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台本置場  作者: スミシー
10/16

ポンコツ商人と優しい少女

0:森の中

商人:これはあれだな、うん・・・・迷った!

商人:どこで間違えたかなー?やっぱ、地図をなくしてやけくそで、そこら辺の樹の棒に未来を託したのがいけなかったか・・・

商人:明らかに道なき道を示していたのになぜ信じたよ、俺。おかげで絶賛森の中を迷子だよ。

商人:せめて、森を抜けられたらなぁ・・・・・ん?ってあれは人影?

商人:やった!ついてる!おーい!ちょっといいかい

お嬢さん:誰!!

商人:そこのひちょう!!

商人:ま、まままて、待つんだ、お嬢さん!

商人:刃物はダメ、人に向けちゃダメ!!

商人:死んじゃう!?俺が死んじゃう!?

お嬢さん:うるさい!!

商人:ひぃん!!

お嬢さん:あんた誰よ!

商人:迷子の商人です!助けてください!

お嬢さん:っは?

商人:なんて冷たい目をするんだお嬢さん!?

お嬢さん:そういう冗談いいから、あんた何者?

商人:いや、本当にただの迷子の商人なのですが・・

お嬢さん:嘘よ!!

商人:えぇー

お嬢さん:こんな危険な森にわざわざ入る商人がいるわけないじゃない!

お嬢さん:そんなのよっぽどのバカでアホなやつしかいないわよ!!

商人:ふぐぅ!

お嬢さん:・・・え、ホント?ホントのホントに商人なの?

商人:はいぃ、バカでアホで間抜けでグズでドジな商人でございまするぅ!

お嬢さん:そこまで言ってないわよ!

商人:え、というか、危険な森?

お嬢さん:まさか知らないの?

商人:知らないといえば嘘になる

お嬢さん:素直に知らないって言えないの?

お嬢さん:はぁ、信じられない。ここは国が危険区域に指定している森よ。自殺志願者か密猟者しかこないわ

商人:なにそれこわい

お嬢さん:危険に見合ったアイテムは手に入るけど、好き好んでくるやつはバカしかいないわ。

商人:じゃあ、お嬢さんも・・・

お嬢さん:憐みの目でみるな!私は正規の手続きを踏んでここにいるの!不法侵入のあんたと一緒にしないで!

商人:へぇ、不法侵入の俺と違って正規の・・・・え、俺、不法侵入なの?

お嬢さん:ここは国が管理しているんだから、そうなるに決まってるでしょ。というか、どうやって入ったのよ。普通は入れないのに。

商人:どうって言われましても・・・

商人:普通に歩いてとしか言いようがないんですけど

お嬢さん:やっぱり、怪しい・・

商人:まって!今から商人だって証明するから!

お嬢さん:証明?

商人:えーと、ほらこれ見て

お嬢さん:なにこれ?イヤリング?

商人:普通のイヤリングじゃありませんよ!これを付けると動物の声が聞こえるんです!

お嬢さん:へー、凄いじゃない!

商人:ええ、前にご購入いただいたお客様からは、二度と肉が食えなくなったと涙がらに言われたベジタリアンになりたい人におすすめの一品です!

お嬢さん:トラウマになってる!?

商人:むむ、あまり芳しくないですね、次はこの眼鏡!これは、透視ができるんです!

お嬢さん:ご、ごくり・・・・だ、だめよ、そんなの

商人:内臓までぐっすり

お嬢さん:見え過ぎよ!

商人:これもダメか、ならばこれ!異性にもてる香水です!

お嬢さん:期待するな、私っ!

商人:動物や昆虫も含みます!新しい扉を開く人がいるとかいないとか!

お嬢さん:ほらね!

商人:まだ、俺が商人だと信じてもらえませんか?

お嬢さん:なんで信じてもらえると思ったの・・・?

お嬢さん:むしろ、商人であってほしくないわ。なんでそんな品物を取り扱ってるのよ?

商人:え、欲しくないですか?

お嬢さん:いらないわよ!

商人:おかしいなぁ・・・?

お嬢さん:はぁ、もういいわ。

お嬢さん:一応聞くけど、魔獣に襲われた場合、対処できる?

商人:無理です!

お嬢さん:すがすがしいくらいの即答ね

商人:どうしたんです?変な顔して?

お嬢さん:面倒くさいって顔してんの

お嬢さん:いい?ポンコツ商人

商人:ひどい!

お嬢さん:あんたには二つの選択肢がある。

お嬢さん:私についてきて馬車馬のように働いて森を抜けるか、一人でさまよって魔獣に食い殺されるか?

商人:実質一択では・・・・?

お嬢さん:じゃあ、決定ね。ほら、行くわよ!

商人:あ、ちょ、待ってくださいよ~

お嬢さん:時間がないの!きびきび行くわよ!

商人:いや、行くってどこに?

お嬢さん:私は、ここに薬の材料の採取に来てるの。

商人:どれくらいあるんです?

お嬢さん:この紙に書いてあるやつ全部

商人:ひぇっ・・・

0:ダイジェスト風に

お嬢さん:よし、着いた。ポンコツ、キノコ狩りよ。きびきび動きなさい

商人:あ、ポンコツで呼び方固定ですか・・・

お嬢さん:文句ある?

商人:ないでーす。あ、これうまそう・・・・あ、身体がしびれる!!

お嬢さん:念のために言っておくけど、食べないようにね。毒キノコとか普通にある・・・・・ポンコツぅ!?

お嬢さん:次は魚よ。川に入って魚を追い込みなさい。滑りやすいから・・

商人:ぶくぶくぶく・・・

お嬢さん:どうしてこんな浅い川で溺れてるのよ!?

お嬢さん:次は花よ。食人植物も多いから気を付けて・・・

商人:へー、こういうのとか?

お嬢さん:そうそう、そういう・・・・なんで飲み込まれかけてるのにそんな冷静なの!?

0:ダイジェスト終わり

お嬢さん:はぁはぁはぁ、予想以上に疲れたけど、なぜか想定より早いペースで進んでる。

商人:俺のおかげですね!

お嬢さん:ぐぬぬ、認めたくなけど、事実なのが悔しい。けど、助かってるからありがとう

商人:おっふ

お嬢さん:照れんな!

商人:んん!そういえばなんでこの薬が必要で?

お嬢さん:あー、別に隠したいわけでもないし。いいよ、教えてあげる。

お嬢さん:私さ、弟がいて、ルシアンっていうんだけど、そのルシアンが結構ヤバい病気でさ。しかも、薬は高いし希少だしで全然手に入らない訳よ。

お嬢さん:それでも、どうにかしたくてさ。なんとか薬を作るツテは手に入ったんだけどね。肝心の材料がなくて、だから、直接取りに来た。

商人:命を懸けて?

お嬢さん:別にそんなに大袈裟なものでもないでしょ。大切な家族が死にそうで、私にはそれをどうにか出来るかもしれない。だったら、答えなんて決まってる。

商人:ははは

お嬢さん:む!何よ!どうせバカだって思ってるんでしょ!

商人:いやいや、お嬢さんは、優しいなと思って

お嬢さん:な、なによ、急に

商人:見ず知らずの俺を助けてくれるし、弟さんのこともそうだ。

商人:俺、優しい人って好きだ。尊敬する。

お嬢さん:あんた、そんな真面目な顔して何言ってんの?また毒キノコでも食べた?

商人:辛辣ぅ!!

お嬢さん:ほら、いいから、さっさと進むわよ!次で最後なんだから!

商人:はーい、えーと、最後の材料は・・・・・

商人:え、まじで

お嬢さん:まじよ。最後に必要なものは、ドラゴンの鱗よ

商人:死んじゃうよ!

お嬢さん:なんとかなるわよ!・・・・・ちょうどいい囮も出来たし

商人:囮って言いました!?

お嬢さん:気のせい気のせい。ドラゴンが狩りに行っている間に巣に落ちているやつを拾うだけだから、大丈夫よ。

商人:万が一拾っている最中に戻ってきたら・・・

お嬢さん:あんたのことは忘れないわ

商人:囮にされた!?

お嬢さん:一分くらいは

商人:すぐに忘れられてるし!

お嬢さん:冗談よ。ああ、それと、ドラゴンの巣に早く着けばつくほどあんたが囮になる確率は減るけど?

商人:すぐ行こう

お嬢さん:相変わらず切り替えが早いわね・・・

0:ドラゴンの巣の中

商人:お嬢さん、お嬢さん。確かに俺はドラゴンが狩りにいくために巣を出るのを見ました。

お嬢さん:ええ、私も見たわ

商人:じゃあ、なんで巣の中にドラゴンがいるのでしょか?

お嬢さん:奥さんじゃないの?。

商人:やばくないですか?

お嬢さん:やばいわね。

商人:いやぁー!死にたくないよー!

お嬢さん:ばっ、静かにしなさい!大丈夫よ!むしろ寝ている今がチャンスよ!というか、私も番がいるなんて知らなかったからめちゃくちゃテンパってるわ!

商人:お嬢さん、そんな冷静に思考できてるのにテンパってるのは無理がありますって!

お嬢さん:いいから、さくっと終わらせてさくっと帰るわよ!

商人:あーい、ってなんだこれ、服?

お嬢さん:は?服なんてあるわけ・・・・

商人:お嬢さん?

お嬢さん:ポンコツ、今すぐ逃げなさい。なるべく静かに、出来るだけ早く

商人:へ?いや、でも、鱗ももうすぐ集まりますし

お嬢さん:その服は、おそらく密猟者のもの!そして、食われた!しかも、ごく最近!人は魔力の塊で、最高のごちそう!

商人:えっと、つまり

お嬢さん:こいつらは人の匂い覚えている!私たちに気づかないはずがない!これは罠よ!

商人:お嬢さん、危ない!!

お嬢さん:っと!狸寝入りはお終いってこと!?

お嬢さん:・・・・仕方ない、か

お嬢さん:・・・ポンコツ!この荷物もって早く逃げて!東にまっすぐ!そこに人がいる筈だから、その人に材料渡して!大丈夫!ドラゴンの鱗の匂いビビッて魔獣に襲ってこない!

商人:お嬢さんは!?

お嬢さん:足止めがいる!死ぬ気はないわ!!

商人:でも!!

お嬢さん:お願い!弟の命がかかってるの!

商人:あーもー!お嬢さん!これ!

お嬢さん:なにこれ?指輪?

商人:お守り!絶対つけて!すぐ戻る!

0:商人は去り、少女はドラゴンに立ち向かう

お嬢さん:はぁはぁはぁ、ここまでくればそれなりに時間も稼げるでしょ

お嬢さん:というか、戻ってきたってなにも出来ないだろうに・・・・やっぱりポンコツよね

お嬢さん:ドラゴンとの戦闘なんて想定外もいいとこだわ。まぁ、あのポンコツとの出会いも想定外だし・・・

お嬢さん:って、ああそっか、密猟者の侵入経路をそのままはいってきたのね、あのポンコツ。ついてるんだか、ついてないんだか

お嬢さん:はは、ついてないよねぇ。しかも、実質見捨てろなんて、嫌なこと頼んじゃったし。気にしないと良いんだけど。

お嬢さん:まぁ、ちゃんとやってくれるでしょ

お嬢さん:・・・おねえちゃんさ、頑張ったんだよ?だから、ルシアン、あんたは元気になって幸せになって。

お嬢さん:・・・・・・・・・・・・・・

お嬢さん:・・・・・・・・・・・・・・

お嬢さん:・・・・・・・・・ああ、でも、死にたくないぁ

商人:お嬢さぁぁぁぁぁぁああああん!!!

お嬢さん:はっ?

商人:よかったぁぁぁぁぁ!!間に合った!!って、怪我してる血が出てる!!ああ、ごめん!!遅かった!!

お嬢さん:へ、あ、いや・・・・へ?

商人:ああ、でも生きててよかったぁ・・

お嬢さん:あんた、いま、なにしたの?

商人:これで殴っただけだよ?

お嬢さん:なにそれ?

商人:ハエたたきです

お嬢さん:ドラゴンが吹っ飛んだんだけど?

商人:オリハルコン製で衝撃が、えーと、千倍?とかになるハエたたきです。たたいたハエは消滅しますし叩きつけた壁や床も粉砕されます

お嬢さん:ハエに対する殺意が高すぎる・・

お嬢さん:というか、来るのも早いし場所だってどうやって分かったの?かなり離れた場所にきたのに・・

商人:早かったのはこのブーツのおかげですね。これ、地面を滑るように移動できるんです。走るより断然早いですよ。ただし、何かにぶつからないと止まれないし、直進しかできませんが。ここに来るまでに何度か樹にぶつかりました。

お嬢さん:だから、そんなにボロボロなのね・・

商人:あと、巣を出た後、すぐに戻ったからですね

お嬢さん:あれは大事な材料なのよ!ここは魔獣も多い、目を離したらすぐに魔獣食べられてしまうわ!!

商人:お、落ち着いて!!大丈夫ですから!それにお嬢さんが言ったんですよ!ドラゴンの鱗の気配がするから魔獣が襲ってこないって

お嬢さん:あ・・・

商人:それにちゃんと魔道具も使って隠しましたし、

お嬢さん:あぁ・・・

商人:ちょっ!なんでいきなり絶望してるんですか!?

お嬢さん:だって、あんたの魔道具でしょ・・・それって、そういうことじゃない。

商人:失礼な!それに隠すのに使ってるのは師匠から譲られたやつですよ!大丈夫に決まってるじゃないですか!

お嬢さん:それなら・・・・いや、でもなぁ

商人:大丈夫ですって。あと、場所が分かったのは、あれです、指輪ですよ、指輪。

お嬢さん:あ、別れ際に渡された・・・

商人:それ、対になっていて一つ持ってるともう片方の場所がわかるんですよ!

お嬢さん:だから・・

商人:前にご購入したお客様は、ストーカーでしょっぴかれてましたけど

お嬢さん:やっぱりあったわね、ポンコツ要素・・・

お嬢さん:って、のんきに話している場合じゃ

商人:あっと、そうですね。お嬢さん失礼します。

お嬢さん:え、ひゃぁ!

商人:少し揺れますけどそれはご勘弁ということで!

お嬢さん:ちょっ、これ、お姫様抱っこ

商人:黙ってないと舌噛みますよ~

お嬢さん:~~~~~~バカっ!

0:無事に逃げ切る

商人:いやぁー、危なかったですねぇ!命も荷物も無事でよかった。

お嬢さん:・・・・ねぇ、あんたどうして戻ってきたのよ?

商人:へ?

お嬢さん:いくらポンコツな魔道具があるからって、危険なことには変わりないし、あの状況なら逃げるのが普通よ。命を懸ける理由なんてないじゃない。

商人:そんな大袈裟なことじゃないですよ。大切な友達が死にそうで、俺は、それをどうにかできるかもしれない。なら、答えは一つです。

お嬢さん:ってあんたそれ・・

商人:ですよね?

お嬢さん:あー、はいはいそうですね。

商人:お、もうすぐ森を抜けれそうですよ!

お嬢さん:そうみたいね

商人:あれ?どうしたんです、立ち止まって?

お嬢さん:・・・・・・ルーシィ

商人:ん?

お嬢さん:だから!ルーシィ!私の名前!友達なんでしょ私たち!それなら名前ぐらい知っておきなさいよ!

商人:ああ、そりゃそうですね。

商人:俺は、ジーク。よろしく、ルーシィ。

お嬢さん:よろしくジーク

お嬢さん:・・・・・・助けてくれてありがとう。


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