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第34話︰砂漠の国で、御用心!?(2)



 ヒイロにとって楽しい宴が行われた翌朝。

 昨日は、そのまま、ロックウォードに進められる様にして、ロックウォードの贔屓にする宿にも泊まって、久しぶりのフカフカのベッドでゆっくりと眠りに着いたヒイロであった。

 そのお陰で、朝からスッキリとした目覚めで、身体も軽く、気分の良い睡眠が取れたとヒイロは何度目かのロックウォードへの感謝の念を送ったのだった。



「おはようございます、お客様」



 それから魔剣を右手に持って、部屋を出て一階の食堂へとやって来たヒイロ。そんな彼に身なりの良い男性が声をかける。彼はこの宿のオーナーであり、ロックウォードの知り合いでもあった。昨日の宴の時に紹介されて、あちらにもヒイロがロックウォードの知り合いだということが知れ渡っている。



「おはようございます」


「お食事でしょうか?」


「えぇ、そうです。お願い出来ますか?」


「勿論でございます。それでは、こちらの方へどうぞ」



 それ故に上客であるロックウォードの知り合いとあって、ここの宿屋のオーナーもヒイロを貴族のお坊ちゃんの様な待遇で迎えてくれる。



「どうぞ、こちらの席にてお待ち下さい。直ぐにウェイターを御呼び致しますので」



 だから、食堂で一番良いであろう席へ案内されて、直ぐ様にウェイターを呼んで貰い、直ぐ様にその注文が聞き届けられて、最優先でヒイロの目の前にはあっという間に朝食の用意が整ったのであった。



「うーん、なんか悪いなぁ」



 この宿屋の泊まりの支払いも食堂での朝食の支払いも全てロックウォードが持ってくれる事となっている。

 普段なら絶対にそんな事を頼まないヒイロだが、昨日は何故だかテンションの向上が止められずに、全てをロックウォードの言うとおりにしてしまったのである。



(うーん、何かあった時の助っ人かぁ)



 そして、ハイテンションではあっても覚えていたロックウォードと交わした約束にヒイロは今更ながらに頭を悩ませる。

 いつもなら、そんな事は避けて通るヒイロだが、しかし、一度、口で約束をしてしまった以上は無下にする事は(はばか)られる。

 しかも、牢屋での事といい、この宿屋での事といい、今はロックウォードに助けられてばかりの状態だ。



(だったら、困り事のひとつやふたつ、解決を手伝ってやらないと不義理だよな)



 自分が受けた恩恵分くらいはロックウォードに恩返ししておかないと駄目なのではないだろうかとヒイロは皿の上の目玉焼きをフォークでつつきながら、そう考える始める。



(うーん、簡単に解決出来ると困り事だといいな)



 熱々のトーストにバターを塗って、じゅわっと広がる内からそれにかぶりくヒイロ。口の中には焼きたてのトーストの香ばしい香りと濃厚なバターの旨味が合わさって、彼の舌を甘美な味で刺激する。

 だというのに、そんな彼の表情は苦悩と恩返しとの板挟みで二面、三面とその顔色を変えるのだった。



(んむっ!? このトマトスープ、かな? かなり、上手いぞ!!)



 それでも沸き起こる食欲を抑える事は出来ない用でヒイロは口に含んだ卵入りのトマトスープや他、目の前に用意された朝食を次々に口の中へと放り込んでいく。



(うむ、ご馳走さまでした!!)



 そうして、朝食を終えて満腹となったヒイロ。彼は席を立ち、満足する腹を(さす)り ながら、借りている部屋へと帰ろうと二階への階段を上がり始める。



「お待ち下さい。ワタクシどものお客様に粗相を行っては貰っては困ります」



「そんな事を言っている場合ではない! こっちは一大事なのだ!!」



 と、二階への階段を上がろうとするヒイロの耳に何やら騒がしい押し問答の声が聞こえてきた。



「お! やはり、ここに居たか坊主!!」



「げっ…」



 ヒイロを睨み付けるその視線、宿屋の入り口で宿屋のオーナーと揉めていたその人物は先日に会った、この町の町長の男であった。



(な、なんで、俺を探してるんだ!? は、まさか!?)



 そこで、ヒイロの脳裏に(よぎ)ったのは、あの赤紫色の髪の毛を靡かせていた貴人の女性の事だった。



(まさか、あの人が俺が牢屋に居ないことに気が付いて、また、町長に無茶を言って、探させたんじゃ)



 それは、充分に有り得る話であった。

 ヒイロの何を気に入ったのか、貴人の女性はヒイロの見受けに乗り気でヒイロの有無など関係ないとばかりに町長と話を進めていた。

 そんな彼女が町長へと無理を言っている姿が幻視(げんし)出来るのは簡単な事だった。



「貴様、小僧!!」



 おや? しかし、それにしては町長の声色に怒りが加わっていて、ヒイロは不思議に頭を傾げる。



「我が町のシンボルである噴水に何をした!!?」



「噴水?」



 それは全くして考えも及ばない言葉であった。

 確かにヒイロはこの町に来てそうそうに噴水の水に触れて、牢屋にぶちこまれたが、それは昨日の時点で無罪放免となっている。

 なのに、目の前の町長はそんな事は無かったとばかりに怒りを見せて、ヒイロの事を睨み付けて来ている。



「噴水の事なら反省したし、牢屋にも入っただろう? そりゃ、ちょっと知り合いのお陰で早く出られたけど、そこまで怒る事か?」



 何がなんだか分からないヒイロは、とりあえず、当たり障りのない言葉で町長へと言葉を投げ掛ける。



「ふざけるな!! 貴様が噴水に何か良からぬ事をしたのは分かっているのだ!! 大人しくして、一緒に来て貰うぞ!!」



「はぁ? なんだよそれ、俺が噴水に何をしたって? ていうか、手で触って、口にした事は贖罪した筈だろう? それ以外に何があるって言うんだ?」



「そうですよ、町長。このお客様がこの町を訪れる旅人によくある無作法を致してしまった事はワタクシどもも聞き及んでおります。が、その贖罪は終わり、無罪放免を受けた筈ですよ? だというのに、これ以上、何をこのお客様にお求めなのですか?」



 ヒイロの言葉に事情をロックウォードから聞いて知っていたであろう宿屋のオーナーが助力をしてくれる。その言葉は何らヒイロを責める物ではなく、むしろ、ヒイロが正式に贖罪を終えた者だと肯定してくれる言葉であった。



「その事ではない!!」


「え?」


「なんだって?」



 しかし、町長は眉を困らせる様にハの字にしながら、(かぶり)を振る。



「噴水の、噴水の水が止まって、枯れてしまったんだ!!」


「なんですって!?」


「はぁ!?」



 それは唐突な言葉であり、ヒイロも宿屋のオーナーも驚いてしまう。

 しかし、噴水の水が止まったとはどういう事か。

 また、この町、いや、国では水は命の母とまで言われて重宝されているのを知ったヒイロはその貴重品の紛失に関わっていると見られている事に、またかと脱力をしそうになった。



「とにかく、一緒に来て貰うぞ!!」


「くそ、俺は関係ねぇーぞ!!」


「そんな事は調べてみんと分からん!!」


「ふざけるな!!」



 ヒイロは右手に持った魔剣アイゼルを強く握りしめた。その刀身は鞘に入ったままだが、いつでも抜けるという風に中で怪しくギラついていた。



「行ってやろうじゃねぇか!! それで、俺が犯人じゃないって、証明してやる」



 そして、そのギラつきはヒイロの感情へと干渉して、ヒイロの怒りを助長させる。

 助長されたヒイロの怒りは町長へと向けられ、彼は自らがその身の潔白を証明すると声をあげるのであった。




「ううむ、な、ならば、着いてこい」



 ヒイロのそんな様子に怯む町長だが、それでも町の一大事だとあって、なんとか尻込みせずにヒイロを噴水のある広場まで連れていく事にする。

 そうして、町長に連れられて噴水のある広場までやって来たヒイロ。

 その彼の見ると光景には、先日の清らかに水を吹き出していた噴水は枯れて見る影もなくっていた。

 そして、それを悲しむ様に周りには町の住人たちが集まり、各々に暗い表情をさせていた。



「見ろ! この噴水の状態を!!」



 それを再確認して、怒りが甦ったのか町長はヒイロへと怒号をあげる。

 だが、ヒイロは気にしないといった風に噴水の周辺を見て廻る。



「な、何をしておるんだ?」


「身の潔白を証明するために調べてるんだよ!」



 そんなヒイロの姿勢に町長はややたじろぎながら、ヒイロに質問をする。それにヒイロは先ほどから思っていた事を素直に口にする。



「えぇい、何を訳の分からん戯れ言を!! 衛兵、この男を捕まえよ」



 渇れた噴水に集まる住人の中には衛兵たちも居て、町長はその衛兵たちにヒイロを捕らえる様に命令する。



「ほう、それは私への不満だと取って良いかな」



「ひょぇ!?」



 しかし、そこにあの赤紫色の貴人の女性が現れて、町長の命令を己への不満故の物かと問うた。



「こ、これはエステア様…そ、そそその様な事は」



「そちらの少年の身請け人になると私は言った筈だ」



 女性はそう言うと、カツカツと歩いて来てヒイロの目の前で止まった。



「君も酷いではないか。私が身請けすると言ったのに何も言わずに去って行くなんて」



「あ、いえ」



 それから、グイッとその美しい顔をヒイロの前へと持ってくるとニッコリとその笑顔を見せる。



「ふわわっ、あの、ち、近いです」


「ふふふ、やはり、初々しいな。好ましく思うぞ少年」


「う、は、はい」



 エステアと呼ばれた貴人の女性の色香にたじろぐヒイロは、再び、顔を真っ赤にして伏せてしまう。



「さて、噴水の枯渇に関してだったな」


「は、は! そうなのでございます。この小僧…いえ、少年が先日、この噴水の水に触れた事により、この様に噴水の水が止まり、枯渇してしまったのです」



 このままでは、家庭に回る水回りにも影響が出始めて、お仕舞いにはこのテタリスの町が干上がってしまい、人が住めなくなってしまうと町長はエステアに訴える。



「なるほどな」



 腕組みをしながら町長の話を聞いていたエステアは、それに、ひとつ頷きながら、ピンと人差し指を立てる。



「それだけでは、この少年が噴水の枯渇に関係しているかどうか分からないではないか」



 それは至極もっともな話であった。

 ヒイロには噴水を枯渇させる理由がなければ、その力もない。

 それ故に町長の論法は最初から崩れているのである。



「しかし、そうでなければ、誰が」



 ただ、だからといって出してしまった言葉を町長が飲み込むかと言えばそうではなく。仕切りにこの噴水の枯渇の原因にヒイロが関係していると押し通そうと言葉を続ける。



「埒が明かぬ」


「そう言われましても」



 ヒイロがその身の潔白を訴えても、エステアが町長のその推論に穴があると訴えても、ここで引けない町長は頑としてヒイロ犯人説を取り下げない。



「町長!! 町長!!」



 三人で睨み会うように頭を突き付けていると、外からこの町の衛兵らしき人が走ってきて、町長の事を呼ぶ。



「なんだ、この忙しい時に」



 それにヒイロからの視線を切って忌々しげに対応する町長。



「穴が、町の外に大穴がポッカリ空いてるんです。たぶん、それが噴水の枯渇に関係してるじゃ!?」


「な、なんだと」



 突然の報告に驚き、狼狽える町長。

 その瞳は信じられないといった風にヒイロに向けられる。

 それにヒイロはどうだと言わんばかりに、町長に対して嗤うようにして鼻を鳴らした。



「し、しかし、それでも、その穴をこの小僧が空けてないとはいえない」



「はぁっ!?」


「おいおい、それはないだろう」



 まだ、言うか?

 と、後に引けなそうな町長の言葉にヒイロもエステアも呆れた声を出すが、それでも確かめるまでは信じられないと、町長はヒイロをその町外の大穴にまで連れて行こうとする。



「ちっ、しょうがねぇ。ここまで来たんだ。とりあえず、付き合ってやる」



「ふむ、お人好しだな、少年」



 それで町長の気が済み、己への疑いが晴れるならとヒイロは前を先導する町長の後を着いていく。

 そして、大穴が空いているという場所に衛兵に連れられてやって来た町長とヒイロはその穴の大きさにあんぐりと口を開いて驚いた。

 その穴の大きさは大人一人を有に飲み込む処か、家の一軒をも飲み込んでしまいそうな程に大きな穴だったのだ。



「これを少年が一人で行うとなると無理があるな」



「ぐむむむっ」



「へっ」



 その大穴の様子にエステアがヒイロには不可能であると事を告げて、それに町長は遂に観念したのか、唸り声をあげて、何も言えない状態となる。

 ヒイロはそんな町長の姿にざまあみろと言わんばかりに笑みの声を漏らす。 



「ぐぬぬ、だが、いつだ!? いつこの様な大穴が空いたのだ」 



 もはや、癇癪を起こした様な荒ぶる声で町長は衛兵に大穴の出現時期を詰め寄りながら問う。



「はぁ、たぶん、昨夜の地震によって出来た物かと」



「じ、地震だと? そ、そんな物、知らんぞ」



「はぁ、どうやら昨夜は町長は深く寝行っていたご様子ですね。深夜でしたが、結構、大きな地震がありましたよ」



「あぁ、確かにな。私もそれで一度、目を覚ましたよ」



「そ、そうですか」



「それに町長、その影響か、ほらあそこ。なんか、地面が隆起して扇状の岩山まで出来て、それはそれは凄い地震でしたよ」



「そ、そうか」



 そ、そうなんだ。

 町長と同じく深く寝行っていた様子のヒイロも、昨夜の深夜に地震が起きた事には気が付いていなかった。この事に付いては町長を追求せずに、何も言わない方が吉だなとヒイロは口を閉じる事にした。

 


「まぁ、何にせよ、これで少年に掛かった嫌疑も晴れた訳だ」



「うぐぐっ………はい、そのようですね」



 そうすると、ようやく観念したのか町長は己の持論を取り下げる。

 そして、そのままヒイロの良いように勝手に話が進み、エステアの進言もあって、彼への嫌疑は晴れたのだった。



「しかし、この様な大穴、どうやって」


 ヒイロ犯人説が終わりを迎えて、一段落つくと町長は大穴の前で座り込み、結局、噴水枯渇の解決には至らなかった為に、これからの町の行く末を考えて、頭を悩ませ始めた。

 これほどの大穴が空いた地殻変動だ。

 もう、町に水が戻って来ることはないのかもしれない、と町長はそう考えるているのだ。

 それを見てヒイロは疑いを掛けられて怒りの感情を抱いていた筈なのに何だか町長が哀れに思い始めて、彼の肩に手を置いて慰め様とする。



「まぁ、大丈夫だろう。水源が消えた訳じないし、また…」


「黙れ!!」


「うぉ?!」


「旅人の貴様に何が分かる! この町に水が無くなったのだぞ!! もうお仕舞いだ!! 町が死んでしまう!!」


 しかし、そんなヒイロの慰めなど聞きたくないというように町長は声をあげて、彼はそのままその大穴の前にへたり込んでしまう。それから、なんと、オイオイと涙を流しながら泣き始めてしまったではないか。



「だから、水源は無くなってねぇって。ここの水源って地下水だろ? 地震の地殻変動で、そりぁ多少は場所や形が変わってるかもしれないけど枯渇して無くなった訳じゃない」



「しかし、水は出とらんじゃないか!!」



「だから、それは場所か形が変わってそのままじゃ今までの場所からは出てこないってだけで、工事すりゃ何とかなるかもしれねぇだろ」



 ヒイロは怒りながらも泣き腫らす町長を慰める為に無い知恵を絞ってそんな事を言う。



「小僧…」



 しかし、ヒイロは知らない。

 前の世界の日本でこそ、その科学技術が発展して、水源の発見やその確保の仕方が確立しているものの、それでもそれを行うとなると莫大な人材と財源が必要となる事を。



「それを探るのにどれくらいの人間が必要だ!? それをするのにどれくらい金が必要だ!? 分かった上での言葉だろうなっ!!」



「うぇっ!?」



 だから、その軽はずみな言動に町長は怒り顔で怒鳴り声を上げてヒイロを睨み付ける。

 それに前の世界ではぬくぬくとした環境で育つ学生で未だ事業の複雑な工程を知らぬヒイロは心底、間抜けな表情で町長の顔を見る。



「はっ! やはり、知らぬのであろうな。ふん、その若さで知る筈があるまい。砂漠で水源を探るという事がどれ程に大変かと言う事をなっ!! うぅ…」



 憎々しげにヒイロにそう言い放つ町長は、またオイオイと涙を流しながら泣き出してしまう。

 それに、確かに工事をするにしても人手やそれに掛かる費用という物を考えていなかったヒイロは町長に言われて初めて気が付き、なんとも言えない表情をして町長を見る。



(うーむ、失言だったか…て、うおっ!? また、地震か!?)



 と、その時、深夜に続き、また大きな地震が起きて、ヒイロ達のいる大地を大きく揺らす。



「とととぉっ!?」


「どひゃぁ!!」


「む、これもまた大きいぞ」


「はれ?」



 ヒイロ、衛兵、エステアと、一様にその場に居る皆がその地震の大きさ、揺れの大きさに驚いて声を上げる。

 が、一人だけ、大穴近くに座り込んでいた町長だけは揺れの反動でその身を大穴へと落としそうになり、間抜けな声をあげた。



「おっさん!!」


「ぬおぉっ!?」


 しかし、それを近くに居たヒイロが手を出して、町長が大穴に入る前にその身体を引っ張りあげる。


「っ、危ねぇなって、うおっ!?」



 だが、その時。

 再度、大きな地震が起きて大地が揺れに揺れて、踏ん張る事が出来ないヒイロは町長を引っ張り助ける入れ替わりに、その身を大穴へと投げ出してしまう。



「少年っ!?」



「小僧ぉおおっ!?」



 それを目の前で見ていたエステアとヒイロの代わりに何とか大穴から助け出された町長が声を上げてヒイロの事を呼ぶが、助けるまでには至らない。



「くそっ、俺ってやつはつくづく救われねぇ」



 これでは、前の世界からこの世界に来たときと同じ状態ではないかとヒイロは底も見えない真っ暗な大穴を落ちながら独りごちた。



(あぁ、だったら、これで元の世界に戻れたなら)



 そんな訳はないだろう事はヒイロも分かっている。だが、しかし、それならこうして死ぬ前にもう一度だけ故郷の姿を見てみたかったな、と思いながら彼はその瞳をゆっくりと、閉じたのであった。









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