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台本置場  作者: スミシー
12/16

サンタクロース

0:とあるラーメン屋



ユキ:あー!美味しいー!!ラーメンってなんでこんなに美味しいんだろ?

ルドルフ:中国四千年の歴史が詰まってるからではないでしょうか。それよりも、マスター一日の摂取カロリーが大変なことになっているのですが・・・

ユキ:いやいや、そんなことないって。まだ全然食べてないでしょ?

ルドルフ:チャーハン、餃子、小籠包、ラーメン、替え玉三杯・・・

ユキ:おっちゃん、替え玉お願い!

ルドルフ:失礼、替え玉四杯ですね。

ユキ:えー、大丈夫だって。

ルドルフ:先日も似たような発言をされていましたが、後日しっかりと後悔していたと記録しております。

ユキ:・・・・・ヤバいかな?

ルドルフ:ええ、鬼ヤバいかと

ユキ:うーん・・・・・・・・・・ラスト、ラスト一杯だから許して!

ルドルフ:・・・・・一杯だけですよ

ユキ:やったー!さすが私のトナカイだね!



0:

0:(店に男が入ってくる)

0:



ニコラウス:・・・相変わらず、ご主人に甘いね、ルドルフ

ユキ:ん?おー!ニコじゃん!!久しぶり!!ほらほら、こっちに座りなよ!!

ニコラウス:久しぶりだね、ユキ。元気そうで何より

ユキ:元気元気。私はいつだって元気だよ!ニコは相変わらずイケメンだね!センも久しぶり!

ヴィクセン:お久しぶりッス、ユキ様!ユキ様も変わらず、いえ、もっとかわいくなったッスね!!ルドルフも久しぶりッス!

ルドルフ:ええ、久しぶりです、ヴィクセン。ニコ様もご壮健のようで。

ニコラウス:ありがとう、ルドルフ。

ニコラウス:ああ、そうだ。さっきの話なんだけど、あまりユキを甘やかさないように頼むよ。僕たちの職務上太るのは、割と問題だからね・・・・・いや、イメージ上だと問題ないのかな?

ヴィクセン:代表的なイメージは、小太りのおっさんッスからね・・・だとしても、ユキ様には今のナイスバディを維持して貰いたいッス!

ニコラウス:おじさんっぽいよ、ヴィクセン。

ヴィクセン:すいませんッス!でも、あのナイスバディが崩れるのは人類にとって損失ッス!

ユキ:ええー、て、照れるなぁ!ま、まぁ。確かに?ナイスバディ?ですけど!!

ルドルフ:ニコラウス様、ヴィクセン、心配には及びません。マスターには後程、ルドルフ・ブートキャンプを実施してもらう予定でしたので

ユキ:なにそれ!?

ニコラウス:ああ、ならいいや。

ユキ:ならいい!?

ヴィクセン:あれをするッスか・・・・・ユキ様、ご愁傷さまッス。

ユキ:死ぬの!?

ニコラウス:ま、挨拶はこれぐらいで、紹介したい人がいるんだ。さ、入ってきて。




0:少女が入ってくる




リリー:は、初めまして!!現在、ニコラウス様の元で・・・・・・

ユキ:ね、嘘だよね、ルドルフ、そんことしないよね・・・・・・・・・ちょ、ルドルフさん!?返事して!?

ヴィクセン:ユキ様ユキ様、カムバックッス。リリー様がおろおろしてるッス。

ユキ:え?わっ!!めっちゃ可愛い子がいる!ちょっとニコ!どうしたの!・・・・・・まさか!?

ニコラウス:違うから・・・・いったん、落ち着いて

ユキ:えへへ、ごめんごめん。久しぶりに会えたからテンション上がっちゃって

ニコラウス:まったく、取り敢えず自己紹介しよう。

ユキ:はいはい!私からやる!!ユキです!サンタクロースやってます!相棒のトナカイはルドルフっていいます!よろしく!

ルドルフ:よろしくお願いします。

ニコラウス:じゃあ、ついでに僕も。ニコラウスだ。ユキと同じサンタクロースをやっている。相棒のトナカイはヴィクセン。

ヴィクセン:よろしくッス

リリー:なんでニコラウス様まで・・・・??じゃなくて、は、初めまして!現在ニコラウス様の元で研修を行っている見習いのリリーと言います。

リリー:今回の任務に同行させていただくことになりました。足を引っ張らないように精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!

ユキ:よろしくー!・・・・任務?

ニコラウス:知らないのかい?連絡がいっているはずなんだけど。

ヴィクセン:記録にも残ってるッス。

ユキ:えーと、ルドルフ?

ルドルフ:ええ、届いておりますし、マスターにお伝えしました。

ユキ:え、覚えてないんだけど・・・

ヴィクセン:でも、ユキ様ちゃんと集合場所に来てるッスよ?

ユキ:いや、ルドルフがどうしてもこの店に来たいっていうから

リリー:ルドルフさんは食事できないのに、ラーメン勧めることに違和感はなかったんですか?

ユキ:ラーメンの気分なのかなって・・

リリー:AIがどうしたらラーメンの気分になるんですか!?

ヴィクセン:たまになるッス。

リリー:なるんですか!?

ニコラウス:ヴィクセン、あまりからかわないように。それで、ルドルフ。真相は?

ルドルフ:お伝えした際、酔っぱらっておりましたので、忘却されている可能性を考え、この店に誘導しました。

ルドルフ:あとは・・・・ニコラウス様との久しぶりの再会ですので、ちょっとしたサプライズをと

リリー:・・・・・ルドルフさん、お茶目ですね。

ニコラウス:まぁ、いつも通りだね。それじゃあ、任務の話をしようか。

ユキ:はーい。というか、サンタクロース二人がかりなんて珍しいね。

ニコラウス:それだけ面倒くさい家なんだ。ヴィクセン、映像を頼む。

ヴィクセン:かしこまりッス。

ニコラウス:では、リリーには復習も兼ねて説明をたのもうか。

リリー:え、ここでですか?




0:リリーは店主のおっちゃんを気にするように視線を動かす




ニコラウス:ん?ああ、大丈夫だよ。ここはジンジャークッキーが経営しているからね。貸し切りだし、店主のおっちゃんもジンジャーさんの一員だよ。

ユキ:おっちゃん、ラーメン美味しかったよ!!




0:おっちゃんが手をあげて応えた




ニコラウス:というわけで、説明を頼むよ。大丈夫、落ち着いていつも通りやってくれたらいい。

リリー:は、はい、頑張ります。

ユキ:まーまー、そんなに硬くならないで。ほら、スマイルスマーイル。

リリー:す、すまーいる?

ユキ:そそ、いい笑顔!それじゃあ、説明お願いします!

リリー:ふふ、はい、ヴィクセンさん、よろしくお願いします。

ヴィクセン:任せるッス。守りたいその笑顔・・!!




0:壁に映像が投射される




リリー:あ、ありがとうございます。・・・・・・今回の対象者は、根津景子さん、八歳、女の子です。

ユキ:ん?んんん~~~??なんか聞いたことある気がする・・・・・ルドルフわかる?

ルドルフ:今朝のニュースではないでしょうか?警察のガサ入れの様子が放送されていましたから。

ユキ:ああ!それだ!・・・・・・ヤクザじゃん!!

リリー:そうです。今回の対象者は関東一帯を取り仕切るヤクザの元締めの一人娘です。

ユキ:うそーん

リリー:本当です。根津景子さんの父親で、根津組の親分である根津恭介は、根っからの西洋嫌いで有名です。特に、クリスマスというイベントを蛇蝎のごとく嫌っています。

ヴィクセン:クリスマスの警備は特に厳重ッス。絶対にサンタクロースを内に入れないという意思を感じるッス。

ユキ:えー、大変そうー。というか、景子ちゃんもサンタ嫌いになってない?サンタが行って嫌な思いしない?

リリー:その点は大丈夫です。

ユキ:なんで?

リリー:根津景子さんからの手紙が届いたからです。

ユキ:手紙?

ニコラウス:ああ、手紙だよ。ここに現物があるから読んでみて。




0:ユキが手紙を読む




リリー:ニコラウス様!?その手紙は本部に保管されているはずでは!?

ニコラウス:ヴィクセンが頑張ってくれたよ。

ヴィクセン:頑張ったッス。いや~、流石に本部のセキュリティはすごかったですけど、頑張ったッス。・・・・・・頑張ったッス!!

ニコラウス:すごいすごい。僕のトナカイは最高だ。

ヴィクセン:むふーッス。

リリー:た、確かにすごいですけど!そうじゃなくて、なんでそんなことしたんですか?任務発生の経緯なんて、私たちがやることに影響はないじゃないですか・・・・

ニコラウス:んー、そうだね。リリーが言っていることは間違いじゃないよ。組織に属している以上、指令に対して余計な詮索はしない方がいい。

リリー:じゃあ、どうしてですか?

ニコラウス:この方が成功率が上がると判断したからだよ。




0:ニコラウスがユキを一瞥する




ニコラウス:僕たちは赤の他人の幸せを願うバカの集まりだけど、

ニコラウス:やっぱり、顔の知らない誰かより、顔を知ってる、名前を知ってる、願いを知っている、そんな誰かの方が気合が入るってもんなのさ。

リリー:それは、正しいのですか?

ニコラウス:さぁ?分からない。けど、それでもいいさ。僕たちは完璧じゃない、不完全な人間なんだから。

リリー:・・・・・・・・・




0:ユキが手紙を読み終わる




ユキ:・・・・・・・・ん

ニコラウス:どう?気合入った?

ユキ:バッチリ。相変わらず私の扱い方分かってるねー

ニコラウス:長い付き合いだからね

ユキ:よっしゃ、リリーちゃん。現在分かってる情報頂戴。

リリー:は、はい。ニコラウス様の指示で、組員の数、人間関係、当日の表の警備のタイムテーブルは、把握済みです。

リリー:ですが、屋敷内部の情報は、不自然なぐらいありませんでした。おそらく、意図的に消されています。

ユキ:うーん、ルドルフ。今朝のガサ入れのニュースの映像残ってる?

ルドルフ:すべての局の映像を確保しております。

ユキ:ん、屋敷の映像から大まかでいいから屋敷の図面割り出せる?あるなら、過去の映像とかも参考にして、あと警察内部のジンジャーさんの証言も集めといて

ルドルフ:やってみます。建築、防犯系のジンジャークッキーに裏も取っておきます。

ユキ:お願い。センは、組員に関する情報の精度を高めて“種”を仕込めそうな人間をピックアップしといて

ヴィクセン:了解ッス。腕がなるッスねぇ~

ユキ:ニコとリリーちゃんと私で大筋の台本作ろっか・・・・ってどったのリリーちゃん?意見あるなら大歓迎だけど・・・

リリー:え、いや、その、なんというか・・・・

ニコラウス:急にスイッチが入った姿見て、驚いてたんだろう。大丈夫、中身は変わってないよ、能天気なお人好しなまま。

ユキ:褒めてる?ねぇ、それ褒めてる?

ニコラウス:褒めてる。ユキは、スイッチのオンオフのギャップがすごいからね。初めての見る人はたいてい驚いているから、リリーも気にしなくていい。

ユキ:それ、よく言われるけどそんなに変わってるかなぁ?

ルドルフ:マスターはいつも変わらず素敵ですよ。

ヴィクセン:スイッチ入ったユキ様はイケメンになるッス!

ユキ:ニコ!トナカイ達ののこの素直な声を見習ってよ!

ニコラウス:すてきすてき

ユキ:心がこもってない!

ニコラウス:おっちゃん、餃子一つ

ユキ:わーい!

リリー:それでいいんですか、ユキさん!?

ヴィクセン:かわいいユキ様に戻ったッス

ユキ:うまうま・・・・・それでどうしよっか?リリーちゃん研修なんでしょ?どっちを経験させたいの?

ニコラウス:せっかくユキと一緒だから、ユキと一緒に潜入を経験させたいかな。

ユキ:りょーかい。じゃ、ニコはサポートお願いね。リリーちゃんよろしくね~。

ニコラウス:任された。リリーをよろしく頼むよ。

ユキ:そだ、リリーちゃん、ソリを使ったことある?

リリー:一応、訓練学校で使ったことはありますが・・・

ユキ:多分、今回使うことになるから、あとで練習しようっか。ルドルフ:チューニングお願いね。

ルドルフ:かしこまりました。

リリー:分かりました・・・ソリ、苦手なんだよなぁ。

ニコラウス:心配しなくていいよ。ユキはソリの扱いはサンタクロースの中でもトップクラスなんだ。非公式だけど、歴代トップの記録をだしたこともあるしね。

リリー:す、凄いです。

ユキ:あ~、あれはまぐれに近いから忘れてほしいんだけどね。・・・・・・・さて、それじゃあ、ぼちぼち移動しときますか

ニコラウス:変なとこで謙虚だよね。・・・・ヴィクセン、車を頼むよ。

ヴィクセン:了解ッス!久しぶりのドライブッス!

ユキ:そういえば、リリーちゃんこの手紙読んだ?

リリー:いえ、読んだことはありません。

ユキ:じゃ、読んどいて。・・・・・おっちゃんご馳走様!!またくるねー!




0:店をでる




ユキ:あ、そーだ。ルドルフ、天気ってどんな感じ?

ルドルフ:三割ほどですが、雪が降る可能性があります。

リリー:雪、ですか?今日の予報は終日晴れだったと思いますけど・・・

ユキ:今日じゃなくて、クリスマスのことだよ。初めてのクリスマスなら、ホワイトクリスマスだとさらに嬉しいじゃん。




0:移動中リリーは手紙を読む




リリー:サンタクロースさんへ、

リリー:初めて手紙を書きます。私の家はクリスマスをしないので、正しい方法がよくわかりません。失礼なことだったらごめんなさい。

リリー:突然ですけど、サンタクロースさんにお願いがあります。最近、お父さんも後藤のおいちゃんも田中のお兄ちゃんもあまり笑ってくれません。

リリー:サンタクロースさんは人を幸せにするためにプレゼントをしていると聞きました。だから、お願いです。サンタクロースさん。

リリー:お父さんたちにプレゼントをください。私は、もうずっと貰えなくていいので、お父さんたちが笑顔になるプレゼントをください。

リリー:よろしくお願いします。根津景子より




0:時は経ち、実行当日




ニコラウス:さて、準備はいいかい?

リリー:はい!だ、大丈夫です。

ヴィクセン:リリー様、がちがちッス。

ルドルフ:リリー様、スマイルです、

リリー:そ、そうでした。す、すまーいる。

ユキ:うんうん、いい笑顔!大丈夫!何とかなるし、何とかするから!先輩サンタクロースに任せなさい!

ニコラウス:これは頼もしいね・・・・・・決行前に大事なこと伝えたいんだ。

ユキ:え、今?・・・・わかった、打ち上げはあのラーメン屋ってことでしょ!

ニコラウス:用意しておくけど、それじゃないよ。

リリー:いったい何でしょうか?

ニコラウス:さっき、根津景子さんのSNSが更新されてね・・・・・・・・・・“サンタさん、来てくれるかなぁ”だそうだ。

ユキ:ああ、確かにそれは大事・・・・・・・・・・必ず、届けるとも




0:曇天の下、笑顔をと共に最後に呟かれた言葉は、雪に解けるようにささやかで、リリーは聞き取れなかった。けれど、その微笑みは、リリーが志したサンタクロースそのものだった。




ユキ:ニコ!セン!サポートよろしく!

ニコラウス:ああ、ユキもリリーもルドルフも気を付けて。

ヴィクセン:武運を祈ってるッス!

ユキ:ルドルフ!準備はいい?

ルドルフ:ええ、いつでも。

ユキ:リリーちゃんも頼りにしてるよ!

リリー:はい!頑張ります!

ユキ:よっし!それじゃあ、優しい子供に幸せを届けにいきますか!


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