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15話 目的

すごく遅れてすみません……!

「ん……?ちょっと待って……?」


皆んなが少し前までなら、違和感はなかったが、今の状況ならとてつもない違和感がある事に気づく。僕の声に、皆んな首を傾げている。


「なんで男がいるんですか……?」


ここは男禁制の国のはずだ。ここに男が入って来れるわけがない。そもそも。見つかったら殺されるはずだ。僕も、その理由があるからこんな格好をしているのだ。


「あぁ、サイセはなーー」


スミラスがは、僕の手首を掴み、サイセに近づける。何をする気だ……と少し身構える。すると、スミラスは僕の手をサイセの胸に押し付けた。


「!??!?」

「ちょ!?スミラス!?」


僕とサイセは、急な事に困惑する。でも、よく考えてみると、男の胸を触ったからって、どうという事はないーーはずだった。


モニュ


「ぁ……」

「えっ」



……モニュ?なんでだろう。僕の手の中で、控えめだが、柔らかい感触があった。それは、この男が太ってるとか胸に肉があるってわけでもない。これは……いや、この人は正真正銘のーー


「女ーー!?」


どうりで中性的な顔立ちだと思った。この人は、服装や髪型は男らしいが、体つきなどは女そのものだ。だから、この国にいても罰の対象にはならない。でも、それなら1つ疑問が湧く。


「なんで男装してるんですか……」


もし、男と誤解されてしまったら打ち首になってしまう。何故、そんなリスクを負ってまで男装しているのか……僕は理解できないでいた。だって僕は打ち首って聞いて、速攻で女装しちゃったし……。


「僕は……この国の制度に疑問をもっているんです……」

「疑問…?」


丸メガネの男……いや女は、ポツリポツリと語りだした。


「この国には男性がいません……。これでは人口は減り続け、いずれ滅んでしまいます……。しかし、女王はそんな事を一切考えずに男性禁止令を出しています。私は、少しでもこの現状が変われば……と思い、男装をしているのです」


なるほどな……言われてみればそうだ。女性だけでは子供が生まれようがない。今はまだいい。でも、いずれは直面する問題だろう。それにいち早く気づくなんて、この人すごいな……と感慨を受けた。


「それよりも、今はこの脅迫状が問題です」


脱線しかけた話をサイセが戻す。ところで見知らぬ単語があるな。


「あの、『龍の血』とはなんですか?」

「ああ、ナオン達は知らないのか」


そう言って、スミラスはポーチから小さな瓶を取り出した。中には、ドロリとした赤い液体が入っていた。


「これが『龍の血』だ。私達はこの血を明日の朝に、ある人物に渡す依頼を受けているんだ」

「でも、何故こいつらはその血が欲しいのでしょう……?」

「『龍の血』って言うくらいだからな……高価な代物のなんだろう」


なるほど……それが目当てか。盗賊らしいといえば盗賊らしい理由だな。しかし、ここである疑問が浮かぶ。


「何故、奇襲をかけなかったのでしょう……?盗賊といえば奇襲だと思うのですが……」


ミルカが僕の代わりに疑問を投げかけた。その通りだ。こんな回りくどい事をしなくても、奇襲をかければいい。確かにスミラスとルミは強いが、この二人は女性だ。数で押せば勝てるという思考になってもおかしくはないと思うんだけど……。


「私達もそれが疑問なのよねぇ……。ここに来るまでも誰かが後をつけてくる気配は無かったんだけどなぁ……」


そんな事まで分かるんですか……。僕たちは何も考えずに步いてきたけど、ルミさんは周りを警戒しながら歩いていたらしい。これが上級冒険者か……。


「ふふっ、一応クエスト中だったからね。念の為にね」


ルミさんはそう言って優しく微笑む。その微笑みは男である僕の心をキュッとさせた。ルミさんはこの笑顔でそれだけの男を虜にしてきたんだろう……などと馬鹿な事を考えてたら、隣にいたミルカに横腹をつねられた。前より痛くなってる。


「この大切な人とは……?」

「多分レインの事だと思います」

「レイン……さん?」

「さっき話した私達の幼馴染だよ。道具屋をしている。私達の大切な人って、レインぐらいしか思いつかないしな」


レインって人が誘拐されたのか……。そして、これからどうするかと皆んなで頭を捻る。この文章にはどこに連れて行ったのか等詳しく記されていない。つまり、どこに行けばいいのかすら分からない状況だ。皆んなでう〜ん……と唸っていると


「あっ!」


とスミラスが声を漏らした。どうしたのかと皆んながスミラスに注目する。


「魔物を倒した時のあの馬車覚えてるか?」

「?あの馬車がどうしたんですか?」

「あの馬車とすれ違った時、なんか嗅いだ事のある臭いだと思ったら、あの臭いは道具屋独特の臭いだった」

「!!という事は……!」

「あの馬車に、レインが乗っていた……って事?」


つまり僕たちは、レインが乗っていた馬車とすれ違ったのにも関わらず、みすみす逃したという事だ。そこからの僕たちの行動は早かった。まだ馬車が走った後が残ってると思い、馬車とすれ違った場所へと急いだ。


しかし、この時の僕たちはある重要な事を見落としている事に気付かなかった。







今は、もう一つの作品の執筆をメインにしているので更新速度落ちると思います……。しかし、1週間に1話あげるので、どうかこれからもよろしくお願いします!

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