文化祭でたまごを探して
エッグハントとは、卵に飾り付け、卵を隠し、卵を探すゲーム。
文化祭委員がこれをやりたいと提案したところ、多数が賛成したので、渚達のクラスの文化祭の出し物はエッグハントとなった。
ルールは、1人10個の卵を飾り付けし、校内の何処かに隠す。参加者は文化祭に来た人全員で、見つけた卵の数が多い順にランクづけ。それ相応の景品が貰えると言うものだ。
渚は幼稚っぽいなと思いながらも、楽しそうと聞いた時からワクワクしており、親友の杏も幼稚っぽいと言いながら楽しそうだった。
エッグハントの準備は着実に進み、それぞれ特性の卵が出来上がる。渚は卵が可愛くなる過程が楽しくてしょうがなかった。
文化祭当日。渚達はポスター担当だったため、完全に他のクラスの出し物を見て回ることが出来た。どれも素敵で、とても楽しい時間を過ごした。
文化祭が終わり、渚達は自分達が見つけられた卵を確認する。するとお互いに8個の卵があり、2つの卵は無かったのである。
「私と勝負しない? 1時間以内にお互いの卵を見つけて多い方が勝ち。負けたらスタバで1杯奢り!」
「面白そう。乗ったわ」
どうせならもっと楽しんで文化祭を終えたいと思った渚は杏に勝負を持ち込むことに成功した。渚達はそれぞれの卵を探して別行動をする。お互いに隠しそうな場所をあたりながら卵を探したのだった。
1時間後、お互いに見つけた卵の結果はこう。
杏が1個、渚が2個と渚が勝利した。
「悔しい! 絶対共に見つけられると思ったのに」
「何処探したの?」
「体育館のカーテンとこのベンチ」
「そこまで探したのに見つからないの?」
「え?」
杏は慌ててベンチの周りを探す。そしてベンチの裏側に手をかけて卵を取った。
「これは反則でしょ。マステ使って留めてるし」
「それは杏に見つけてもらうために用意したものだから。開けてみて」
本来は参加賞として飴が入っているのだが、その中には可愛いヘアピンが入っていた。
「杏がここで話しかけてくれたから親友になれたよね。本当にありがとう」
「もう……こちらこそありがとう」
お互いにあの時の出来事を思い出し笑い合ったのだった。
「でも本物は何処に隠したの?」
杏が尋ねると、渚は手を取って移動する。移動した先は桜の木の下。そして、渚は桜の木に登り、暫くして降りてきた。
「はい、本物」
「これはさっき以上に反則よ!」
「勝ったから奢ってね」
「これは奢らないわ!」
渚は杏の見事なツッコミに笑ったのだった。
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