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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生
雑務課 業務日誌総括

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第82話:物流革命

トウマが持ち込んできた分厚い報告書には、大陸全土を流れる物資の「不純物」がびっしりと書き込まれていた。


「係長、現在の物流は極めて非効率です。各国の関税手続きの重複、規格のバラバラな輸送コンテナ、そして何より、古い利権によって維持されている遠回りの配送ルート。これらをすべて再定義しました」


トウマは地図上に、かつての複雑な道筋とは異なる、美しく合理的な直線を描き出した。


「具体的にどう変えるつもりだ」

俺はコーヒーを片手に、その洗練された図面を眺めた。


「まず、輸送用魔導コンテナのサイズを大陸共通規格で統一します。これにより積み替え作業の時間を七割削減できる。次に、先日の情報網を活用した自動通関システムを導入し、国境での足止めを事実上ゼロにします」


トウマの提案は、物理的な道路を作るのではなく、制度という名の「情報の高速道路」を敷くことだった。


「そんなことをすれば、関税で稼いでいた小国の役人や、中継地で暴利を貪っていた商人が黙っていないぞ」


「懸念は不要です。配送コストの削減によって生まれる余剰利益の一部を、それらの地域へのインフラ維持費として還流させる計算です。抗うよりも、この流れに乗る方が彼らにとっても合理的ですから」


トウマの言葉通り、物流の再編が始まると、大陸中の市場に劇的な変化が起きた。北方の新鮮な魚がその日のうちに南方の食卓に並び、復興に必要な資材は滞ることなく被災地へ送り届けられた。


「物が動けば、金が動き、人の不安が消える。トウマ、お前の引いたこの一本の線が、どれだけの空腹を救ったか自覚はあるか」


「私はただ、不備を修正して最適化しただけです。感情的な満足度は計算外ですが、数値上の成果は想定通りです」


トウマは眼鏡のブリッジを押し上げ、平然と答えた。


かつては物理的な壁に阻まれていた世界が、事務屋の描いた設計図によって、一つの巨大な経済圏として脈打ち始めた。

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