表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生
雑務課 業務日誌総括

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/149

第71話:暗殺未遂

戦後調整局の執務室を出る時間は、いつも深夜を過ぎる。


月明かりが照らす人気のない廊下を歩いていると、曲がり角の影から一人の男が飛び出してきた。その手には、不自然に鈍く光る短剣が握られている。


「お前のせいで、俺の商売はめちゃくちゃだ! 帳簿の数字一つで、どれだけの人間が路頭に迷ったと思っている!」


男は悲鳴のような声を上げながら、俺の胸元へと短剣を突き出した。しかし、その刃が届く直前、影から伸びた黒い手袋が男の手首を冷徹に掴み取った。リクである。


「遅いな。殺意に事務的な正確さが欠けているぞ」


リクは無造作に男を床へ叩きつけた。男は呻き声を上げながらも、俺を呪わしげに睨みつける。


「貴様、雑務課の分際で、大陸の王にでもなったつもりか。武器の密輸も、軍との癒着も、すべてが円滑に回っていたんだ。余計な計算さえしなければ、俺たちは今頃……」


俺は乱れたネクタイを整え、足元に転がった短剣を冷めた目で見下ろした。


「円滑なのは、あんたの財布の中身だけだろう。その癒着が生んでいた損失を国全体の予算に計上すれば、あんたがここにいる理由も説明がつく。あんたは単に、不採算部門として切り捨てられただけだ」


「ふざけるな! 俺たちの人生を数字で片付けるな!」


「人生を数字に変えたのは、あんたたちが始めた戦争だ。俺はそれを、元の形に戻しているに過ぎない」


俺は警備隊へ連絡を入れ、再び歩き始めた。


「リク、この男の背後関係を洗っておけ。取引先、隠し口座、関与していた貴族の名前。すべてをリスト化して、明日の午前中までに私の机に置いてくれ」


「了解だ。少しは休んだらどうだ、係長。命を狙われるのは、立派な過重労働だぞ」


俺は苦笑し、歩みを止めることなく答えた。


「暗殺未遂の事後処理も雑務のうちだ。平和が続く限り、仕事が減ることはなさそうだな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ