二話 屋上へ逃げる
「よし、では出席を取る」
そう担任は言っているときに、
ガン!
勢いよく戸が開いて、何かが入ってくる。
「え」
バキバキ!
ジェイソンの仮面を上半分だけつけた腐敗臭がし、ボロボロの服からはみ出している皮膚は腐って醜い生き物が担任を食べて咀嚼音が鳴る。
俺を含めてみんなはなにが起こっているのか混乱してさらに驚愕をしている。
そうしていると食べ終わったのかこちら側を向く。
「に、逃げろー!」
そう誰かが言い、急いでクラスを出て行く。みんなも釣られて出て行く。
俺もはっとして逃げる。大体の人は下の階から逃げようとしているが俺は屋上に向かうことにした。
下の階からうめき声が聞こえてくる。
ご愁傷様です。
「はぁはぁ」
屋上に来ると意識して呼吸をする。逃げてくる際に無駄に体力を使って走って逃げてきた。
すると屋上の戸が開かれるが、見たことがある人が来た。
「創」
「どうした?未琴葉?」
未琴葉が来ていたのだ。
それにしてもこんな生き物は映画でしか見たことはない。
「ゾンビか」
そういうことになる。しかしまだ突然のことでパニックになってしまいこんな馬鹿げた考えに辿り着いているかもしれない。だが実際に担任が食われたことは本当だからこの説は否定しきれない。
「私もそう思うで、なんで創は屋上に来たの?」
未琴葉は俺の考えに同意し、なぜこんなところに逃げたのか不思議に思っているみたいだ。
簡単だろ、俺はあのジェイソンみたいゾンビがこの学校の主だと考えている。それなら安置を探すしかないのだがあのジェイソン型のゾンビの体型が関係している。
「あのジェイソン型のゾンビはこの屋上への戸には小さくてここに来ることはできないからだ」
「なるほど」
ジェイソン型のゾンビは体型も映画とかで見るジェイソンと同じく少し太っているので教室の戸より小さいので俺がジェイソン型のゾンビを見た限りでは屋上の戸には入らないのだ。
ここからなんとかしてこの学校から脱出しなければならないのだがその前にやるべきことがある。
スマホをポケットから取り出して電話をかける。
「なんだ?」
すぐに通話できた。これならよし。
「父さん、俺は作造家なんて継がないから自由にさせてもらうよ」
俺は短くそう言い、電話を切った。これで自由に動ける。言っておかないともしもの時に家を助けろとか言われた嫌だからな。
そしてどうやら俺と血の繋がりがある一応の親である父も気づいているみたいだ。この異変に。
電話している時に、父の方からなにかのうめき声が聞こえた。それは先程この学校で聞いたゾンビと思わしきうめき声と一致している。
「創!後ろ!」
未琴葉が言っているので後ろ、つまり屋上の戸側に向くと、俺に飛びかかってくるゾンビが居た。