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台本置場  作者: スミシー
14/16

月明かりに照らされて

サン:「世界を救った俺たちを祝うパーティーなのに、こんなところでポツンとどうしたんだ?」

ツキミ:「別に、月を見てただけ」

サン:「本日の主役がどうしたよ?みんな待ってるぜ?」

ツキミ:「それをいうならあんたもでしょ。

ツキミ:王子なんだからあたしよりみんなあんたと話したいでしょ」

サン:「いやいや、異世界の聖女様の方が注目度高いって」

ツキミ:「それやめてよ、ガラじゃないっての」

サン:「だよな。俺が王子ってぐらい似合ってない」

ツキミ:「いや、言葉遣いはともかく、あんたはその無駄にいい外見は王子っぽいよ」

サン:「この面のせいで散々苦労したがな」

ツキミ:「というか、王子ってなによ。

ツキミ:あんた最初しがない傭兵だとかいってたじゃない」

サン:「別に嘘じゃねぇよ。王位継承権は最下位だし、ほぼ絶縁状態だったから、王家の支援とかなんもないから自力で稼いでたし」

ツキミ:「だから、初対面の時装備がぼろかったのね」

サン:「うるせぇよ」

ツキミ:「しかも、その無駄にいい顔のせいで、パーティー組むと必ず内輪揉めが発生するとかバカみたいな理由で強制ソロとかほんと笑える」

サン:「笑い事じゃねぇよ。女はともかく男もやってくんだぞ?」

ツキミ:「あっはっはっは」

サン:「笑ってんじゃねぇよ!」

ツキミ:「初対面かぁ・・・・ずいぶん遠くまで来たわぁ」

サン:「あー、そうだな。

サン:てか、初対面は結構ひどい出逢いだったよな」

ツキミ:「いや、ごめんて。

ツキミ:転移初日だったからさぁ、割とテンパってたんよ」

サン:「分からんでもないが、森で見つけたから保護しようと声かけたら、初手金的だぞ?

サン:あやうく、子孫繁栄の道が閉ざされるところだった」

ツキミ:「あたしの世界では、怪しい男を見たらとりあえず金的入れて、逃げるもんなの」

サン:「なんて怖い世界だ」

ツキミ:「・・・いろいろあったねぇ。

ツキミ:いや、まじでいろいろあったわ」

サン:「だいたいお前のせいだろ」

ツキミ:「あたしは悪くない!厄介ごとが向こうからやってくるんだ」

サン:「はいはい」

ツキミ:「そのおかげで、仲間も増えたからいいじゃない」

サン:「それはそうだな。まさかパーティーを組めるとは思わなかった」

ツキミ:「まぁ、パーティーバランスは最悪だったけど」

サン:「傭兵、聖女、行商人、手品師」

ツキミ:「いや、どう考えても世界とか救えないだろ、これ」

サン:「救えちゃったんだよなぁ、これが」

ツキミ:「いま考えても頭おかしい。

ツキミ:このパーティー構成がこの世界でのスタンダードなの?」

サン:「んなわけない」

ツキミ:「戦闘職があんた一人ってどういうことよ。

ツキミ:なんで生きてんの?死ぬの?」

サン:「死なねぇよ。死にかけたけど」

ツキミ:「これが世界の標準になったらどうしよ」

サン:「しらんがな

サン:・・・・・そういえば、旅の間も月を眺めることが多かったよな

サン:思い入れでもあんのか?」

ツキミ:「そんな見てた?」

サン:「見てた見てた」

ツキミ:「あー、あたしの名前さ、月が美しいって意味なのよ」

サン:「ほーん」

ツキミ:「興味もてや」

サン:「あるある、めっちゃ興味ある。

サン:名前に関係してるから見てたん?」

ツキミ:「はぁ、えーと。なにから話すかな

ツキミ:あたしの両親は、本が好きで、特にある作家の熱烈なファンだったの

ツキミ:で、その作家が、愛してるを月が綺麗ですねって言い換えたって話があんの」

サン:「なんで言い換えたんだ?」

ツキミ:「細かいところにつっこむな

ツキミ:・・・・まぁ、つまり、あたしの名前には両親の愛が詰まってるって話よ」

サン:「あー、その・・・」

ツキミ:「いいよ、今更気を使わなくても。

ツキミ:我ながら女々しいとは思うけどね。

ツキミ:帰れもしない世界の思い出に浸ってるとかさ」

サン:「いいじゃねぇか」

ツキミ:「サン?」

サン:「普通だろ、そんなん。

サン:故郷を思って何が悪い。家族を思い出して何が悪い」

ツキミ:「・・・・あんがと」

サン:「別に礼をいわれることじゃねぇよ」

ツキミ:「サン」

サン:「んだよ」

ツキミ:「あたしさ、この世界も結構好き。

ツキミ:失ったものもあるけどさ、手に入れたものもある。

ツキミ:だから、大丈夫」

サン:「そーかい」

ツキミ:「そーなのですよ。

ツキミ:と、我がパーティーのオカン担当が呼んでる。

ツキミ:ほら、いこ」

サン:「なぁ、ツキミ」

ツキミ:「んー?」

サン:「月が綺麗だな」

ツキミ:「あんた、それ・・・・

ツキミ:ふふ、あー、そうね、あたしもそう思う」


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