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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生


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第23話:勇者のチートとの衝突

戦場を眩い白光が包み込んだ。

召喚された勇者が放つ、至高の神聖魔術「ゴッズ・レイ」。

山をも削るその圧倒的な出力に、数千の魔物の群れが一瞬にして消滅した。


「見たか! これが選ばれし者の力だ!」


勇者が剣を掲げ、周囲の騎士たちが勝利の叫びを上げる。

だが、後方で観測を続けていた俺の視界には、全く別の、絶望的な光景が映し出されていた。


俺の解析インターフェースが、異常なほどの高エネルギー反応を検知する。

消滅したはずの魔物の残骸が、勇者の放った「神聖な魔力」を触媒にして、ドロドロとした高密度の魔力液へと変化していく。


そして、それらは霧散することなく、地を這うようにして「あの穴」へと吸い込まれていった。


数秒後。

戦場に、これまでとは比較にならないほど巨大で、禍々しいプレッシャーが漂い始めた。

穴から這い出してきたのは、勇者の光を吸収し、耐性を得た「再々出荷個体」だった。


「……嘘だろ? 今ので仕留めきれなかったのか!?」


勇者が狼狽し、再び剣を構える。

俺は思わず、叫んでいた。


「もう撃つな! お前のその『チート』こそが、この地獄に薪をくべているんだ!」


勇者の圧倒的な破壊力は、システムにとって「高品質なエネルギーの供給」でしかない。

強く叩けば、それだけ反動で強い敵が生まれる。

戦えば戦うほど、事態は悪化する。

これは、個人の武力という「点」では決して解決できない、残酷な数学的欠陥だった。


拠点に戻った俺は、サニア、レオン、そしてリクを前に、手帳を机に叩きつけた。

そこには、これまでの戦術論をすべて否定する、新しい方針が記されていた。


「これまでの俺たちは、いかに効率よく戦うかを考えてきた。だが、その考え方自体が間違っていたんだ」


俺は仲間の顔を一人ひとり見つめ、静かに、けれど断固とした口調で告げた。


「力では、この連鎖は止まらない。俺たちがすべきなのは、戦術の改善じゃない。戦争という構造そのものを変えることだ」


サニアが息を呑む。

レオンが戸惑い、リクが鋭い視線を送る。


「敵を倒して平和を掴むんじゃない。戦う理由そのものをシステムから削除する。……俺たちが管理しているこの物流、この情報、この権限すべてを使って、この国の、いや、この世界の運営方法を書き換える」


勇者になれなかった俺の、本当の意味での「初仕事」が決まった。

それは魔王を倒すことよりも遥かに困難で、傲慢な挑戦。

だが、管理責任者として、これ以上の無駄遣いを見過ごすわけにはいかない。


「戦争を、終了させるぞ」

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