産があります。芽衣さんがクッキーを焼いてくれたので、持ってきました」


 なんと。更にお菓子が増えた。

 しかもお手製のクッキーは嬉しい。市販の菓子類とはまた違う美味しさがあるので、食べるのがすごく楽しみだ。


「めーさんってだぁれ?」


「うちのメイドさんです。お料理が上手なんです」


「メイドさん!? こはるも見てみたいっ」


「紹介しますよ。帰りにお迎えで来てくれるので、その時にお会いできると思います」


「やったー♪」


 と、子供二人が無邪気に話しているのを横目に、お菓子の準備を始めた。

 場所は……まぁこの部屋でいいか。三人だと少し狭いのだが、リビングだとクーラーが効いていないので暑いと思う。今からスイッチを入れて冷房が効くまで待つことになるし、あと母親から『電気代が高くなるでしょ』と小言をもらうのも面倒だ。


 そういうわけなので、折り畳み式のローテーブルを取り出して設置した。普段は勉強机があるので滅多に使わないのだが、あって良かった。机の上にお菓子を並べておく。


「ジュース、取って来るよ」


 二人にそう声をかけて、一階にある台所の冷蔵庫に向かった。黒い炭酸ジュースと透明の炭酸ジュース、それから口直し用のお茶と、三人分のコップ……は使い捨てのプラスチック製にしておこう。こぼしても安全なように配慮。抱えて持つのは危険なので、袋に入れてから再び二階に上がった。


 部屋に入る。するともうひめと心陽ちゃんは座っていて、お菓子の袋を開けていた。


「よーちゃん、はやくっ」


「陽平くん、こっちです」


 二人が手招きしてくれたので、促されるままに腰を下ろした。

 軽く掃除機をかけていて良かったなぁ、と思ったのも束の間。


「じゃあ、こはるはこっちね!」


「はい。わたしはこっちですね」


 ……いったい二人は、俺がいない間には何を話し合っていたのだろうか。

 まるで示し合わせたかのように二人は同じタイミングで立ち上がって……それから、唐突に俺のひざの上に座ってきた。


 右ひざにこはるちゃん。

 左ひざにひめ。


 二人のロリが、俺のひざの上にいる。


(……両手にロリだ)


 いや、そんなことを考えている場合ではないのだが。

 とりあえず、この状況が嫌ではないことは、言うまでもないことである――。

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