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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生
雑務課 業務日誌総括

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第56話:勇者の新しい役割

戦争が終わり、世界に静寂が戻った。だが、その静寂の中で役目を失った者がいた。


主人公は無機質な執務室で、一枚の辞令を差し出した。

「災害対応隊への配属案だ。君の次の業務はこれになる」


勇者は辞令を受け取ることなく、自らの掌を見つめた。

「災害対応隊だと。俺に土木作業員をやれと言うのか。係長、あんたも知っての通り、俺の腕は魔王を殺し、敵を殲滅するために最適化されている。この力は、平和な街では何かを壊すためにしか機能しない」


主人公は表情を変えず、事務的に言葉を返した。

「出力の大きさを破壊と定義しているのは君自身だ。事務方の視点から言えば、君は現時点で国内最大級の重量物移動リソースに過ぎない。崩落した城郭を単独で撤去し、救助ルートを確保できる人員は他には存在しない。これは感情論ではなく、実務上の適材適所の話だ」


勇者はしばらく沈黙した後、力なく辞令を手に取った。

「……分かった。職務であるなら、その命令を受理しよう」


数日後、魔術の暴発によって崩壊した街の救助現場に勇者の姿があった。


「全員、そこから離れていろ。ここは俺が担当する」

勇者はそう告げると、腰の剣に触れることさえしなかった。彼は屈強な作業員が数十人でかかっても動かせなかった巨大な石材の角を掴んだ。


「おい、冗談だろ。あんな巨石を一人で持ち上げるつもりか」

「見てろ、浮いたぞ! 本当に一人で持ち上げている!」

周囲の作業員から驚愕の声が上がる。勇者は歯を食いしばり、超人的な膂力だけで道を塞いでいた瓦礫を排除した。


「ありがとうございます、勇者様! おかげで子供が助かりました!」

「本当に、ありがとうございました」

瓦礫の下から救い出された親子が、泥にまみれた勇者の手を両手で握りしめた。


勇者はその手の震えと温かさを感じ、掠れた声で答えた。

「……俺の力が、君たちの役に立ったのなら、それでいい」


勇者はその時、初めて自分の力が「誰かの明日」を繋ぎ止めるために使えることを理解した。

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