偽善者
ちゃっす。
「こんばんは〜」
「今何してるんですかー?」
「なにもしてねーよ放っとけ!」
ガサガサ…
「これ食べてくれませんか?」
「なに?くれるの?」
「いやーお腹空いてたくさん買ったんだけどお腹いっぱいになっちゃって…」
「ありがとうな」
..............
俺は幸太郎!社会に出て色々な経験の中である世の中の法則に気付いたんだ。
お金は持ってるやつのところに集まるし、持ってないやつはそのままそいつらに搾取され続けるってこと。
一度自分の欲を我慢して資本を作り、それに働かせて稼ぐのが常識で、ほとんどの人が分かってるけどその我慢が出来ずに使っちまう。俺も含めて
お金あるやつの定義っていうのは自分の欲を全部満たしてなおお金が余ってるやつのことな!
家、食事、服、地位、女、娯楽、好きなことして飽きたらその金はどうするか。寄付とか誰もやらないことをやってみたくなっちゃうんだろうな俺は金ないから知らんけど笑
学校を建てたり、どこかのそれっぽい団体に寄付したり、直接困ってる人にお金をあげたり……
んで、それがニュースに取り上げられて広告宣伝になって、更に資金が増えていく。これが今の世の中だ。
寄付とか偽善偽善言われてるけど結局みんな見るんだよ。
それはなぜか?
◯千万寄付とか◯億寄付とかアホじゃねーの?それの1割でも俺にくれよ!ってなるわ
妬み僻み欲、人間の汚い感情が湧いてくるところだよな。
でもみんな本当はやりたいんだよ。寄付とかしてーよ!余裕があれば!
ってことで俺は考えた。俺の資金力で(数千円)で出来る偽善で影響力が出るものってなんだろうと…
ホームレスを救おう!って俺まじ天才。
年収何億ってあるやつは俺の収入(年300万)の100倍だろ?
てことは100倍以下の収入のやつから見たら俺は羨ましい存在なわけじゃん?そいつらには俺の資金力の寄付でも絶対喜んでくれるはずじゃん!
そこで考えた。「ホームレスyoutuber」を!
まずはホームレスを探さなきゃいけないんだけど俺の住んでるところ北海道だから居ないんだよね。
てことで仕事の出張でよく見かけた東京に行ってきます!
…………
まずはホームレスのおっさんにちょっと昔に流行った嫌がらせ風に良いことをする流れを作る動画にする。
タイトルは「ホームレスに無理矢理食事させてやった」
トンネルの隅に段ボールで作られた布団?家?があった声をかける。
「こんばんは〜」
「今何してるんですかー?」
ガサガサ…
「これ食べません?」
生まれて31年、人生で初めての偽善だった。
ちょっとした優越感が溢れてくる。(300円)
...........
もぐもぐもぐ
(買ってきたパンと飲み物を食べるホームレス)
「おいしいですか?」
「あーうまいよ…」
「それは良かった。お名前なんて言うんですか?
「田中って言うんよ」
「田中さん、youtubeって知ってますか?」
「いんや知らん」
田中さんは50?くらいのおじさんで白髪が目立つ髭を生やしていた。なんでホームレスなのかとか、何年やってるのかとかそこで色々話をして自分より過酷で壮絶な人生を歩んできた人を間近に見ると今の自分がどれだけ恵まれているのか実感が湧いた。
続く…