表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女の転生譚  作者: 枯
2/3

1.誕生

「*」は場面転換です。

一番上のシーンは主人公が胎児の時。

二番目は、主人公が産まれて半年くらい?

三番目は二歳の時です。


前世の記憶ないです。


後書きに補足説明みたいなの入れました。

 からだの周りがピリピリする。ぴりぴり。


 なんだ、これ。


 下の方にでっかいぴりぴりするのがあるぞ。


 横の方にもあった。


 手を向けてみる。


 手がぽかぽかした。


 あ、わたしの中にもちいさなぴりぴりするのがある。


 わたしの中のそれから、もっと小さいやつがながれてくるのを感じる。


 わたしの、ちいさいな。


 おおきくしたい。


 どうしたらおおきくなるのかな。


 下の方のやつはすいこめるかな。


 すう。すう。


 できない。


 横のやつはどうかな。


 すう。すう。


 できない。


 わたしのやつ、全然おおきくできないや。


 こんなちいさなやつ、いらない!


 だしちゃえ!えい……あっ。


 すぴー。


 すぴー。すぴー。すぴー………


 はっ。


 いけないいけない。


 わたしのちいさいやつを出そうとおもったら、ねちゃったみたい。


 あれ、わたしのやつおおきくなってる!


 だしたらこうかんしてもらえるのかな。


 もっとだしちゃえ!えい……あっ。


 すぴー。


 *


「おめでとう、元気な女の子だ!」


 わたしを持ちあげるなにかから、なにか音がきこえた。


「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」


 おぎゃあ。


 何かの前に降ろされた。


 それに触ってみる。


 あっ。


 下にあったはずのあれが、目の前にある。どうして?


「おお、お前に似て可愛いじゃないか」


 今度は横にあったあれが上に来た。どうして?


 でも、これ、暖かいな。


「でも、貴方に似て凛々しいわ」


 目の前の、下にあったあれの持ち主は、わたしを触ってくる。


 前は横にあって今は上にあるそれの持ち主も、わたしを触ってくる。


 これ、安心する。


 気が抜けちゃう。


 あっ…すぴー。


 *


 色々わかった。


 下にあったあれの持ち主は、ママ。


 横にあったあれの持ち主は、パパ。


 ママは、おっぱいを飲ませてくれる。おむつも替えてくれる。


 パパは、ママよりもおむつを替えてくれる。


 あと、どっちも一緒に寝てる。


 時々、私が寝るちょっと前に、パパはママを抱っこして揺さぶる。


 それと、おむつにうんちした時は気持ち悪い。うん。


 パパとママは、色んな物を口に入れる。


 茶色い平べったいやつとか、緑のやつとか、赤のやつとか。


 ママはそれを作るんだけど、作る度に、ママのとこから強くビリビリ感じる。


 まあ、私の方が強いやつ持ってるから、泣かないけどね。


 だけど、余りにも不思議だから、ママが作る時は大体じっと見つめてる。


「リリカ、気になるの?」


 ママは私に話しかける時、「リリカ」って言う。


 私はリリカなんだな、って思ってる。


「近くで見てみる?」


 ママが言う。


 するとママは、私を持ち上げて、肩にかけてる布で私を包む。


 私は、ママが作ってるとこを見ることにした。


「♪〜」


 ママが歌ってる。


 ママが何かを作る時は、絶対にこれを歌うのだ。


 ママが白いごつごつしたやつと、オレンジの細長いやつと、赤い平べったいやつを切る。


 ママは、それを、飴色の丸いやつが入ってる入れ物に入れる。


 すると、じゅーって音がする。


 ママは、それをかき混ぜる。ずっと。


 私が眠たくなってきた頃、ママの動きが変わる。


 ママは、じゅーって言ってたやつを銀色の大きな筒に入れて、水を入れて、それを、さっきの入れ物が置いてあった所に置く。


 そして、棒を取り出す。


 取り出して、スイッチを押した。


 すると、周りから、私にいっぱい流れてて、パパとママにもちょっとだけ流れてるあれが、ちょっとだけ棒の先に集まってきて、そして、銀色の大きな筒に流れて行って、それに当たった瞬間。


 ―弾けた。


 まだ流れて行ってる。


 そして、中の水からぐつぐつって音がした瞬間、ママがスイッチから手を離した。


 すると、流れも止まった。


 これ、知ってるぞ。


 どこかで見た。


 だけど、どこで見たかは分からない。


「きゃははははっ!」


 私は喜んだ。もう大喜びだ。


「うふふ、そんなに良かったの?」


 ママは歌うのをやめて言う。


 多分ママはにっこりしてる。


 だけど、私が余りにも大喜びではしゃぐから、布から出されて、ベットにもどされちゃった。


 私がいつも体から出しては起きた時に増えるあれで、あんなことが出来るなんて!


 その日は、ぐっすり眠れた。


 *


 私、リリカ2歳!


 元気な女の子ですっ!


 好きなものは、友達のくーちゃん!


 くーちゃんはクリスちゃんで、私と同い年の可愛い女の子!


 くーちゃんは綺麗なマーマレード色の髪で、前髪は揃えられてて、後ろはポニーテール。だけど、髪がサラサラすぎて、私と遊んでるとすぐに解けちゃうのが悩みみたい。


 目は、夕焼けみたいな朱色。きりっとしてるんだけど、どこか優しさを感じる様な目。


 他にもおでことか、まぶたとか、鼻とか、唇とか、ベロとか、顎とか、うなじとか、肩とか、脇とか、腕とか、肘とか、手指とか、おっぱいとか、お腹とか、お臍とか、背中とか、お尻とか、ふとももとか、膝とか、足指とか、可愛いところいっぱいあるんだけど、教えてあげない!


 あ、でもこれは秘密なんだけど、くーちゃん、可愛くないところが一つも無いとこも可愛いんだよね!言っちゃった!きゃー!


 それで、今日は、くーちゃんと遊ぶの。


 公園の広場で大きな大きな山を作るんだ!


 楽しみ〜〜〜!うふふふふふ


 でも、くーちゃんとは一日に一回しか遊べないのは、ちょっと悲しい。


 もっと沢山遊べる様にならないかなあ。


 あっ!くーちゃん来た!


「ママ、くーちゃん来た!」


 ママに言う。


 ママは、公園に来ると、いつもベンチに座って本を読むり 。


 だから私は、公園に来ると、ママの横に座ってくーちゃんを待ちながらそわそわする。


「毎度の事ながら、良く見てるわね〜」

「まあくーちゃんの事だからねー!」


 すると、お母さんが頭を撫でてくれた。


「えへへ〜」


 私がくーちゃんを見つけたら、いつもこうしてくれるんだ。


 くーちゃんの事は全部知ってる。くーちゃんがあんなにもかわいいから、くーちゃんの事を全部知りたくなっちゃう。だから、くーちゃんのパワーをずーっと追いかけることにした。


 それで、くーちゃんの方に手を向けると、くーちゃんを感じて手がぽかぽかするの。くーちゃんと一緒にいない時は、それが一番の幸せ。


 くーちゃんがいない時は、お母さんに頭を撫でて貰うのが二番目に幸せ。


 できればずーっと撫でてて欲しいんだけど、でも、この前それは出来ないって怒られちゃったから、我慢してる。


 でも、今は、くーちゃんがいる。


 くーちゃんが来た!


 私はベンチから降りて、くーちゃんの所まで走って行く。


「くーちゃーん!!」


 そして、くーちゃんに抱きつく。


「わあ、リリカちゃん!」

「えへへ、くぅちゃーん」


 耳元でくーちゃんの声がする。


 耳にくーちゃんの息がかかる。


 それだけで蕩けそうになる。


 思わず、くーちゃんをぎゅーーって力強く抱き締める。


「あっ…もう、リリカちゃんったら…」


 くーちゃんの宥める声。優しい声。


 脳まで蕩けそうになる。


 ああ、綺麗な髪。


 ああ、綺麗な瞳。


 ああ、綺麗な眉。


 ああ、綺麗な鼻。


 ああ、綺麗な唇。


 ああ、綺麗な舌。


 全部全部。


 ―食べちゃいたいくらい綺麗だ。


 だけど、それをやっちゃうと、もうくーちゃんには逢えない様な、そんな気がする。


 だから、抑える。


 ぐっっっと。


 この瞬間が、私は一番嫌いだ。


 一番好きなくーちゃんを食べたくなっちゃう自分に。


 くーちゃんの為でなく、自分のために、それを抑える自分に。


 嫌気が差す。


 自分が、嫌いになる。


 くーちゃんが「好き」と言ってくれる自分のことが。


 後はそれの繰り返し。


 でも、世界一好きな時間は、世界一嫌いな時間のすぐ後に来るものだ。


 くーちゃんとお山が作れる。


 くーちゃんとお山が作れるのだ!!!!


 他の誰でもない私が、世界でただ一人、くーちゃんとお山を作ることができるんだ!!


 この瞬間だけ、私は私を好きになる。


 私は、私に産まれて良かったな、って、そう思えるようになる。


「ねえねえくーちゃん」


 私は話しかける。


「なあに?」


 くーちゃんは応えてくれる。


「大好きだよ」

「私も、リリカちゃんのこと大好き」


 ああ。


 やっぱり私は、くーちゃんのことが大好きだし、くーちゃんに大好きって言われる自分も大好き。


 これが、私の、世界一の日常。


 他の誰にも、くーちゃんにも送れない、私の日常。


 楽しいなあ。楽しいなあ。うふふ。

補足説明です。

・「ぴりぴり」はプロローグと変わらず魔力の存在を示してます。

・母親が使ったのは、棒の先に魔力を集めて、向いている方向に流し、ぶつかった物体を加熱する魔道具みたいな物だと思ってください。

・これから魔力が使えるようになる主人公と勇者以外の人間は、自分の意思で魔力は使えません。


ここら辺は次話本文中に説明入れる予定です。


あと、筆者は胎児の頃と乳児の頃と2歳児の頃の記憶は持ち合わせておりませんので、今話の主人公の知能のレベルは、人類最高クラスである可能性が非常に高いです。ですが、歳が上がるに連れて標準に近付いて行ってくれればいいかなー、と。


2歳児が自己嫌悪に陥ったのも、次話で辻褄合うといいなー…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ