表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/5

4

「自分たちって、わたしとエドガーのことですか?」


会長の視線が、わたしとエドガーを交互に見ているから、そう尋ねる。

と、ベルン会長は「そうだ!」とうなずく。


「知っているんだからな!最近、お前たちがつきあってるって。みんなが噂しているし」


「噂って。ただの噂でしょう?別にわたしたちはつきあってません」


会長がその噂を知っていたのは、意外だった。

そんな噂をいちいち会長の耳に入れる人がいるんだなぁと、感心する。


だけど、訊いてくれればすぐに否定したのに。

みんなが噂していること、イコール真実ってわけじゃないんだよ。


ね、とエドガーを促すと、エドガーもあっさりと首肯する。


「ふつうの、仲のいい友人ってだけですよ」


「うそだ!だってお前ら、いつも一緒にいるじゃないか!」


「そりゃ、クラスも一緒で、同じ生徒会役員ですし」


「俺も同じクラスで、生徒会役員だろう!?なのに、俺はいつも一緒じゃない!」


それは貴方がウザいからです、とは言えない。

貴方は仲のいい友人でもないですし、というか、友人でもないですよねー、とも言えない。

どうするんだ、これ。


「というか、わたしたちがダンスパーティで踊ろうと踊るまいと、会長には関係ないですよね?」


面倒になって、突き放したように言う。


というか、この会話の流れから察すると、わたしとエドガーが、自分たちがクリスマス・パーティで踊りたいっていう私情で、企画を推しているとでも言いたいのか。この会長は。


さっき生徒からの要望が多い企画だってことも、アリスちゃんの案があちこちの支援をとりつけ済みの良企画だってのも説明しただろうが。

むしろこのレベルの企画を、まともに企画書も読まないで切り捨てた会長のほうが私情に走っているんじゃないの?


イライラする気持ちのせいで、わたしの言葉はすっごく冷たく響いた。


あ、ちょっとマズかったかも。

言った瞬間、自分でもそう思った。

ベルン会長が、びくりと体を震わせる。

その目が、ひどく傷ついたように暗い色に染まる。


しまった。

言いすぎだ。


「ベルン会長……」


あわててとりつくろうように、会長の名前を呼ぶ。

だけど会長は、さっとわたしから目をそらした。


胸が、ずきりと痛む。

その瞬間。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ