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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生


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第17話:補給記録に存在しない部隊

後方支援統括本部の発足により、王国の物流は完全にデジタル……もとい、緻密な紙の台帳によって一元管理され始めた。

俺が構築した在庫管理システムは完璧なはずだった。

だが、その「完璧な数字」の中に、どうしても消えない小さな歪み(バグ)が見つかった。


「……ねえ、これを見て。何度計算しても、帳尻が合わないの」


サニアが困惑した表情で、分厚い台帳の一角を指差した。

そこには、どの騎士団の所属でもなく、進軍計画にも載っていない「空白の宛先」への配送記録が残っていた。


配送内容は、毎月決まって以下の通りだ。


保存食:30名分


下級回復薬:30瓶


木製の棺:30箱


俺は背筋に冷たいものが走るのを感じた。

食料と薬。ここまではいい。だが、なぜ毎月「棺」が同数送られている?

それも、一度も数が変動することなく。


「……これ、誤字じゃないな。サニアさん、この配送先、地図でどこに当たる?」


「それが、記録では『北の最果て・嘆きの谷』としか。そこは二十年前の旧大戦で放棄されたはずの場所よ」


俺は即座に、過去数十年分の古い記録をひっくり返した。

そして、この数字が意味する「効率的すぎる惨劇」を理解してしまった。


それは、バグではなかった。

「死ぬことが前提の部隊」が、制度として組み込まれていた証拠だった。


その部隊の役割は、魔王軍の進軍を数日だけ遅らせるための「生け贄」だ。

補充されるのは、身寄りのない平民や、罪を犯した元兵士たち。

彼らには「一ヶ月分の命」として、食料と、気休めの薬、そして自分たちが入るための棺桶がセットで送り込まれる。


一ヶ月経てば、彼らは全滅する。

すると、また新しい「30人」と「30箱の棺」が、機械的なルーチンとして補充される。

前世のブラック企業ですら、ここまで「使い捨て」をシステム化してはいなかった。


「……戦闘での損害じゃない。これは、予算の中に『死』をあらかじめ計上しているんだ」


俺の手が、怒りで小さく震える。

管理とは、命を救うためのものであって、効率的に殺すためのものではない。


「サニアさん、次の配送便を止めろ。……俺たちが直接、その『存在しない部隊』へ行く」


「本気? 監察官にバレたら、今度こそ不敬罪よ」


「不敬? 知るか。……管理責任者として、これほど無駄なコスト(命)の使い方は見過ごせない」

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