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第4話:月夜の森で、御用心!?(3)




「どうして!?」




 赤い髪の少女ルチアは、叫びをあげる。




「……っはぁ…っはぁ…」




 彼女の目の前には、顔を苦しそうに歪め、息を荒立てて寝ている父親がいた。

治らなかった。

 ルチアはその驚愕の事実に怒りにも似た悲しみに叫びをあげたのだ。

月見草。

 それを煎じて飲めば、どんな病魔に苦しむ病人だろうと1日で回復する。ルチアは村長にそう聞き、昨日の夜、月見草を姉のシネアとリーグスの森へと採りにいった。

 途中、凶悪化したモンスターと出会して命を落としそうにもなった。その時、助けてくれた黒色の天使は二階でまだ眠っているが。問題は、そうまでして手に入れた月見草だというのに、一晩経った今日、いまだ父親は病魔に苦しみの声をあげているのだ。

 時間がまだ足りないのか?とも思った。だが、それにしたって前よりも父親が苦しそうにしているのはどういう事か?

 ルチアは、月見草を煎じて作った飲み薬を床へと叩きつける。バキッと木で作られた器が叩きつけられた衝撃で割れた。



「うぅうぅっ…どうして?お姉ちゃん、私たち言われた通りにしたよね? 月夜に光る月見草を採って、それを煎じてお薬を作ったのよ? なのに…なのに…」



「ルチア……。どうしてなの!? 神さま、どうして、私たちをこうも嫌ってしまわれるの!? 私たちが、ルチアがこんなにも一生懸命に…」


 ルチアの涙に、隣にいる姉シネアも涙を流す。

 なぜ? 

 なぜ、神さまは自分たちをこうまで嫌うのか…と。




「どうしたんだ?」




 と、そこへ1人の男が騒ぎを聞き付けて部屋に入ってくる。

 ルチアいわく黒色の天使ヒイロである。

 ヒイロは朝方から泣き叫ぶ2人の少女たちを見て困惑の視線を送る。その手には黒色の魔剣アイゼルが携えてあった。




「す、すみません、ヒイロさま。お見苦しいところをお見せしました。ちょ、朝食をいまお出ししますね…」




 そう言いシネアは部屋から飛び出し、キッチンの方へと走っていく。

 そんな彼女の頬に涙がこぼれていたのをヒイロは見てしまった。



「……なぁ、なんで君たちは泣いて……!?……」




 と、ヒイロが部屋に残った赤髪の少女ルチアに話しかけようとした。その時、ヒイロはその部屋のベッドで苦しそうにうめき声をあげる1人の男に気が付く。




「私たちの……お父さんです。1週間ぐらい前から、熱や胸の痛みに苦しみ出して」




 ルチアは床に落とした月見草の煎じ薬と割れた器を直しながらヒイロに話をする。




「月見草って言って、煎じてお薬にすればたちまちに病気が良くなるって聞いたんです。それは月夜の夜に光るらしくて。昨日、私たちが森にいたのはこれを採るためなんです」



 なるほど。

 だから、あんな夜遅くに森の中に居たのかとヒイロは昨夜の事を思い出させる。




「でも、駄目でした。あはは、お父さんの病気。月見草のお薬でも治りませんでした」




 そう言い、ぽろぽろと赤く小さな瞳からルチアは涙を流す。




「神さまは、きっと私たちが嫌いなんです。去年、お母さんが病気でなくなったときも神さまを恨みました。なんで、どうしてって…。今度はお父さんです。なんでなんでしょう? どうしてなんでしょう? 私、神さまに嫌われるようなことしました? ねぇ……私、したんですか!?」




「!?」




 ヒイロはビクッと体を強張らせる。

 なぜなら、ルチアがヒイロのお腹辺りの服をぎゅっと掴み、下から訴えるような瞳で叫んできたからだ。ぽろぽろ、ぽろぽろとその小さくつぶらな瞳から涙を流すルチア。赤い瞳がより一層赤く染め上がっている。



 なぜ、彼女は自分に訴えるような瞳で叫んでくるのかヒイロには分からなかった。

 いや、ルチアでさえ分からなかったであろう。ただ、理由を付けるならば。昨夜、ヒイロの戦う姿に天使をみたルチアがヒイロに訴えずには居られなかったのだろう。天使とは、天に使える者。つまり、神の下僕ということなのだから。




「すみ、ませんでした。いきなり、叫んだりしてしまって。ヒイロさまには関係のないことなのに…」




 ルチアがヒイロの服を掴んだまま涙を流して、一時いっときが過ぎた。いまだ困惑中のヒイロは、少女の涙を拭ってあげるのが男か、そのまま何も言わず黙って抱き締めるのが男か、などと訳の分からないことを考えていた。と、ルチアは掴んでいた手を離し、再び父親の眠るベッドの横に座ってしまう。




「(主、主よ!)」




 ヒイロがルチアから解放され、残念のようなほっとしたような複雑な心境でいると手に携えていた魔剣アイゼルが小声で自分に話しかけてきた。

 ちなみに、なぜ小声かというと。

 今朝、ヒイロが起きたときに『この世界では剣が言葉を話すのは普通なのか?』と聞いたときアイゼルが『そんか訳ないでしょうに、主』と少しヒイロを小馬鹿にしたような口振りで言ってきたので『じゃあ、人前では喋るな! 得体の知れない奴だと思われたくないからな。でも、どうしてもってときは小声で喋れ。あと、次に俺を小馬鹿にしたらへし折る…』という一連の動作があったからだ。




「(なんだよ?)」




 そんな訳でヒイロも小声でアイゼルに返事を返す。

 と、アイゼルから驚きの事実をヒイロは聞かされる。




「(月見草では、病気は治らないぞ。確かに、飲めばどんな病気も1日で治るという秘薬中の秘薬が存在することは事実だ。そして、月見草はその秘薬の中に入る材料として使われる。つまり、単体では意味をなさない)」



 ヒイロは、アイゼルの言葉に苦しむ父親を必死に看病するルチアに視線を向ける。

 と、さらにアイゼルから驚きの言葉が飛び出す。




「(それから、主よ。どうやら、あの娘の父親。病気では無いと思われるぞ?)」




 はっ?

 病気じゃない? 

 お前は何を言っているんだ?

 と、ヒイロは手に持つアイゼルを凝視する。

 が、アイゼルは構わず話を続ける。




「(あれは、なんらかの呪いの一種。我から見れば、あの男にまとわり付く呪の影がありありと見て取れるぞ?)」




 マジなのか? 

 ヒイロは再び、父親を看病するルチアに視線を向け。

 次に苦しそうに寝ている父親に視線を向ける。



 なんという事だ。 

 呪い?

 病気のほうが、まだ遥かに助かる見込みが高かった。だが、呪い。誰が何の為に、なぜこの少女たちの父親に呪いをかけたのかヒイロには分からなかった。だが、事実としてこの父親にかかる呪いは見て取れるとアイゼルが言う。



 必死に看病するルチア。

 彼女を見ていると、その驚愕の事実にヒイロは胸を引き裂かれる思いに駆られた。




「(どうにか、どうにかならないのかよ?)」





 ヒイロはアイゼルに呪いを解く方法はないのか、と詰め寄る。

 すると、アイゼルは暫く考えて…




「(たぶん、この村には呪いを解く強力な魔術師は居ないであろうな。そうなると……主がそれをやることになるが?)」




 俺が何をやるって?

 ヒイロはアイゼルの言葉にいまいち理解を示さない。




「(つまり、主が再び我を使い。魔法を使うという訳だ。だが、主は我を使うことに抵抗があるのだろう?……と、なるとやはりこの父親は見殺しに……)」



 ヒイロはその言葉を聞き、アイゼルをへし折りたくなる衝動に駆られる。が、自分ならルチアの父親を助けることが出来るという言葉に心を揺るがせていた。



 魔剣アイゼルを使えば、使うほどに自分は悪または魔に近い存在へと染まっていく。出来れば、そんなことは少しでもしたくはない。自分は真っ当な人間として、元いた世界に帰りたいのだ。だから、もし使い続けてその体も心もモンスターのようになってしまうとしたら。それは嫌だ。



 ヒイロは魔剣アイゼルをぼーっと見ながら考える。



 一度だけなら。

 まだ、数回しかアイゼルを使っていないから。

 ちょっとだけなら無いのも同じ。いや、だが、その一度が命取りになるかもしれない。ヒイロは堂々と巡る考えに頭を悩ませる。ふと、ヒイロは元いた世界の事を思い出す。馬鹿な正義を行って自分が逆に不幸になった事を思い出した。そうだよ、余計なんだ。正義をした所で、結果何にもならない。裏切られる。だから俺は…。







「(……どうすればいい?)」




「(何がだ、主?)」



「(ルチアの父親の呪いを解くためにだよ!俺はまずなにをしたらいい?寿命でもお前に捧げるか?)」




 だけど、ここにいるルチアは助けたい。必死に父親の看病をするルチア。神さまに嫌われているの?と聞いてきたルチア。あの可愛らしい小さな小さな瞳から涙を流し、訴えてきたルチア。助けたい。余計なこととか裏切られる正義とか、どうでもいい。



 ただ、必死に父親を看病する少女を見てヒイロは助けたいと思った。

 だから、たとえ自分が馬鹿を見たとしても。魔剣を使い続けてモンスターになってしまったとしても。ヒイロは思った。ルチアは自分に似ている。不幸を呼ぶ自分の体質。彼女が自分のように不幸を呼ぶ体質なのかは知らない。だが、現にいま彼女は不幸だ。ただ、それでも彼女は父親を必死に看病していた。だから…



「(良い覚悟だ、主よ)」



 魔剣アイゼルはそう呟くと次にヒイロに父親の側まで行くよう告げる。




「あの、ヒイロさま?」



 ルチアは急に父親の眠るベッドに黒色の剣をかざしたヒイロに驚きの声をあげる。だが、ヒイロは黙ったままじぃっと父親の真上の空間を見ている。




「(それで、あとはどうするんだ?)」




 そして、再び小声でアイゼルに話をかける。



「(うむ。いまから呪い返しの術をかける)」




 呪い返しの術?

 ヒイロは聞いたことない魔法の名前を繰り返す。

 そして、呪い返しねぇ、とヒイロはある疑問を抱く。




「(なぁ、それってもしかして失敗したら俺に呪いが来るとか?)」




「(よくわかったな、主?本当だったら呪いを解くのに用いる魔法は陽の術で呪いを浄化して治すという魔法が通常なのだが。我は魔剣、陰の術のほうが得意。したがって陰の術である、呪いを相手に返す、または、何処かへと消え失せさせる術を用いるのだ。ちなみに失敗すると術者にもその呪いがかかる。……やはり、止めておくか、主?)」




 失敗すれば、俺もあの世行き?

 ヒイロは決意したはずの心を少し揺るがせる。

 やっぱり、止めておこうか…




「ヒイロさま、どうしたんですか?」




 と、少し臆病になっていたヒイロにルチアが心配そうな瞳で見詰めてきた。自分もそれどころではないはずだろうに。少女は他人の心配をしてきたのだ。




「ははっ…」




 そんなルチアの顔を見てヒイロは迷わず、呪い返しの呪文を唱えたのであった。












「がぁーはっはっはっはっはっ!」




 イシスの村の一軒の家に男の豪快な笑い声が木霊する。




「いや、旦那は俺たち家族の命の恩人でさぁ!シネアやルチアを得体の知れないモンスターから救って下さって。さらには得体の知れない病魔に冒された俺まで救って頂いちまって、がぁーはっはっはっはっはっはっ!旦那ぁ、あんたは今日から俺たちの家族だ!さぁ、遠慮しないで酒や飯をたんと召し上がってくれーぃ!がぁーはっはっはっはっはっはっはっはっはーっ!!」





 体の大きな男はバンバンと隣に座るヒイロの背中を叩くとご機嫌そうに豪快な笑いをあげ、その手に持つ酒をグビグビとやはり豪快に飲み干していく。




「もう、お父さんったら。病み上がりなんですから、お酒は控えめにね!」




 と、料理をキッチンから運ぶ緑色の髪をした見た目20代前半の女性が愉快に笑う父親に注意を促す。




「がはははは、細かいことは気にするな、シネアよ!というか、病気で1週間も酒を飲めなかったからなぁ!そっちの方が体に悪いってぇもんだぁ!なぁ、旦那ぁ?がははははーっ!」




 シネアにお父さんと呼ばれた男はヒイロにそう言い、再び酒を飲み始める。




「もぅ、ヒイロさまに失礼なことをしないでお父さん!」




 と、今度は男とは反対方向のヒイロの隣に座る見た目13〜4歳の赤い髪色をした少女がヒイロの腕を取り、父親から離そうと自分の方へと引っ張る。




「がぁーはっはーっ!ルチアは旦那がいたくお気に入りのようだなぁーっ?わっはっはっはっ!どうだろ、旦那?ルチアはまだ幼くて成りはこんなんだが、母さんにそっくりで将来は美人になること請け合いだ!嫁さんに貰ってやってはくれねぇかぁ?」




「や、やだ、お父さんったら、馬鹿ぁ!ヒイロさま、気にしないで、気にしないで下さいね?お父さんったら、酔っ払っちゃって……でもでも……もし……ヒイロさまが良かったら……あっ!うーうん、なんでも……なんでもないです、あははは…」




 ルチアは顔を赤らめて、ブンブンと両手を横に振る。そしてそれを見た、父親の男が『どうだい、なんなら姉のシネアも一緒に…』なんて言うもんだから父親の男はルチアのパンチとシネアのお盆攻撃に暫し悶えることとなった。




 さて、どこから説明した方が良いのだろうか。結論から言うと、まず、ヒイロの呪い返しの術は成功した。みるみる内に顔色が良くなっていくルチアたちの父親はその日の夕方には豪快な笑い声をあげながら、ルチアとシネアを抱き上げる勢いであった。



 キッチンに居て事の要領がよく分からないシネアは何がなんだか分からず感極まり泣き出し、ルチアはヒイロの奇跡とも見えた魔法に、やはり天使さまなんだとひたすらにヒイロの胸の中でお礼の言葉を泣きながら告げていた。


 それから父親は、ことの経緯をルチアから聞き。ヒイロに熱くデカイ抱擁で感謝の意を表し。そして、その日の夜。つまり、いま現在だが。病気が治った事とヒイロという恩人を歓迎するために、こんな宴を開いたという訳なのだ。




「…ヒイロさま?」



 と、ヒイロがこの宴の始まりを思い起こしてぼーっしているとルチアがヒイロに話しかけてきた。どうやら、ぼーっとし過ぎたようで時間がだいぶ経過していたようだ。料理は父親がほとんど平らげたらしく皿にはその少ない残りカスしか残っていない。




「ヒイロさま…」




 と、ヒイロがテーブルに並んでいた料理の数々の成れの果てを見ていると、ルチアが潤んだ瞳でヒイロを見詰めてきた。




「ヒイロさまは何者なんですか?なぜ、旅人なのに、あんな王宮を守る王宮師団の衛士のような力を持っておられるのですか?」




 ぐったりとヒイロに身を任せてくるルチア。熱を帯びたルチアの唇がヒイロに近づいてくる。




「っ!?ル、ルチア!?もしかして、酔ってる?」




「酔ってません!お酒なんて子どもが飲んだらいけないんです…」


 と、グイグイとヒイロを自分の顔へと近付けようとするルチア。




「ちょっ、親父さん?シネア?誰か!?」




 ヒイロは必死に近くにいる誰かに助けを求める。が、シネアは次の料理を作っているのか先ほどキッチンに行ったまま一向に帰って来ない。ならば、父親が、とヒイロが必死に目だけ父親の方向を見ると…




「あっ!?……あっ、あ〜……ぐぅ〜……」



 なんて目がバッチリ合ったにも関わらずいきなり寝たふりをし始めた。コイツ、もしかして、既成事実を作らせようとしてる?とヒイロが寝たふりをしている父親に怒りを覚えた瞬間。




――ぷにっ




 という柔らかい感触がヒイロの頬に伝わる。うぇっ?とヒイロがそちらの方を見るとルチアの唇が自分の頬に当たっているのが確認出来た。うえぇっ!?とヒイロがその出来事に驚いているとルチアは次第に唇をヒイロの唇に持っていこうと彼の頭をググッと引き寄せた。




(ぐわわっ、まずい。まずいって、いくらなんでも、幼女に手を出すなんて…)




 と、ヒイロが必死にルチアの暴走に抵抗をしていると…




「(……おっ、おぉ!?よし行け、それ行け!旦那を己の物にするんだルチア!)」




 と、父親が小声でルチアの応援をしていた。



(この馬鹿親父めがーっ!って、わわわ?まずい、もう、ルチアの唇が俺の唇にぃ〜っ!?)




 もはや、ルチアの小さく吐く息がヒイロの吸う口元まで近づいていた。生暖かなルチアの吐息。やはり、お酒を飲んでいるらしく。少し、アルコールの匂いがヒイロの口の中に広がる。そして、遂に、ルチアの唇がヒイロの唇に…




「ぐぅ…」




 合わさらなかった。

 ルチアは寝てしまったのだ。

 あともう少しでヒイロの唇までという所でルチアは睡魔に勝てず、ヒイロの頬に再びキスするような形で眠りこけてしまった。




「たす、たすたす、助かった…」




 ヒイロは、それに安堵のため息をつく。嫌ではない。むしろ、嬉しい。産まれてこのかた、こんなにも女の子に迫られたことが合っただろうか?それを考えると少し残念な気持ちに駆られるが、しかし、相手はまだ13〜14の子ども。それに…



「旦那ぁ、困りますぜ?せっかく、俺がルチアのコップに酒を混ぜてやったのに。そのまま、ぶちゅっとやっちまってくれて良かったのに…」




 この馬鹿親父に仕組まれた事にそう易々とはまりたく無かったのだ。だいたい、お酒の勢いでなどと…。

 ヒイロはすぅ、すぅと自分の胸元で眠りにつく少女を見て、天井を見上げる。




(余計なことも、時には必要…なのか? 裏切られたって、正義は見返りを求めてするもんじゃない。無償の行い…助けたいから、助ける…)




 そして、再び、その視線をルチアの元に戻すと指先でその頬を突っつき小さく笑みを浮かべる。


 なんだか、こののお蔭で自分が救われたような気がしたのだ。

 自分はあの『嫌な過去』から解放されたのではと……。

 本当に呪いを解いたのはこのルチアで、解いて貰ったのは自分なのではと……。


 だからヒイロは、胸元で小さな寝息をたてて眠るルチアの頭にそっと優しく、ただただ優しく口付けをしたのだった。




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