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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生
雑務課 業務日誌総括

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第66話:復興利権

戦争によって焦土と化した街の再建は、巨大な富を生む。その莫大な予算と利権を巡り、今度は王都の貴族たちが醜い争いを始めた。


「この区画の再開発は、我が家系が代々守ってきた土地だ。建設業者の選定権も我らにある」

「何を言うか。資材の調達ルートを確保しているのは我が領地だ。優先権はこちらにあるはずだ」

会議室では、復興の進捗よりも、誰がどれだけの利益を得るかという議論ばかりが空転していた。


主人公は、隣で冷ややかに資料を整理しているトウマに目配せをした。

「トウマ、例の件はどうなっている」

「準備は整っています。これ以上、彼らの主観的な主張に振り回される必要はありません」


トウマは立ち上がり、揉める貴族たちの前に一枚の巨大な掲示板を運び込ませた。そこには、全ての復興プロジェクトの予算、業者選定基準、そして進捗状況が詳細に記された「公開契約台帳」が貼り出されていた。


「これからは、全ての契約を透明化します。どの業者が、どのような理由で選ばれ、どれだけの対価が支払われたのか。市民を含む全ての関係者が、いつでも閲覧できるようにシステムを改めました」

トウマの淡々とした宣言に、会議室が凍りつく。


「ま、待て! 契約の内容は国家機密も含まれる。このような無節操な公開は混乱を招くだけだ!」

一人の貴族が顔を真っ赤にして抗議する。


「機密の定義を恣意的に拡大するのは、事務上の怠慢です」

トウマは眼鏡のブリッジを押し上げ、冷徹に言い放った。

「不正なキックバックや不透明な選定基準が排除されることで、復興費用は全体で二割削減されます。浮いた予算は、皆さんの領地のインフラ整備に還元される仕組みです。文句がある方は、この合理性を覆すだけの対案を数字で示してください」


貴族たちは口を噤んだ。これ以上騒げば、自らの懐を肥やそうとしていることを公に認めるようなものだったからだ。


トウマの徹底した透明化戦略により、泥沼化していた利権争いは急速に沈静化していった。


だが、会議を終えて部屋を去る貴族たちの背中には、隠しきれない恨みが漂っていた。彼らにとって、事務方はもはや「便利な道具」ではなく、自分たちの甘い汁を吸う特権を奪う「目の上のたんこぶ」へと変わっていた。


「平和を維持する仕組みが整うほど、古い秩序にしがみつく連中からの憎悪は蓄積していくな」

主人公の独り言に、トウマは無表情に答えた。

「それも管理コストの一部です。次の不備に備えましょう」

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