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台本置場  作者: スミシー
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ぼっちな神様とバカな高校生


タロウ:・・・・・・うぅん、ふあー、ねむ。ってか、知らない天井?いや、天井ねぇな。なにこれ、超白い。一面白い。神様の部屋っぽい。

タロウ:いや、違う、そうじゃない・・・・・・・ここどこだ!?

タロウ:まてまてまて、えーと、俺の最後の記憶は・・・・・・

タロウ:そうだ、下校中だった。おばあちゃんが持ってた重そうな荷物を家まで運んで、外国人の道案内をして、迷子の子供を交番に届けて・・・・ここまではいつも通りだな。

神様:・・・・君、お人好しすぎない?

タロウ:いや、だって気づいちゃったんだから、仕方ないだろ・・・・・って、だれ!?

神様:やぁ、ぐっすりだったね。

タロウ:・・・・・えぇー、白い世界で白い球体が喋ってる。めっちゃわかりづらい、境界どこ・・・・?

神様:ん?なら・・・・・これでどうだい?

タロウ:わー、気が付いたら、白い世界は、気持ち良い青空と草原に変わっていました・・・・・・うん、これは夢ですね。

神様:夢じゃないよ?

タロウ:うるせー!こんなの夢に決まってんだろ!というか、何、気軽に世界作り変えてんの!?普通、ここは背景が変わるんじゃなくて美少女に変身!とかが定番だろ!なぜ球体のままだよ。俺の深層心理!?

神様:特に理由はないけど

タロウ:ガッテム!

神様:本題に戻っていい?

タロウ:あー、はいはい、お願いしますー。

神様:露骨に拗ねたね・・・いや、別にいいけどさ。ああ、えっと、本題ね本題。簡潔にいうと君は死にました。

タロウ:りありー?

神様:りありー。それで普通は、そのまま世界の循環に運ばれて、新しい生を与えられる、まぁ俗にいう輪廻転生というやつだね。命は巡るのさ。

タロウ:あの、その言い方だと、俺は普通じゃないように聞こえるんですけど?

神様:普通じゃないからね。

タロウ:嫌な予感がするから寝ていい?

神様:寝てもいいけど、多分そのまま消滅するよ?

タロウ:はっはっはっ!何を言って・・・・うぉぉぉぉぉぉ、足が消えかかってるぅ!?

神様:で、続きだけど。君は、君のいた世界の循環から外れて、世界と世界の狭間、私の管理するこの領域に迷い込んでしまったわけ。

神様:ここは、君のような魂が耐えれるような場所ではないからね。長時間いると消滅してしまうのさ。

タロウ:俺がいうのもなんだけど、冷静ですね!

神様:まぁ、迷い込むのは君が初めてというわけでもないからね。

タロウ:え、先輩がいたんですか。ち、ちなみになんですけど、そ、その先輩方は、一体どうなったんですか・・・・・?

神様:・・・・・・・・・ははっ

タロウ:愛想笑いで誤魔化すなぁ!!教えて!いや、でも、消滅してたら怖いからやっぱり聞きたくない!

神様:君は一人で楽しいね・・・・大丈夫だよ。君の先人たちは誰も消滅してないから。

タロウ:よく考えたら聞いても聞かなくても地獄では・・・・・・なんて?

神様:だから、誰も消滅してないって言ったんだ。

タロウ:りありー?

神様:りありー・・・・君をどうにかする手段があるから声をかけたんだよ。私は、助けられるもの助ける主義なんだ。

タロウ:ありがとうございますぅ!あなた様は命の恩人です!靴でも拭きましょうか!?あ、靴はいてねぇ!!

神様:すごいへりくだってきたね。というか、納得したの?

タロウ:あー、喋ってたらなんとなく思い出した。俺、死んでたわ。

神様:す、すごいさっぱりしてるね。先人たちはある程度取り乱してたけど・・・

タロウ:んー?なんだろう?多分、即死だったから特に痛い思いもしてないし、実感が薄いんだと思う。いや、死んだ実感ってのも変な話だけど。

神様:そういうものだろうか?

神様:ごほん、それで、助かる手段なんだけど、ずばり、異世界転生だ。

タロウ:・・・・・

神様:あれ?反応が薄いね。先輩方は狂喜乱舞してたんだけど。

タロウ:やったぁぁぁぁぁぁぁ!!

神様:噛みしめてるパターンだったかぁ。

タロウ:あれでしょ!チート貰って異世界ハーレムってやつでしょ!ラノベで読んだ!

神様:あー、うん、そうだね。面倒くさいからそれでいいや。

タロウ:チート貰えるんですか!?

神様:チートかどうかは分からないけど、能力はあげるよ。

タロウ:いやっほぅぅぅぅ!!!

神様:希望があるならなるべく聞くけど?

タロウ:えー、どうしよかなー?ここは、封印していた黒歴史ノートの中身を再現するか?いや、死にたくなるな。あー、迷う!?

神様:あ、そーいえば、君はなんで死んだんだい?

タロウ:え、死因?・・・・・・まさか死因を聞かれる日がくるとは思ってもみなかったな

タロウ:・・・・ええと、笑わない?

神様:前振りにしか聞こえないけど、いいよ。約束する。笑わない。

タロウ:・・・・・・・んだ。

神様:え?

タロウ:だーかーらー!バナナの皮ですっころんで死んだの!!

神様:まったまた~・・・・・・・・・え、本当?

タロウ:まじです・・・・・・・・・待って、聞いて、そんな目で見ないで、いや、目がどこにあるかわかんないけど、呆れているのは雰囲気でわかるぞ!

神様:いやいや、君の知識を共有してるからわかるけど、あれでしょ、創作の話でしょ。

タロウ:違いますぅ。正確には、工事現場で、鉄骨の落下事故に巻き込まれた、が正しいけど。

神様:どこにバナナが出てくる要素があるんだい?

タロウ:えっと、工事現場に猫がいてさ。

神様:うんうん。

タロウ:それで、上で鉄骨が落ちそうなのが見えて、猫を逃がそうとして抱えた瞬間に鉄骨が落ちてきて。

神様:ほうほう。

タロウ:ギリギリ落下範囲から逃げるあと一歩のところで、バナナの皮を踏んですっころんで、鉄骨の下敷きになって死んだ。

神様:なんで?なんで、そこでバナナの皮がでてくるんだい?

タロウ:さぁ?誰かのおやつじゃないの?あ、でも、安心していいぞ。コケる瞬間に猫は、思いっきり投げ飛ばしたから、多分、無事だ!!

神様:おやつって、というか、死んでも猫の心配って・・・・・・・・・・わかった。君、バカだろ。そして、お人好し。

タロウ:おう!自他ともに認めるバカなお人好し、それが俺!

神様:・・・・なんでそんなに胸張れるのさ。悪口の類いでしょ。バカって。

タロウ:いいんだ。俺はバカで。

神様:賢かったらもっと生きられたかもしれないのに。

タロウ:かもしれない。確かに、親不孝でごめん、とか、いろいろ謝りたい人はいるけど。

タロウ:それでも、俺は、何度同じ場面に遭遇しても必ず同じことをする。ま、次があるならうまくやりたいけど。

神様:なんでさ?なんでそこまで・・・

タロウ:そんなに深い理由なんねぇよ。困っている人がいた、泣きそうな人がいた、死にそうな命があった、そんで、俺にも出来ることがあった。だから、動いた。

タロウ:そんな単純な人間なんだ。俺ってやつは。

神様:何回も言ってるけど、もう一回言うよ。君はやっぱりバカだ・・・・・・・

神様:でも、まぁ、そーゆーの、嫌いじゃないよ。

タロウ:お、デレた!

神様:デレてない!

タロウ:ははは、あ、っていうか、今更だけど、自己紹介してなかったな。俺、太郎っていうんだ。よろしく!

神様:本当に今更だね・・・私には特定の名前はないんだけど、そうだな、君たち風にいうなら神様というやつだ。よろしく、タロウ。

タロウ:りありー?

神様:りありー、君これ好きだね。

タロウ:え、嘘、神様?神様ってあれじゃないの?ひげもじゃのおじいちゃんか超絶美少女の二択じゃないの?

神様:なにその偏った二択。

タロウ:俺の故郷での定番だな。

神様:しばらく見ないうちにそんなことに・・・

タロウ:これが人類の進歩だ!

神様:嫌な進歩だね・・・

タロウ:・・・・・・・・うーん。

神様:?どうしたんだい?

タロウ:いや、神様ってもっとお堅いイメージだったんだけど、なんか人間っぽいなって思って。

神様:あー、それ逆だよ、逆。君たち人間が神に似てきたんだ。

タロウ:え、そうなの?

神様:そうなんだよ。そもそも、私が世界を創った理由は、そこにあるんだ。

神様:・・・・・・・・私はね、神を創りたいんだ。

タロウ:なにそれすごい

神様:だろう。まぁ、正確に言うなら神様レベルの強度をもった魂を創りたいってことなんだけどね。

タロウ:はー、さっぱりわからん。けど、なんでまたそんなこと?

タロウ:・・・・・・あ、わかった。ぼっちなんだろ!

タロウ:・・・・な~んちゃって

神様:ぼっちですけど。

タロウ:っえ

神様:ぼっちですけど。なにか?

タロウ:あ、ええと、ごめんなさい?

神様:よろしい。言葉には気をつけなさい。

タロウ:いや、でも、なんで?

神様:言葉には注意を払うのです。

タロウ:ちがくて、なんで創るなんて発想になったんだ?

タロウ:こう、ほかの神様と交流とかの方が簡単じゃないか?

神様:ほかの神様なんていないんだ。

タロウ:え、

神様:もしかしたら存在しているのかもしれないけど、私はね、意識が芽生えてから今の今まで、私と同種の存在に出会ったことがないんだ。

タロウ:え、それは、

神様:なに、心配するな。家族のようなものはいる。まぁ、私の力を分け与えた存在だから実質一人みたいなものだが。

タロウ:年齢イコールぼっち・・・・だと!?

神様:君は、シリアスな空気を維持できないのかい?

タロウ:無理!

神様:素直でいいね。こんちくしょう!

タロウ:いいじゃん。シリアスよりコメディーでいこうぜ!それに、あれだ、今日はぼっち卒業記念日だからな。楽しくいこう。

神様:え、それは・・・

タロウ:俺と友達になろう、神様。

タロウ:俺たち結構仲良くなれると思うぜ!

神様:え、いや、あ、えと、その・・・・・・・

タロウ:・・・・嫌か?

神様:嫌じゃない!!・・・・ですけど。

タロウ:じゃ!友達だ。よろしく、神様。

神様:う、うん、よろしく。

神様:・・・・・・・なにこれ、夢?

タロウ:さっきの俺みたいなこと言ってんな。現実だよ。現実。

神様:そうだよね。現実だ・・・・・・やった!友達が出来た!

タロウ:うんうん。

神様:ぼっち脱却も現実だし、タロウの体が胸まで消えかかってるのも現実だ!

タロウ:そうそう、俺の体が胸まで消えかか・・・・ん?

神様:ん?

タロウ:ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!忘れてたぁぁぁぁ!!え、なにこれ!どうしよう!というか、体ほとんどないのにどうやって立ってんの!?

神様:お、おおおお、落ち着くんだ、タロウ!早く能力を決めるんだ。すぐに異世界に送るから!

タロウ:お、おおう!えーと、えーと!!・・・・・あれ?

神様:どうしたんだい、タロウ!早く決めないと!

タロウ:いや、そうなんだけど・・・・異世界にいったら神様ともう二度と会えなくない?

神様:・・・・・・・・・っあ

タロウ:しまったぁぁぁ!え、どうしよう!?

神様:友達ができて数分でぼっちに戻る・・・・・ははっ、さすが、私だ。これからはぼっちのプロと名乗ることにしよう。

タロウ:ネガティブ!?神様、意外と打たれ弱いな!

タロウ:・・・・・・そうだ!?能力!いつでも会える能力とか!?

神様:今は、特別な処理をしてるから大丈夫だけど、生身で私と会うと、多分、肉体が完全に消滅するよ?

タロウ:なし!今の取り消し!じゃあ、あれだ!電話!

神様:電話?

タロウ:こう、どれだけ離れていても会話できる能力!これならどうだ!?

神様:多分、大丈夫だけど・・・

神様:本当にいいのかい?能力は一つだけだよ?あとで、変えられない。

タロウ:いいんだよ!考えてもみろ!これは言わば、そう!神との対話だぞ!かっこいいじゃん!

タロウ:気にすんな!俺が神様と話したいからやるんだ!絶対に後悔なんてしない!!

神様:ああもう、君ってやつは・・・!!

タロウ:あああああああああ、やばいやばいやばい!!!もう頭しかない!?生首状態!?

タロウ:はやく!はやく送って!

神様:最後まで騒がしいね!?ほら!いくよ!

タロウ:じゃあな!神様!またあ・・・・

神様:・・・・・・・・・・・まったく、締まらないね。ああ、でも、なんだか君らしい気がするよ。

神様:この空間をこんなにさみし・・・・

タロウ:神様~~~~~~~!!!!!!!聞こえる~~~~!!

神様:聞こえる!聞こえてるけど!早いよ!余韻を楽しむ暇もない!

タロウ:た~す~け~て~!!!!

神様:へっ?

タロウ:知らん森に飛ばされて!知らない民族に追いかけられてるんですけど!!!

神様:え、いや、そんな筈は、ちゃんとそれなりに栄えた人里に・・・あ

タロウ:あ、っていった!?今、あ、って言った!?

神様:いや、その、慌ててたから、座標を、その~、ちょっとね。

タロウ:間違えたの!?

神様:てへぺろ?

タロウ:か~み~さ~ま~!!

神様:ごめーん!!

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