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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生


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第25話:敵内部の亀裂

物流の網を掌握し、大地の脈動を一時的に沈めたことで、これまで見えてこなかった「敵側の事情」が浮き彫りになってきた。

俺が精査しているのは、戦場に残された魔王軍の軍令書や、部隊ごとの装備の差異だ。

それらを並べて分析すると、魔王軍という巨大な組織を切り裂く、三つの歪な亀裂が見えてきた。


一つは、人類の根絶のみを目的とする「人間殲滅派」。

一つは、終わりのない消耗戦に疲れ、密かに和睦を望む「共存派」。

そしてもう一つが、あの生成穴を管理し、死骸を資源として異形を造り続ける「兵器生成派」だ。


「……信じられないわ。同じ軍勢の中で、これほどまでに目的がバラバラだなんて」


サニアが俺の作成した相関図を覗き込み、驚愕に目を見開く。

これまでは「魔王の意志」という一つの巨大な力に立ち向かっていると思っていたが、実態は利害の異なる集団が、危うい均衡の上で手を組んでいるに過ぎなかった。


特に「兵器生成派」の存在は、他の二派にとっても不気味な影を落としている。

彼らにとっては、殲滅派が命じる死も、共存派が守ろうとする命も、単なる「材料」でしかないからだ。


「サニア、これが答えだ。俺たちが向き合うべきなのは、敵の武力だけじゃない」


俺は筆を取り、地図上の三つの地点に、異なる色の印を書き込んだ。


「戦争を止めるには、ただ戦術を磨いて敵を倒すだけでは足りない。敵の内部にあるこの不和を広げ、組織としての機能を内側から麻痺させる必要がある。……俺たちの管理術を、今度は敵の組織を解体するために使うんだ」


これまでは、自軍の無駄を省き、効率を高めることに心血を注いできた。

だが、この理不尽な連鎖を根底から断ち切るには、敵の意思決定そのものを機能不全に追い込まなければならない。


勇者になれなかった俺の戦いは、今や戦場の泥の中から、敵の心臓部にある「組織の綻び」へと手を伸ばし始めていた。

それは剣を振るうよりも遥かに静かで、そして何よりも確実に、この世界の道理を書き換えるための工作だった。

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