女
初投稿!
女
カラスがないた
もう夕方か。
カラスは、えらい、
夕方になったことを
わざわざ知らせてくれるから
誰かに言われた訳でもないのに
私とは、大違いだ。
私には、二年同棲をしていた彼がいた
彼は、仕事をしていて
その帰りを待つのが私の役目だった
「ただいま」と言えば
「おかえり」と私が彼のいる玄関まで
迎えに行く。
彼は、おかえりと言った私の頭を撫でて
くれた、たまに寒かったり
仕事や何かがうまくいったときは、
私を抱きしめてくれたりした。
そして彼のために作ったご飯を
温めて出す
それからお風呂をわかす
ご飯を食べている彼を見ているのが
私は、好きでずっと見ていたら
彼が「なに?」と聞いてくるから
「何にもないよ」と言って
別のものに視線をうつす
それがお決まりの流れだ。
ご飯を食べ終わったらお風呂に入る
そしてもう寝る時間になる
彼は、力関係の仕事をしていて
疲れて帰ってくるから
すぐに寝る準備をしなきゃいけないのだ
そのために私は、布団を敷く
わがままを言えば
もっと彼との時間をすごしたいけど
疲れて帰ってくる彼を思うと申し訳ないしこんなお金に困らない
生活が出来ているのは、彼が働いてる
からであって私が彼のためにご飯を作ったって何をしたって
お金には、ならないから
わたしは、ただ、ただ待つだけなのだ
彼が布団に入る頃に私も寝る準備をする
お風呂に入って歯を磨いて
その間に彼は、寝ている事が多いけど
ときどき起きていて
彼が私を求める。それに私は、答えて
朝がくる。
私から求めた時は、一度もない
断られるのが怖いのもあるけどこういう事は、好んでやる方じゃないからだ。
彼が求めるなら私は、それに
答えるしかない。それだけなのだ。
そんな毎日を過ごしてたら
彼がある日悲しい顔をして帰ってきた
「どうしたの?」
と私は、聞いたけど、
彼は、「なにもないよ」
と悲しい顔のままで答えた。
私は、「そっか」しか言えなかった。
そのあとも彼は、なにかを悩んで
いるようにため息をつくから
「ご飯あとにして先にお風呂入る?」
と私なりに色々と気を使った結果
がこれだ。これじゃあ彼の悩みなんか
消えやしないし何の手助けにもなっていない。
「いや。ご飯先食べるよ」
彼が言った
「わかった。すぐに温めるね!」
早くなるべく早くご飯を温めた
「はい、おまたせ」
彼の前にご飯を出す。
こんなことなら揚げ物じゃなくて
煮物とか優しい食べ物に
すればよかった。
そんなことを考えていたら
彼が言った
「いいよな、女は、頭が悪くても愛想がよくて料理が出来て掃除ができさえすればこうやって働かずに生きていけるん
だから羨ましいよ。」
ビックリした。
一瞬にして私のなかから
音を消したように
怒りさえも悲しささえも
なにもわかなかった。
それでも彼になにかを言わなくちゃ
何か気のきいた言葉を、
「そうだよね」
わたしは、これしか言えなかった。
そのあと彼は、なにも言わずに
ご飯を食べて寝た。
次の日彼は、帰ってこなかった。
朝「行ってきます」を言ったきり
帰ってくることは、なかった。
原因は、きっと私だ。
あの時私が彼のために何か出来て
あげてれば何かが違っただろうか。
あの時私が
「男の人だって仕事をして結果を
出せば評価されるじゃない。」
そうやって彼に言い返していれば
彼は、帰ってきてくれたのだろうか。
なんであの時
「そうだよね」なんて言ったんだろう。
もっと他にあの言葉にぴったりと
当てはまる答えがあったはずなのに
私は、いつもそうだ。
彼を助けるための言葉の引き出しを
私は、もっていない。
元々言葉のキャッチボールが苦手で
誰かからもらったボールを
私は、ちゃんと返さずに
受け止めることしか出来ないのだ。
カラスみたいにオスとメスだけの関係
だけだったらこんなにも
悩むことないのに、、、、
彼がいなくなってもう二ヶ月も経つのに
まだ彼を待っている
私は、未練がましいだろうか。
今日は、雨が降っているから
傘をさしてスーパーに行こう
彼のご飯を作る材料を買うために
買い物を終えて帰っていたら
雨で濡れている床で滑って転んでしまいこの日は、風が強かったため傘も飛んで
いってしまった
雨に濡れて転んでいる私に
歩いている人たちは、目もくれず
ひたすら前を向いて歩く。
その日の雨は、やたら冷たくて
私の肌を刺すように雨が降る。
立ち上がろうとしたら
足を挫いたみたいですぐに
立ち上がることが出来ない。
そんな私を嘲笑うかのように雨は、降る
こんなときにどうして彼の事を
思い出してしまうのだろう。
思い出したって何も変わらないのに
彼が帰ってくることは、ないのに。
彼にとって私は、何だったのだろう。
あの時彼が言った言葉に対して
気の聞いた言葉を言えない私も
悪いかも知れないけれど
出ていくほどのことだろうか
彼に対して初めて怒りが湧いた。
それに涙も出た。
彼に何もいってあげられなかった
悔しさと彼にとって私は、
「オンナ」でしかなかったのだろうか
そう思うと悲しくて堪らなくなった
彼は、今どこで何をしてるだろう。
彼の頭の中に私は、いるだろうか。
そんな事を頭の中で問いながら
雨に濡れてるわたしに
誰かが声をかけてくれた
「あの大丈夫ですか?」
そういうと私に手を差しのべてくれた。
「あ、すみません」
男の人だった。
急いで涙をふき
その人の手を掴みお礼を言う。
「すみません、ありがとうございます」
「いえ、大丈夫ですよ。それより歩けますか?」
色んな思いで一杯になってたから
足を挫いた事なんかすっかり忘れていた
「あ、すみません‼大丈夫です!
ありがとうございました。」
とは、言ってみたもののさっきまで
痛みなんてちっとも感じなかったのに
一人で歩くには、儘ならないほど
足に激痛が走った。
「あのー」
さっきの人だ。
「やっぱり大丈夫じゃないですよね
困ったときは、お互い様なんで
家まで送らせてください!」
断っても一人では、歩けないから
悪いと思いながらも素直に
肩を借りて家まで送ってもらう事に
した。
そんな帰り道
こんな私に男の人は、色々と話しかけてくれたりもした。
聞けば中学の教師をしているとかで
学校で必要な物を買い出しして
戻っていたら雨に濡れて転んでいる私を見つけて放っては、おけなかった
らしい。
それを聞いた私が申し訳なさそう
お礼を言うと
「いえ当たり前のことをしたまでです」
そう言って男の人は、笑った。
当たり前じゃないのにな。
全然当たり前の事じゃないのに
「あ、ここです私の家」
色々話していたらあっという間に
マンションについた。
「すみません、
ありがとうございました」
わたしの住んでる部屋まで
送ってくれたから何かお礼を
したいと言ったら
「そんな当然の事をしたまでなので
お礼何かしてもらう程でもないので
大丈夫ですよ。それじゃあ」
男の人がそう言って背中を向けたとき
「あの!」
私は言った。
「当たり前じゃないとおもいます!
私に声をかけてくれた事も手を貸してくれた事も私だったらきっと見てみぬふりすると思います!だから貴方は、いい人です!強くて優しい人だと思います!」
初めてだこんなに言いたいことを
相手にちゃんと伝えたのは、
後悔は、なかったけど少し不安だった
男の人の顔をみると目を真ん丸と
していたけどすぐに笑顔になって
「ありがとうございます!それじゃあ
また何処かで!」
不思議と気持ちがはれてスッキリした
そうだ彼に伝えよう
今まで言いたかった事言えなかった事
私は、足を引きずりながら家に入った
そして今日も彼のためにご飯を
作って彼の帰りを待った。
ピンポーン
チャイムがなった。
、
最後まで読んでいただきありがとうございます!
また読みたいと思っていただけたら
幸いです




