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Mädchen Lippen    作者: Mayo
Ausbruch
3/32

Ausbruch Ⅲ

「それでは、留守を頼みましたよ。レティシア。」



 シャルロッテは足早に自室へと戻ると、すっかり自分に成り切ったレティシアに優しく声をかけた。ランフォードはどうやら騎士団長に挨拶に行くらしい。シャルロッテもすっかり忘れていたが、彼は一応、騎士団に所属している身なのだ。どうせまた同じようなものだから恐らく誰も気にしないだろうが。



「お気をつけて、シャルロッテ様。」



 レティシアの銀色の髪はすっかり見えなくなり、金色の付け毛で覆われている。


 シャルロッテは少しだけ、寂しくなった。



「…そうだわレティシア。これ、あなたにあげる。」



 そう言って、シャルロッテはレティシアに小さなネックレスを渡した。

 銀色に輝く、ロケットだった。



「おかあさまとお揃いなのよ。これであなたも完璧に私ね、」


 二人は、静かに微笑みあった。




「そこのロラン少年。そろそろ時間だぜ。」



 どうやら別れはすんだらしい。ランフォードが楽しそうに戻ってきた。



「…敬語がそんなに嫌だったのね。」



「いや…だって君、この国の国境を越えたら姫様に戻るんだろ。それなら今のうちじゃないか。」



 真面目な顔でそう言うランフォードに、レティシアとシャルロッテは、声を出して笑った。



「それでは姫様、行って参ります。」


「行ってらっしゃいロラン。無事を祈ります。」



 レティシアの顔は、凛としていた。













 二人が去ってから。


 レティシアは静かに、夕陽の沈みゆくさまを、この国の様子を眺めていた。

 真っ赤に焼けたような町は輝いてはいるがどこか物悲しい。



 そして、たった今旅立った好奇心旺盛な姫こそが、この国を救うのだと。


 そう、確信したのだ。




「そうだわ…」



 そしてふと、シャルロッテにもらったロケットに、誰の写真を入れようかと思いたった。本当は姫の写真を入れたいが、それではバレてしまうかもしれない。ならば王妃か。


 そう思って、そっと腰掛けロケットを開けると。




「…“ヴァイオリンに気をつけろ”…?」





 ロケットの内側に彫られた文字を読んだレティシアは、最期に。



 美しい旋律の、ヴァイオリンの音を聞いた。








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