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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生
雑務課 業務日誌総括

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第74話:反乱の兆し

平和の裏側で、数字は静かに歪み始めていた。表向きは復興予算として処理されている金流の末端が、不自然な場所で途切れている。


ミラが音もなく執務室に入り、俺の机に一枚の非公開レポートを置いた。彼女の瞳には、いつも以上の冷徹な光が宿っている。


「係長、看過できない不備を見つけました。旧王都近郊の廃村において、不自然な食料と燃料の集積が確認されています。名目は慈善団体の支援物資ですが、その配送ルートを辿ると、かつて将軍の直属だった退役兵たちが運営するダミー会社に行き着きます」


俺はレポートを捲り、記載された物資のリストに目を落とした。

「保存食に医療品、それに魔導炉の予備触媒か。単なる炊き出しにしては、装備が整いすぎているな」


「それだけではありません。ミラが現地に潜入したところ、地下倉庫で大量の旧式魔導銃の整備が行われていました。彼らは平和を享受しているのではなく、平和という名のシステムを内側から破壊する準備を進めています。目的は、武力による軍事政権の再興です」


ミラは淡々と事実を積み上げていく。その報告は、感情を排したからこそ、迫り来る危機をより鮮明に浮き彫りにしていた。


「リクには伝えたのか」

「既に。彼は警備隊の配置を見直しています。ですが、相手は戦場を知り尽くしたプロです。正規軍の残党が組織的に動けば、現在の脆弱な治安維持機構では抑えきれない可能性があります」


俺は椅子に深く背を預け、天井を見上げた。

「平和が、彼らにとっては耐え難い不備だったというわけか。将軍が言っていた通りだな。失われた栄光を取り戻すために、再び世界を戦場という名の赤字に叩き落とそうとしている」


「どうされますか、係長。このまま実務として、彼らを排除する手続きに入りますか」


ミラの問いに、俺は静かに頷いた。

「もちろんだ。不適切な在庫は整理しなければならない。ただし、武力での衝突は最後の手段だ。まずは彼らの兵站を事務的に遮断する。資金源となっている口座をすべて凍結し、補給路を法令違反で封鎖しろ。彼らが引き金を引く前に、戦うためのリソースを根こそぎ奪い取る」


平和という名の帳簿に、致命的な赤字が書き込まれようとしている。

俺たちはペンと数字を武器に、影で蠢く暴力の芽を摘み取るための作業を開始した。

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