オタクの片付けは難しい
「よし、やるかっ!」
私は気合いを入れて腕まくりをする。
一体、何度同じように気合いを入れたことだろう。
とにかく、今日はやるのだ。部屋の片付けを!
このエントロピーが増大しまくった部屋をなんとかせねば!
少しは物を減らして人間が快適に暮らせる部屋を確保せねばならない!
とはいえ、
「あ、これ。探してた本! 読みたいと思ってたけど、なかなか見つからなかったんだよね」
ちょっと乱雑なところに手を突っ込んだだけで何かが発見されてしまう。発掘された懐かしい本はどうしても手が止まる原因になる。
「いかんいかん」
私は自分を戒める。
本を読んでいると片付けが進まないのは、小学生の頃から体験してきたことじゃないか。
と、今度は本棚以外の場所に手をつけることにする。
そして、棚からはみ出てちょっと埃を被ってしまっているフィギュアを手に取る。最近好きになったキャラがいて、そっちを棚に入れたら場所が無くなってしまったから、仕方なく出したんだった。
「この子もちょっと前はめちゃくちゃハマってたんだよね……。推しは移ろっていく……」
うんうん、と私は以前の推しを前に頷く。今でも一応人気はあるみたいだから、どこかで売れるかもしれない。
「埃、取るか……」
最近はあまり興味なくなっていたとはいえ、一時はハマりまくっていた推しだ。埃が被っているなんて不憫すぎる。それに、キレイな方が高く売れるし。
けれど、丁寧に埃を取っていたら、あの頃の気持ちが蘇ってきた。そうだ。私、このキャラが大好きだったんだ。売ったら後悔するかもしれない。
だって、こういうグッズって基本再販はされない。手放したら二度と戻ってこないものなのだ。うっかり手放して、再び欲しいと思ったときにプレミア価格にでもなっていたら困る。
「うんうん」
頷いて、私は他のグッズの埃も取っていった。
で、かなりの時間を掛けて片付けを決行したはずなのだけれど。
「結局、何も減らなかった」
私は一応片付けた(?)部屋を見回して呟いた。
生活空間は圧迫され、私の部屋は本やグッズで溢れている。ただ、掃除してキレイになったのが救いというところか。
だけど、仕方ない。
だって、オタクだもの。
宝物を手放すなんてとんでもない。




