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台本置場  作者: スミシー
2/16

ぼっちだった神様とバカな高校生とついていない魔法使い

0:とある街中

タロウ:はー、ついたついた、ようやく最初の街に到着だ。

神様:おー、謎の感動があるね。

タロウ:まぁ、スタート地点が超絶武闘派民族の縄張りだったからな。

タロウ:・・・・ハードモード過ぎない?そこら辺どう思います転送先間違えた神様?

神様:神だって失敗するものさ。過去を気にしてはいけない。

タロウ:そんなんだから友達いなかったんじゃないの?

神様:・・・・ぐすっ

タロウ:泣いたぁ!うそでしょ神様!?メンタル柔すぎない!?シロップかけたかき氷より柔いよ!

神様:・・・・・泣いてないもん

タロウ:もんとか言いだしたよ・・・あー、ごめんごめん。俺が悪かった。

神様:ぐすっ・・・・別に怒ってないけど、謝るならゆるしてあげる。

タロウ:へへー、ありがとうごぜぇやす。

神様:それで最初の街についたご感想は?

タロウ:んー、簡潔に言って

タロウ:・・・・・・最っ高!

タロウ:命の危機がないって素晴らしい!

神様:感動のポイントそこなんだ・・・

タロウ:しょうがねぇじゃん!

タロウ:豚の丸焼き一歩手前からここまで来るまでの苦労しってるだろ!

神様:確かにあれはすごかった。

神様:両手両足を棒に括り付けられながら必死のネゴシエーション、

神様:その結果、部族内の派閥争いを収めるために行う政略結婚成立のために東奔西走なんのその

神様:映画一本分の見ごたえはあったね。

タロウ:異世界にきて合コンの幹事やるとか思わなかった・・・

タロウ:獲物のしとめ方がお題の山手線ゲームって何よ?

タロウ:お題が物騒すぎるし、そもそも山手線が一切伝わらなかった

神様:そこは異世界文化だし、しょうがないさ。

タロウ:こんな異世界転生をおれは知らねぇ。

神様:なんだかんだ、最後は宴会までしてもらって、村人総出で見送りしてくれたじゃないか、主人公っぽいよ。

タロウ:宴会の時に食べた肉おいしかったなー。異世界産は一味違った。

タロウ:というか、別に悪人の集まりってわけじゃないし、お互いの文化を尊重できれば仲良くなれるって。強面が多かったけどみんないい人だったじゃん。

タロウ:旅の資金もくれたし。

神様:はぁー、これだからタロウは、

タロウ:それほめてる?けなしてる?

神様:ほめけなしてる

タロウ:知らない単語!?

神様:それで、これからどうするんだい?

タロウ:んー、ここらへんの宿と資金の確保。資金次第だけど護衛も雇いたいかな。

神様:無難だね。

タロウ:さっき、門番さんに換金所と宿を教えてもらったから、とりあえず換金所かな。

神様:そういえば、族長からなにかもらってたね。

タロウ:旅の資金とは別に餞別だって

タロウ:なんかの角らしいんだけど、売ればそれなりになるらしい。

タロウ:しばらくはこれを元手に頑張ろう

神様:それで、換金所はどこなんだい?

タロウ:もうそろそろつくと思う。

タロウ:えーと、そこの路地・・・・・

神様:どうしたんだい?

タロウ:なぁ、神様、この世界って路地裏に人が倒れてるってよくあることだったりする?

神様:んー、タロウがいた世界と比べると荒い部分もあるけど、そういうのはあまりないかな。

タロウ:ちなみに、声掛けるって言ったら止める?

神様:好きにしたらいいさ。どうなったって付き合うさ、と、ととと、友達だし

タロウ:なぜどもる

神様:ぼっち歴が長すぎた代償だから。気にしないでいいよ

タロウ:なんて悲しい代償なんだ・・・・

0:路地裏に入り倒れている人に声をかける

タロウ:おーい!大丈夫ですかー!意識ありますかー?

ソフィア:うぅ・・・・・

タロウ:おっ、意識はあるな。しゃべれますかー?なにかほしいものありますか?

ソフィア:た、

タロウ:た?

ソフィア:食べ物を・・・・・

神様:なんてベタな

タロウ:んー、干し肉でいい?

ソフィア:じ、十分です

タロウ:ほいよ、よく噛んでたべなよー。あ、水のむ?

ソフィア:もぐもぐ、ありが、もぐもぐ、とう、もぐもぐ

タロウ:いいからいいから、ゆっくり食べて

ソフィア:もぐもぐもぐもぐもぐもぐ!!

タロウ:ゆっくりっていったじゃん!!

神様:早送りの動画みたいに干し肉が消えていったね・・・

ソフィア:ぷはぁー!!ありがとうございます!!この御恩は忘れません!

タロウ:あ、じゃあさ、早速恩返ししてもらっていい?

ソフィア:え、は、はい。

タロウ:なにその微妙な反応。

ソフィア:べ、別にエロい要求されそうな雰囲気だなとか考えてないですよ!

タロウ:そんな雰囲気でてた!?

神様:・・・・タロウのスケベ

タロウ:風評被害がひどい!?

ソフィア:だ、大丈夫です。覚悟は決めました・・・

タロウ:違う違う!決めなくていいから!

ソフィア:では、いったい何を?

タロウ:道案内、この町初めてでさ、良くわかんないんだよ。

タロウ:ついでに田舎者なんで常識もないからいろいろ教えてほしい。

ソフィア:はぁ、そんなことでよければ、どこに行きたいんですか?

タロウ:換金所、あと宿、場所わかる?

ソフィア:あ、はい、わかります。ギルドの近くなんですぐそこですよ。

タロウ:ギルド?

ソフィア:あれ?ご存じないですか?冒険者総合扶助組織、通称ギルド。一応、私も所属しています。

タロウ:おー、異世界ファンタジーっぽい。

タロウ:やっぱり、モンスター退治したり?

ソフィア:そういう仕事もありますけど、私はちょっと諸事情があって魔力補充の仕事が主ですね。

神様:この世界は、タロウの世界でいう電気に代わって魔力が生活を支えているんだ。彼女の仕事は、ようは充電係だね。

タロウ:なーる、

ソフィア:私、これでも魔力量には自信がありまして、魔法学院にもいたことあるんですよ。

タロウ:ふーん。

ソフィア:あれ!?反応が薄い!?

タロウ:あー、さっきもいったけど田舎者なんでそういの疎くてさ、その魔法学院ってすごいの?

ソフィア:あ、はい、すごいですよ。魔法のエリートが集まります。

ソフィア:自分でいうとすごい恥ずかしいですね・・・・

神様:しかし、すこし気になる言い方だね。いたこともあるって、最後までいなかったみたいだ

タロウ:え、卒業してないってこと

ソフィア:な、なぜそれを・・・

タロウ:え、

ソフィア:え、

タロウ:卒業してないの?

ソフィア:う・・自爆した。はい、進級試験の中級魔法がどうしてもだめでして、退学です。

ソフィア:あ、でも初級魔法に関しては自信ありますよ!学院内では永遠の初心者とか呼ばれてましたから!・・・・・ぐすっ

タロウ:神様ぁ!!

神様:すまない、やぶへびだった

ソフィア:だ、大丈夫です。気にしないでください。もうすでに終わったことですから

ソフィア:さっ、換金所ですよね。案内します。

タロウ:あ、うん、お願い

タロウ:そういえばさ、

ソフィア:はい?

タロウ:なんで行き倒れてたん?

ソフィア:あー、まぁ、ぶっちゃけるとお金がなくてですね。

タロウ:ギャンブルで負けたりした?

ソフィア:まさか!私がギャンブルなんてしたら、その日のうちに命が亡くなりますよ!

タロウ:なんで!?

神様:すごい自信満々に悲惨なこというね

ソフィア:その・・・・・私ってすごくツイてないんです。

タロウ:はぁ・・・・・

ソフィア:いや、分かります!その微妙な反応になるのはわかるんですが聞いてください!

ソフィア:いいですか、例えばですね。魔獣を狩りに行くとするじゃないですか。

ソフィア:まず、魔獣と出会えません。

ソフィア:出会えたとしても滅茶苦茶強い特異個体だったり、異常に繁殖していて予定より大幅に増殖していたり、そして狩れたとしても高値で売れる希少な部位が駄目になったり・・・

ソフィア:ほかにもいろいろ、平均一クエスト八ついてないぐらい起こります。

タロウ:知らない単位出てきたし、割合がおかしい!

ソフィア:そして、いつしか討伐クエストを受けられなくなりました。

タロウ:え、なんで?

ソフィア:ギルドの規定に単独での狩りは禁じるってあるんです。といっても、ギルド側でパーティーを組めるように斡旋してくれるから困りはしないんですよ。通常は。

タロウ:まさか・・・・

ソフィア:そうです。私と組むと仕事にならない。

ソフィア:そんな噂、いや、事実なんですど、が広まりまして、ギルドメンバー全員から拒否られました。

タロウ:おぅ・・・・

ソフィア:ギルドの受付嬢さんからは、凄いですよ!

ソフィア:規則違反をしたわけでも人格が破綻しているわけでもないのに、討伐クエストを受けられずに、ソロ活動を強いられるなんて!こんなことギルド史上初めてです!・・・と嬉しそうに言われました。

神様:なんで受付嬢は嬉しそうなんだい?

ソフィア:まぁ、そんなわけで、ソロでも受けられる魔力補充などの報酬の少ない雑用でなんとか日々を食いつないでいたんですが、その雑用ですらついていないことが多くて、弁償やら報酬が減ったりしてほんとうにギリギリの生活を送っていました。

タロウ:あれ?生活を送れてたんだ。じゃあ、なんで行き倒れてたん?

ソフィア:全財産をいた財布を無くしました。

神様:純粋にに落ち込むやつだ、これ。

ソフィア:というわけで、なんか全部どうにでもなーれ!っていう感じで、行き倒れてました。

タロウ:はぁー、なんというか、どんまい?

ソフィア:ありがとうございます。でも、今はあなたのおかげで結構元気です!

ソフィア:あの干し肉の味は一生は忘れません。

タロウ:あー、そう?

神様:なんだ、照れてるのかい?

タロウ:うるさいぞ、神様

ソフィア:あ、つきましたよ、換金所です。

ソフィア:あそこのおじさんに話したら換金してくれますよ。

タロウ:おー、助かった。ありがとう。

ソフィア:じゃあ、ここで待ってますね。換金が終わったら宿に案内します。

タロウ:え、別に一緒でも

神様:金銭に関わることだから彼女も配慮してくれてるんじゃないかな?

タロウ:あ、なるほど。じゃあ、ちょっと待ってて。なるべく早く終わらせてくるから

ソフィア:はーい、ごゆっくり~

0:ソフィアは遠くから換金の様子を眺める

ソフィア:はぁー、しかし不思議な人ですねぇ。見た目もここら辺の人って感じしないし、服はちょっとボロボロだけど、見たこともない素材だから多分高価なものっぽいし、身体もひょろっとしている割には健康そう食事に困っていたわけでもない。

ソフィア:もしかして、家出した貴族さまだったりするのかな?

ソフィア:まぁ、なんにしろお人好しなことには違いないけど・・・

ソフィア:ああ、というか、久しぶりにありがとうって言われたな・・・

ソフィア:って、あれ、なんだか様子が・・・・換金所のおじさんがひっくり返った!?なんで!?あ、ヅラがずれて危ない感じに!

ソフィア:あ、奥さんも出てきた。カップを持ってる?ああ、お茶を用意してくれたのかな?えと、おじさんが奥さんに喋りかけて、奥さんがカップをおじさんに・・・・ぶちまけた!?もうだめだ!ヅラがワカメにしかみえない!?

タロウ:あ、お待たせー。なんか結構高額になるみたいなんで明日またきてくれだって

ソフィア:いや、尋常じゃない反応してますよ!おじさん。

タロウ:いいリアクションだよな。芸人目指せるわ。

神様:奥さんが出てきてからの二段落ちが素晴らしかった。特にヅラの配置は最高だった。

神様:将来が楽しみだね。

タロウ:なんで審査員目線なの神様?

ソフィア:げいにん?いや、それよりいったい何をみせたらそんなことに・・・?

タロウ:いや、ちょっと前にさ、近くの森の集落の人に世話になってたんだけど、そんときに族長さんに選別だって渡されたなんかの角を見せただけ。

ソフィア:角?

ソフィア:というか、この町の近くの森にある集落っていえば、強すぎて国も迂闊に手を出せないというあの集落!?

タロウ:あ、こっち基準でも強かったんだあの人たち・・・

ソフィア:やたらパワフルだったからね。知らない間に人間はここまで進化したのかと私も驚いてたよ。

ソフィア:ということは、その角は、あの森にしか生息しないドラゴンのもの?

ソフィア:族長が直々に選別として渡すのなら主レベル?え?それって、物好きな金持ちが集まる仮面オークションに出すレベルなのでは?

タロウ:カード作るからって言われたけど、何のカード?

ソフィア:ひゃぁぁぁ!!カード!!!

タロウ:え、なに、怖い

ソフィア:か、カードって!そんなの持っているのは貴族と一部の商人ぐらいですよ!

タロウ:金持ちの証なん?

ソフィア:えっとですね。資産が多いと管理も難しくなるじゃないですか?なので、国がお金を預かって、必要な時に引き出せるっていう制度がありまして、カードは証明書といいますか

タロウ:ああ、銀行的なことやってんのね。

ソフィア:理解がはやい・・・

タロウ:どこでお金下せるの?

ソフィア:主にギルドですね。国が運営していますし、ギルドメンバーに報酬を渡す場なのでそれなりの金額を管理してますから。

ソフィア:それに常に一定の戦力がたむろってますから、防衛的にも安心です。

神様:たむろっているという表現に不安を感じるのは私だけかい?

タロウ:なるほどね。じゃあ、当面は資金は安泰ってことか・・・・ラッキー。

ソフィア:えぇー、反応が軽くないですか?

タロウ:いやー、あんまり実感わかなくて。あ、次は宿に案内よろしく!

ソフィア:わかりました。わかりましたけど・・・!!誰か、私の驚きに共感して!

タロウ:はいはい、れっつごー

ソフィア:うぅ、こっちです。

0:宿に移動を始める

タロウ:そんなことよりさ、俺も魔法って使えたりする?

ソフィア:使いたいんですか?

タロウ:使いたい!

ソフィア:めっちゃいい笑顔ですね・・・

タロウ:やっぱ、異世界といったら魔法でしょ!戦士とかより魔法使い選んでたし!

神様:え、意外だね。戦士で脳筋アタックしてるイメージだったよ。

タロウ:ばっか、なめなよ。攻撃力アップのバフを積みまくって範囲攻撃連打が基本戦術だったこの俺を脳筋だと?

神様:バフをかけてるお陰か、ちょっと賢い感じがするけど結局やってることは脳筋そのものじゃないか

ソフィア:えぇと、今すぐ魔法を使うの厳しいかなぁと思います。

タロウ:え、なんで?

ソフィア:魔法って才能の世界なんですよ。

ソフィア:魔法を使うのに必要な才能はざっくり言うと、魔力保有量・限界魔力消費量・魔力操作

ソフィア:この三つですね。

タロウ:ほーほー

ソフィア:魔力保有量、これは言葉どおりどれくらいの魔力を保有しているかですね。

ソフィア:人は生きているだけである程度魔力を消費しますから、平均以上の魔力を持っていないといけません。

ソフィア:次に、限界魔力消費出量ですが、これは一度に魔力消費を身体に異常をきたなさい量のことです。

タロウ:うん?

ソフィア:例えばでね、魔力を五、消費しないといけない魔法があったとするじゃないですか。

ソフィア:だけど、その人は、一度に魔力を三しか消費できないんです。

タロウ:だから、魔力を五、消費する魔法は使えない?

ソフィア:正解です。一応抜け穴はあるんですけど、あんまりおすすめしないですね。

タロウ:ほんと才能って感じな。

ソフィア:そーなんですよ。で、最後の魔力操作なんですが、ほかの二つに比べたら、これは割と努力でなんとかなります。

タロウ:え、なっちゃうの

ソフィア:もちろん、センスがあることに越したことはないですが、さっきの二つに比べたら地道な訓練でなんとかなりますね。

神様:まぁ、さっきの二つがないと魔力操作どころじゃないから結局は才能が大事なんだってことなんだろうね。

タロウ:はー、そんもんか。

タロウ:そういえば、魔力量に自信があるっていってたけど、どれくらいあるもんなの?

ソフィア:最近計ってないので正確なものは分かりませんが、多分、この国で上から四番とか五番目だと思います。

タロウ:へー、この国で上から・・・・なんて?

ソフィア:うっ、すいません。見栄張りました。

タロウ:あ、だよね~!冗談が上手なんだから、もう!

ソフィア:ぎりぎり、十位ぐらいだと思います。

タロウ:トップテン!!全国民の中でトップテン!?

神様:嘘じゃないっぽいね。

タロウ:え、なんで!なんでそれで学院を退学になんの!?

タロウ:学院馬鹿なの!?

ソフィア:あ~、その、実はですね。自分でいうのも恥ずかしいんですが、魔力量は凄いんですけど、限界魔力消費量がしょぼくてですね

タロウ:いや、だからって、国のトップテンを放り出すとか・・・・

神様:そういえば、さっき中級魔法の試験が突破できなかったっていってなかったかい。

タロウ:ま、まさか?

ソフィア:あ、気づいちゃいました?そうなんです。私の限界魔力消費量だと初級魔法しか使えないんですよ。

ソフィア:それに、魔法の才能って割と遺伝するので、血統主義なところもありまして。庶民の突然変異な私はわりと嫌われ者だったというか・・・

タロウ:もしかして、試験でもいやがらせとか・・・・

ソフィア:いや、試験内容は公平でしたよ。そこは純粋に私の力不足です。

タロウ:なんか、意外。

ソフィア:なにがですが?

タロウ:いや、ものすごく楽しそうに話すから。

ソフィア:・・・・確かに楽しい思い出ばかりとは、言えません。

ソフィア:いやがらせ以外にも学生時代もいろいろツイてないことはありましたし。

ソフィア:だけど、助けてくれる先生も友達もいましたし、親友も出来ましたから、楽しかったですよ。

ソフィア:・・・・・うん、そうです。私は一時でも、魔法学院に在籍していたことを、友達と恩師に巡り合えたあの場所を誇りに思います。

ソフィア:それに学院を離れたからやりたいことも見つかりましたし。

タロウ:やりたいこと?

ソフィア:私、本を書きたいんです。学院の外に出て、旅をして、見た風景を、起きた出来事を、出会った人々を、旅のすべてを記したその本をいつか学院の友達にみせていうんです。

ソフィア:私は幸せだよって。

ソフィア:だから、今は旅の資金をためてる最中です。大幅に予定は狂いそうですが・・・・

ソフィア:て、あはは、なんか恥ずかしいですね。

タロウ:いや、恥ずかしくないって。俺、そういうの結構好き

ソフィア:へぁ!あ、ありがとうございます。

神様:なに口説いてるんだい

タロウ:別に口説いてないよ!?

ソフィア:や、やっぱりそういうお礼がよかったんですか?

神様:違いますけど!?

ソフィア:わかりました。覚悟はできてます。

タロウ:違うっていってるじゃん!というか、さっきから覚悟の決まり方が半端ない!

神様:潔いね。

タロウ:いいから、宿に案内して・・・

ソフィア:そ、そうですか?って、ああ、ここです。

タロウ:あ、ここなのね・・・・・なんか様子がおかしくない?

神様:なんか大騒ぎだね。

ソフィア:ちょっと聞いてきます。

0:宿に話を聴きに行く

ソフィア:なんでも泥棒が入ったとかで・・・いま憲兵と捜査中だそうです。

タロウ:今日は泊まれそうにないな・・

ソフィア:ほかのところにいってみましょうか。

0:二件目の宿

ソフィア:え、満室で部屋がない?

タロウ:おぉ、二連続

ソフィア:つ、次こそは!

0:三件目の宿

ソフィア:息子の結婚式にいくために宿を休む?

タロウ:三連続

神様:嫌な予感がしてきたよ

ソフィア:だ、大丈夫です!次は私が住み込みで働いてる宿です!確か、空室がありました。

0:四件目の宿

ソフィア:火事になって宿が壊れた?

神様:もう、奇跡だろこれ。

ソフィア:奇跡的に宿も修繕可能な範囲の被害で、誰も死んでないけど、私の部屋はピンポイントですべてが灰になった?

神様:彼女がいったいなにをしたというのか。

0:宿から少し離れた路地

タロウ:あー、その、

ソフィア:大丈夫、大丈夫。女将さんもケガしてないし、建物も保険がきく。

ソフィア:そう、これはそんなに落ち込むことじゃない。

ソフィア:前向きに捉えるんです。大したものはおいてなかった。部屋においていたお金もたいしてないし、そもそも財布をなくしたから状況は変わらない。そう現状は何も変わってない。

ソフィア:むしろ、今夜から大地のぬくもりと風邪の癒しと星空の輝きを感じながら夜を過ごせる。つまり、ノーダメージ、いや、これはプラスでは?

タロウ:目に光がないまま前向きなこと言われても怖いだけなんですけど!?

神様:心の均衡を保とうと必死だね。というか、野宿の表現が斬新すぎる。

ソフィア:す、すいません。ここまで特大の不運が連続でくるのは久しぶりだったもので・・・

神様:全財産なくして家が燃えたレベルの不運を久しぶりで済ますの怖すぎないかい・・・?

タロウ:過去の不運エピソードが気になりすぎる。

ソフィア:あ、大丈夫ですよ!あなたの部屋は確保できました!

タロウ:いや、俺の宿も大事だけどさ

ソフィア:私なら大丈夫ですよ!野宿は慣れてます!むしろ、野宿のほうが被害がでなくていい感じです。お金だってまた一から貯めますし。

タロウ:・・・・・あー、んー、よし!決めた!

タロウ:一個提案があります。

ソフィア:はい?

タロウ:俺さ、この世界を旅しようと思ってるんだ。

ソフィア:あ、私と一緒です。

タロウ:そう、だからさ、一緒にいかない?

ソフィア:へ?

神様:タロウ?

タロウ:一緒に旅にでよう。

ソフィア:あ、え、

タロウ:御覧のとおり、戦闘はからっきし、常識にも疎い、ほっといたら死んでしまうか弱い俺は、信頼できる仲間を探そうと思ってたんだ。

ソフィア:それで私ですが?

タロウ:そう。

タロウ:俺の故郷に旅は道連れ世は情けって言葉があってだな。

タロウ:ざっくりというと、旅をするなら一人より二人でいった方が楽しいぜってことなんだけど。

タロウ:まぁ、要は、カンです。はい。仲良くやっていける予感がしたから。

タロウ:ちなみに、この予感には結構自信あるぜ。

タロウ:神様のお墨付きだ。

ソフィア:で、でも、ほら、私ツイてないですし

タロウ:気にしない。それに三人ならなんとかなることも増えるって。

ソフィア:初級魔法しか使えないですし

タロウ:俺は初級魔法も使えないよ。

タロウ:あ、使えないみたいな話だったけど、時間かけたらワンチャンないかな?

神様:諦め悪いね、タロウ

タロウ:それが俺なんで

タロウ:それで、どうする?

ソフィア:でも、そんな急に

タロウ:ちなみに、護衛として雇うので報酬がでます。

ソフィア:・・・・・・・・ち、ちなみに参考までにどのくらいですか?

タロウ:ごにょごにょ

ソフィア:やります!行きましょう!!世界の果てまでついてきますよ!!

神様:ちょろい

0:宿に移動中

タロウ:ま、ということで、よろしく頼むよ。

タロウ:あ、俺はタロウ

ソフィア:そういえば、名乗ってませんでしたね。

ソフィア:私は、ソフィアといいます。

タロウ:うん、よろしくソフィア。

ソフィア:はい、よろしくお願いします。タロウさん。

ソフィア:あ、あの、せっかくなので一つ聞いていいですか?

タロウ:うん?いいよ。雇用内容に不満あった?

ソフィア:いえ、そうではなくてですね。タロウさんって神様見える系の人ですか?

タロウ:え、いや、見える系というか聞こえる系というか。

ソフィア:そ、そうですか、

ソフィア:ちなみに持っているだけで運気があがるツボだったりブレスレットを持ってたりします?

タロウ:ないけど。なにその怪しい宗教みたいなの・・・・

ソフィア:じゃ、じゃあ、思い切って聞きますけど、一体誰と喋っているんですか?

タロウ:そりゃあ、神様と・・・・・・

タロウ:ちょ、ちょっと待って、もしかして聞こえてない。

ソフィア:タロウさんは見えないお友達がいる感じの人なんですね。

ソフィア:はい、大丈夫です。それでも私たちが仲間なことには変わりません。

ソフィア:もう一人じゃないですよ。

タロウ:慰めに入らないで!?

タロウ:神様!?神様の声って俺にしか聞こえてないの!?

神様:そうだよ

タロウ:かるい!え、なんで!?

神様:いや、そういう願いだったじゃないか。

神様:まぁ、能力が馴染んできたらタロウ以外の人とも話せるようになるかもしれないけど、今はタロウにしか声は聞こえてないよ

タロウ:なんで教えてくれなかったの!?おれ、一人で喋って騒いでる怖い人じゃん。

神様:いや、気づいている上でわざとかと。

タロウ:そんなわけないじゃん!っは!そういえば、集落の人もたまにひそひそされてた気がする!

タロウ:あれ!集落の英雄的なことじゃなくて、不審者としてひそひそされてた!?

タロウ:もしかして、最後の宴でも集落から出ていくことを喜ばれてた?

タロウ:集落での思い出が変わってくるぞ!?

神様:そうだね。今まさに、目の前で怯えてる少女がいるね。

タロウ:っは!

ソフィア:だ、大丈夫です。仲間ですから。信じますよ。神様がいるんですよね。

タロウ:そ、ソフィアぁ・・・・

ソフィア:あ、でも、壺とかブレスレットは買いませんから

タロウ:ソフィア・・・・・

神様:まったく、信じられてないね。

タロウ:というか、そんな怪しいやつのいうことよく信じたな。

ソフィア:まぁ、命の恩人ですし、お金もくれますし、なにより、あれです。

ソフィア:旅は道連れ世は情けってやつです。

神様:やられたね、タロウ。

タロウ:うるさいぞ、神様。

タロウ:はぁ、改めてよろしく

ソフィア:はい、よろしくお願いします。

タロウ:あ、ちなみに今晩の宿は、相部屋になるけどいい?

ソフィア:やっぱり、そういうお礼がよかったんですね!?

タロウ:違う!!!!


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