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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生
雑務課 業務日誌総括

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第64話:影の市場

武器買い取り制度が施行された後も、闇市場での武器密輸は完全には止まらなかった。むしろ、希少な魔導兵器の取引価格は高騰し、流通経路はより複雑に、地下深くへと潜伏していた。


ミラは薄暗い執務室で、膨大な物流データと資金の移動記録を突き合わせていた。

「係長、不自然な情報の断片を捕捉しました。正規の廃棄リストに載っているはずの魔導回路が、特定のダミー会社を経由して一箇所に集積されています」

「場所は特定できるか」

「王都の北、旧軍需倉庫街の地下です。私が直接、現場の整合性を確認してきます」


ミラは影に潜み、地下市場へと足を踏み入れた。そこには、戦場から回収された最新鋭の魔導剣や魔力増幅器が並び、不気味な活気を呈していた。


「これはいい、以前の倍の値段で売れるぞ」

「やはり平和は不景気でいけない。少しでも各地に火種をまいて、需要を作らねばな」

談笑していたのは、かつて戦争中に軍部と癒着し、莫大な利益を上げていた商人たちであった。


ミラは冷徹な足取りで、彼らの前に姿を現した。

「市場の自由を標榜するには、少し帳簿が汚れすぎていますね」

「な、何だ貴様は! 衛兵か!」

商人が慌てて武器を隠そうとするが、ミラは既に手元の魔導端末に全ての取引証拠を記録していた。


「私は事務屋です。あなたたちの不適切な在庫を整理しに来ました」

「ふん、小娘が。戦争が終われば俺たちの時代も終わりだと言うのか。あんなに儲かった日々を忘れろというのか!」

商人の一人が、悔しげに机を叩く。


ミラは無表情に、計算書を突きつけた。

「道理ではなく、計算の話をしています。あなたたちが市場を乱すことによる経済損失は、年間で王国の国家予算の一割に相当します。つまり、あなたたちの存在そのものが、現在のシステムにおける致命的な不備なのです」

「な、何を言っている……」

「今すぐ全ての在庫を公定価格で放出し、事業内容を復興支援に切り替えるか。それとも、全ての資産を凍結され、地下牢で余生を過ごすか。どちらが合理的か、判断してください」


商人の男は、ミラの瞳に宿る、感情を排した絶対的な「数字の意志」に圧され、その場に崩れ落ちた。


その夜、地下市場は音もなく閉鎖された。

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