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5話 お互いの意識

「それにしても、私達の裸を見て倒れるなんて……もしかしてあなた……」


ルミは目を細め、どこか含みのある笑みをした。まさかバレたか……?僕達は息を呑み、ルミの言葉を待つ。そしてーー


「レズビアンなのかしら?」

「「はぁ?」」


思わず僕とミルカは一緒に間抜けな声を出した。何を言っているんだこの人……?そんな事を思っているのがルミに伝わってのか、少し顔を赤らめ、あたふたし始めた。


「だ、だって!女の子が私達の裸に興奮したって事でしょ!?レズビアンだと思っちゃうじゃない!?」


言われてみればそうかもしれないけど、それを自然に受け入れるルミもすごいと思う……。レズビアンなんてそうそう日常的には使わなーーいや、ここは男禁制……。まさか……


「…………」

「そんな目で私を見ないでくださいよ!?私はノーマルですからね!?」


僕の視線に気づいたミルカが、全力で否定してきた。むむっ……こんなに慌てるなんてますます怪しい……。これはもはや疑う余地なくーー


「ミルカはレズビ痛ダダダッ!?」

「変な事を考えないでください……!!」


あ、頭が割れる!ミルカはただでさえ力が強いのに、アイアンクローとか処刑に等しい。なんて酷い事をするんだ……!


「えっと……あんた達は何故先頭に?」


これ以上この話をするのはダメだと思ったのか、スミラスが苦笑しながら他の話題を振ってくれた。これはありがたい。


「モースレンというモンスターに追いかけ回されまして……」

「えっ?モースレンって殆どメスだから女を襲わないはずなんじゃ?」

「あっ……」


自分で自爆した。ルミ達も怪訝そうな目で僕達を見ている。なんとか誤魔化したいけど、上手い言葉が思いつかない……。どうする……!


「あっ、あのですね!モースレンの尻尾を踏んでしまって、モースレンが怒り出し、追いかけ回されたんですよ!」

「そっ、そうなんですよ!」


ミルカが代弁してくれ、僕がそれに便乗した。ルミ達はまだしばらく考え、納得はしていないが、理解はしてくれたようだ。ふぅ……危なかった。すると、ミルカが僕の耳元まで近寄り、小声で話しかけてきた。


『あまり余計なことは言わないでくださいよ……?誤魔化すの大変なんですから……」

「…………」

『ん?どうかしたんですか?』


ミルカは突然の僕の反応に、少し困惑しているようだ。でも、僕は今、そんなのに構ってられないほど余裕がなくなっている。何故かって?そんなの分かりきっていることだろう?


「あの、ミルカ……。その、近いんだけど……」

「あっ……」


ミルカも今の状況を理解したようだ。多分、僕とミルカの二人は、顔がトマトみたいに真っ赤になっている事だろう。女慣れしていない僕にとって、これはまだレベルが高かった。ミルカも、男慣れはまだしていないのか、顔を手で覆い、ふるふると顔を振っている。なんだこの可愛い生き物。


「……何しているんですか?」


そして、ふとルミ達の方を見ると、何故か地面に赤面で悶えている女性二人がいた。何やってんの?この人達。


「ミルカちゃんとナオンちゃん、可愛すぎよ……」

「これは死ねる……」


なんか震えた腕で、親指をぐっとしたと思ったら、崩れ落ちた。もはやその様子は死体と同等だったと思う。血(鼻血)も結構出ているし。この後、ルミとスミラスが回復するまで少し時間がかかった。


◇ ◇ ◇


「いや〜、ごめんね」


ようやくルミ達が復活した。まだ足がガクついているように見えるが、見なかったことにしよう。さて、ルミ達も起きたことだし、そろそろミルカの家にでも……


「クシュン!」


そう思った時、不意にくしゃみが出た。なんかさっきから寒いな……。


「あら?湯冷めしちゃったのかな?もう一度温泉入る?」

「いや大丈夫です……。次、貴女達と温泉入ったら、今度こそ死ぬ気がするんで……」


口ではそう言うが、やはり肌寒い。ん〜……、ルミ達が帰った後にこっそり入ろうかな?ルミ達が帰るまでは我慢できるし……。そう思ったが、ミルカはそう思わなかったらしい。


「ダメですよナオンさん!風邪を引いてしまいます!」

「いや、そんな事を言っても……」


女の人と入るわけにもいかないし……。でも、ミルカはそんな事を許してくれなさそう……。う〜ん……どうしたものか……。そう思っていたら、ミルカがとんでもない提案をしてきた。


「だったら、私と二人で入りましょう!ルミさん達の体は刺激が強かったかもしれませんが、私はそうでもないんで大丈夫です!」

「いや、ミルカも相当でてーーって、話している時に手を引っ張るな!」


またしても、僕とミルカは温泉に入る直すことになった。まぁ、さっきのはルミ達が入ってきたから、ゆっくり入れなかったけど、それでもまだ一つだけ問題がある。それはーー


「先入っててください。私は後から行くので」


今、温泉を見てみたら、誰もいなかった。つまり、事実上ミルカと二人きりで温泉に入る事になる。それはまずい。始めのは、色々あって意識する余裕なかったけど、今はめっちゃ意識してしまう。


「どうしよう……」


僕は、誰にも聞かせるでもないのに、一人小さく呟いた。




お読みくださって、ありがとうございました!

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