自由の檻へ
※この作品は一部にAIを使用しております。ご了承ください。
2xyz年――世界では、“異能者”と呼ばれる存在が増え続けていた。
わずか数百年前、人体実験によって生まれた謎の力。
それは血を通して受け継がれ、やがて人の形をした“別の何か”を生み出した。
最初、それは「希望」だった。
力を持つ者も持たない者も互いに支え合い、その能力で世界をより良くしようとしていた。
誰もが、それを信じていた。
――だが、その夢は、たった一つの出来事で崩れ去った。
ある日、一人の異能者が誤って人を傷つけた。
命に別状はなかった。軽い怪我だった。
それでも世界は、それを“証明”だと受け取った。
異能者は危険という証明だと――
一度動き出した恐怖は止まらない。
やがて世界は決断した。
異能者を、隔離せよ――と。
そうして造られたのが、巨大隔離施設。
そこでは能力の強さによって扱いが分けられる。
弱い者には“自由”が与えられる。
施設内の探索、資源の利用――人権もある。
――ただし、外へは出られない。
では強い者には?
強い者には、何も与えられない。
中心部の小さな収容区画に閉じ込められ、監視の下で一生を終える。
空を見ることもなく、誰かと話すこともなく。
ただ静かに、終わりを待つだけの場所。
――そんな恐ろしい御伽話を、小さい頃から何度も聞かされてきた。
耳が痛くなるくらい、何度も何度も。
けれど、そんなの嘘に決まってる。
だって、この森で出会う人たちはみんな優しい。
お父さんも、お母さんも、兄も姉も。
だったら、外の世界だって同じはずだ。
怖い話ばかりするのは、きっと――
私がいなくなるのが、寂しいから。
だから今日こそ、森を抜ける。
――外の人たちに会いに行くんだ。
親の目を盗み、ドアを開けて、一気に駆け出す。
タッタッと軽く走る音が静かな森ではよく聞こえる。
森を抜けると、視界が一気に開けた。
遠くから見えていた街は、思っていたよりもずっと大きくて、ずっと賑やかだった。
人がいる。
知らない人が、たくさんいる。
胸が高鳴る。
私は、思い切って一歩を踏み出した。
「あの―――」
近くに居た人に声をかけると、一人の大人が振り返る。
少し驚いた顔をして、それから、困ったように笑った。
「どうしたの?」
優しい声だった。
(そうだよ、やっぱり、外の人も――
危険じゃないんだ。)
そう思った、その瞬間。
その人の視線が、私の顔に止まる。
……一瞬で、表情が変わった。
笑顔が消えて、目が見開かれる。
「………え?」
怯えた様子で後ずさる。
震える手で、ポケットからスマホを取り出す。
「ちょ、ちょっと待って…!―――」
呼び止めるよりも早く、その人は画面を操作していた。
「こちらエノウ区です!異能者を発見しました!」
高い悲鳴に似た声が周りの視線を集める。
頭の中が、真っ白になる。
さっきまでの優しさが、まるで嘘みたいに消えていた。
とにかく、街の端を目指して逃げる。
これまでにない速さで、人混みをかき分ける。
肩がぶつかる。誰かの悲鳴が上がる。
「異能者だ!」「離れろ!」「逃げましょ!」
あちこちから声が飛ぶ。
目が合った人たちは、みんな同じ反応だった。
スマホを取り出す者、逃げ出す者、ただ怯えて立ち尽くす者。
息が苦しい。視界が揺れる。
それでも、足は止められない。
(――逃げなきゃ。)
頭の中でずっと鳴り止まないその声を気にする間も無く走り続ける。
やがて建物が少なくなり、草木が増えていく。
もう少しで、森に戻れる。
そう思った、その時だった。
「――いたぞ!!」
背後から、鋭く響く声。
警察達が追いついてきた。
振り返るよりも先に、身体が動く。
近くにあった低木のプランターの裏へ、身を滑り込ませた。
心臓がうるさい。
息を殺すように、口を押さえる。
足音が、近づいてくる。
一歩、また一歩。
(――見つからないで。)
祈るように、目を閉じた。
けれど。
「……ここだ!ここにいたぞ!」
低い声が、すぐ上から降ってきた。
肩を強く掴まれ、視界が引き上げられる。
「やめて――」
言葉は最後まで出なかった。
言わせてもらえなかった。
(――やっぱり、外なんか出るんじゃなかった。)
そう思った時には、もう遅かった。
私は捕まった。
ここまで読んでくださりありがとうございました。主人公の名前はノアと言います。もし今後も読み続けてくださるのであれば、何卒よろしくお願いします。




