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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生
雑務課 業務日誌総括

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第58話:武器の行方

戦争が終わっても、鉄の匂いは街から消えない。かつて戦場を埋め尽くした数万の剣や槍、そして魔導兵器の残骸が、非合法なルートで市場に流出しているという不穏な報告が届く。


「係長、例の流出経路の特定が完了しました。……犯人は、王都の商人ギルドです」

トウマが分厚い在庫リストを机に置きながら、苦々しい表情で報告した。

「商人が武器を横流ししているのか。それとも再販ルートの確保か」

俺の問いに、トウマは首を横に振った。

「逆です。彼らは市場に出ている武器を、相場より高い値段で密かに回収しているんです。王都の外れにある大型倉庫は、今や一つの軍団を武装させられるほどの魔導兵装で埋め尽くされています」


俺はトウマを連れ、商人ギルドの代表の元へ向かった。案内された応接室で、恰幅の良い男が皮肉な笑みを浮かべて待ち構えていた。

「これは戦後調整局の皆さん、わざわざお越しいただけるとは。私が何か、事務的なミスでも犯しましたかな」

「とぼけるな。あの地下倉庫に隠している大量の武器は何だ。再販の認可は出していないはずだが」

トウマが鋭く問い詰めると、男は悪びれる様子もなく、高級な茶を啜った。

「再販などしませんよ。これは単なる備蓄、いわば保険です。係長、あんたも分かっているはずだ。和平なんてものは、書類の上に書かれた一時的な合意に過ぎない。いつかまた空が裂け、魔力が暴走する日が必ず来る。その時、武器を持っていない商人は真っ先に淘汰される。次の戦争に備えて資産を守るのは、商売人として当然の義務でしょう」


俺は男の冷徹な理論を聞き流し、懐から一枚の新しい規定書を取り出した。

「将来の不確定な不備のために、現在の治安を損なうのは賢い投資とは言えない。その在庫、国がすべて買い取ろう」

「買い取るだと。この量をか。一体どこにそんな予算がある」

「ギルドが提示している闇相場より一割高い公定価格で決済する。武器を抱えて眠るよりも、その金を復興事業の利権に投資する方が、あんたたちにとっても利回りがいいはずだ。これは交渉ではない。不法所持で倉庫を没収されるか、正規の対価を受け取るかの二択だ」


男は苦虫を噛み潰したような顔で、提示された契約書にサインを認めた。

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