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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生


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第7話:現場視察

「机上の空論にするつもりはない」

俺はそう言って、前線への物資輸送隊への同行を志願した。サニアは「危なすぎる」と反対したが、物流の末端を知らなければ、真の最適化はできない。


だが、現実は想像以上に無残だった。


森の街道を進む最中、甲高い咆哮と共に、百を超える魔物の群れが襲いかかってきた。

「敵襲! 迎え撃て!」

護衛の騎士たちが一斉に抜剣する。一人ひとりの武力は凄まじい。一振りで魔物の首を飛ばし、強力な魔力で地面を抉る。


だが、そこには「軍」としての機能が欠落していた。


獲物を奪い合おうと騎士同士が肩をぶつけ合い、攻撃の邪魔をしている。

後方で魔法を唱える回復役の聖女は、守るべき盾役が功を焦って突出したため、完全に孤立していた。

「助けて! 誰か!」

彼女の悲鳴は、怒号にかき消される。


戦闘が終わった後、街道に広がっていたのは目を覆いたくなるような惨状だった。

魔物の死骸よりも、味方の流血が目立つ。


「勝ったぞ! 勇猛に戦った結果だ!」

指揮官が血に濡れた剣を掲げている。だが俺は、黙って倒れている兵士たちの元へ駆け寄った。


一人の兵士は、背後から味方の槍に突かれていた。乱戦の中での誤射だ。

別の兵士は、かすり傷程度の毒で命を落としていた。回復役との連携が取れず、解毒が数分遅れたせいだ。

さらに別の兵士は、倒れた後に後続の馬車に轢かれていた。


(……これは、戦闘じゃない)


俺は血に汚れた手帳に、淡々と事実を書き込んでいく。


「報告します。今回の死傷者、計十二名」

「ああ、名誉ある犠牲だ」

指揮官が鼻を鳴らす。俺はそいつを冷たく見据えて言い放った。


「違います。そのうち六名は、魔物の攻撃で死んだんじゃない。味方との衝突、搬送の遅れ、そして情報共有の欠如による『二次災害』です」


現場にいた者たちが凍りつく。

俺が見たのは、華々しい騎士の戦いなどではなかった。

ただの「安全管理の放棄」と「工程の不備」による、無駄な命の安売りだった。


「戦死者の半分は、死ぬ必要がなかった。……この戦場、まだ効率化の余地しかないな」


俺の言葉に、生き残った兵士たちが顔を見合わせる。

彼らの瞳に宿ったのは、指揮官への畏怖ではなく、この「死の連鎖」を止めてくれるかもしれない者への、縋るような期待だった。

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