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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生
雑務課 業務日誌総括

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第72話:護衛

「今日から君の直属護衛として配属された」

勇者は執務室のドアの脇に立ち、腕を組んでそう告げた。重厚な鎧こそ脱いでいるが、その存在感だけで部屋が狭く感じられる。


俺は台帳から目を上げることなく、淡々とペンを走らせた。

「勇者に守られる事務屋か。随分と贅沢な予算の使い方だな。俺の命に、伝説を雇うほどの資産価値はないはずだ」


勇者は短く笑い、肩をすくめた。

「予算の心配は無用だ。これは国王と大臣からの特命だからな。それに、昨夜お前を襲った男は氷山の一角に過ぎない。お前の出す数字は、多くの権力者にとって魔王の呪いより不都合らしい」


「ただの算術だ。彼らが放置した不備を修正しているに過ぎない」

俺は書類に印を突き、次の束を引き寄せた。


「その算術が、俺の聖剣よりも確実に彼らを追い詰めている。ペン一本で利権を解体される側からすれば、お前は魔王以上に恐ろしい存在だろうよ。殺そうとする奴が出るのは当然だ」

勇者は窓際に移動し、鋭い視線で階下の広場を監視し始めた。


「刺客を寄越すくらいなら、正式な不服申し立ての書類でも送ってほしいものだ。暗殺未遂の事後処理は、標準的な苦情処理の倍の労力がかかる」


「なら、二度とその報告書を書かなくて済むようにしてやる」

勇者の視線は鋭かった。彼はもう魔物を探してはいない。平和な街の影に潜む、不透明な悪意を捉えようとしていた。


俺は彼の背中を見て、小さく溜息をついた。

「勇者がデスクワーカーの番犬か。つくづく、平和ってのは贅沢なものだな」


「番犬じゃない。世界の調整役が正常に機能するよう維持する。それもまた勇者の役割だ」


執務室には、俺のペンが走る音と、勇者の静かな呼吸だけが響いていた。

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