六話 よろしくの握手
「んんっ」
「起きたかしら」
灯は起きたばかりの女子に話しかける。
しかし灯を無視して周囲を確認すると俺の方を向く。
「ありがとうございます、私の名前は藤川雪那です」
藤川さんがそう言う。
「なぜ俺の方に向かってなんだ?」
普通の人は灯の方に向かって言うはずなのに。
疑問に思ってしまう、なぜ俺なのか?ゾンビは灯が倒したはずだ。
「いえ、普段はなにがあっても周りの人を助けない人がここにいるんですよ、ならそういうことですよ」
確かに俺は普段から助けていない、それはメリットがないからであるからだ。
しかし現在は俺が灯と行動していることに気がつき、俺が間接的に助けたことにも気付いているようだ。
「へぇー、そうなんだ」
灯が藤川さんに笑顔で言う。
笑っていない笑顔って怖いよね。
「無視してごめんなさい」
藤川さんは灯が考えていることを読もうとしたのか無視したことに謝る。
「そうではないわ、藤川だっけ?私達と一緒に来なさい」
「え?」
藤川さんは驚いている。
薄々予想していた。またここにゾンビがくるのは時間の問題だ。
あとここの主であるジェイソン型ゾンビが藤川さんに気付いて襲ってくるかもしれない。
俺達のメリットは戦力の強化と悪いが身代わりとしても使えることだ。
後者はもしもの場合のみだ。
藤川さんからしたら俺達についてきた方が生存する確率が高いと考えているだろう。
「わかりました、これからよろしくお願いします」
藤川さんは灯に握手を求める。
「よろしくね」
灯も握手をする。
そして数秒すると外す。
「では行きましょう、創お願い」
「おいおい、他人任せかよ」
「仕方ないでしょ、この中で一番強いのは創だし、あとリーダーだから」
「はいはい」
藤川さんはクスッと笑顔になる。
俺は見て見ぬふりをして図書室から出て行く。
後ろから二人がついてくる。
まだこの学校に生存者が生き残っているかわからないがこの階にはいないことは確かだがどうやってジェイソン型ゾンビを倒そうか?
中々難しいことだ。だって一度見ているから分かるが場の状況さえ揃えばタイマンで勝てるがこの学校という狭いところとゾンビがウロウロしている中で戦うのは得策ではない。
素の力ではあっちに軍配が上がるだろうが俺のこの力があれば勝てるのだ。
俺の予想でしかないがジェイソン型ゾンビは元々は人だった考えている。
なぜなら人らしく知能を使っていることだ。
本能的に行動しているゾンビは見つけたら襲ってくるだけだがそんなことはしていない。
まるで考えがあるかのような感じだ。
そう考えている間にも俺は銃を発砲してゾンビを倒して一個下の階に降りる。
さて生存者を探そう。