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転・生

異世界。


それは我ら男子諸君が一度は夢見る理想郷。


いろんな個性ある仲間たちとパーティを組み、村のクエストをこなして成長していく。


伝説の戦士になったり、村一番の頼りがいのある人気者、はたまた女の子からめちゃモテのハーレムを作ることだって。


そんななんでも叶えられるような夢の場所。


そう。それこそが、異世界なのだ。


ーーーーーーーーーーー


「ぐへぇー、おわるわけねぇよぉ..」

俺、上田次郎は今、毎年恒例の祭りを満喫している。高校2年生の夏休み最終日。溜まりに溜まった宿題を机に並べその上で突っ伏している。

「気分転換にゲームだゲーム!もうやってらんねぇよぉ!」

そういってスマホを取り出しいつも毎日欠かさずログインしている大人気ゲームの周回作業を始めた。

数分やると飽きてしまい、スマホもベッドに投げ捨てる。

「ぁあーだりぃべぇー、気分転換にさんぽでもすっかぁ」

そういって財布とスマホをポケットにしまい、サンダルを履く。

外に出れば、見上げれば首が痛くなるような高層ビルや多くの店の数々。

が、あるわけもなく、辺り一面には田んぼで埋め尽くされていた。

「はぁ..今年はおわらねぇかもなぁ..あはは..」

今まではギリギリなんとか宿題を終わらせていたのだが、今年は去年よりも多い量でだされ夏休み初日はため息から始まっていたのだ。


「異世界...いけねぇかなぁ」

唐突にアホなことを呟き次郎の知能レベルが露わになる。すると、横に続く道路から一台のトラックがやってきた。

「.....やって...みるか?」

またアホなことを呟く次郎だが、

「なーんてな。アホらしアホらし。」

そこまでバカではなかったようだ。

そしてトラックを避けようと通り過ぎるのを待ち田んぼ脇で立ち止まる。そのままトラックをぼけーっと眺めようとしていたその時。

トラックがこちらに向かってきたのだった。


「おいおいおいおいおいおいどうなってんだよぉ!」

運転席の方を見るとどうやら運転手は眠っているようだ。

「おーい!おっさん!おきろー!」

しかしそんな声は届かずトラックのエンジン音にかき消されてしまう。

「ちっくしょー!なにやってんだよばかー!」

我にかえった次郎は一目散に回れ右をし走る。

だが、ちょうど田んぼ脇に立っていたこともあって側溝に足を踏み外してしまい転んでしまった。

「いってー!ってまてまてやばいやばいばいばい!!」

驚きのあまり訳の分からない言葉を羅列次郎だが、そんな言葉を遮るように、トラックは次郎めがけて突っ込んだ。



ーーーあぁ、あれ?苦しくないな?助かったのか?実はトラックと側溝の隙間にはまって一命を取り留めたのか?


「そりゃちげぇぜあんちゃん。」


ドスのきいた親父声が聞こえた。

何かと思い振り向くと。


「俺たちゃあそこで死んじまったらしいぞ?」


運転席でぐっすり寝ていやがったスキンヘッドのおっちゃんがいた。


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