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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生


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第15話:初めての公式評価

ヴァルムが引き起こした大失態と、それを完璧に収拾した雑務課の功績。

もはや一貴族の嫉妬で隠せる規模ではなくなっていた。

事態を重く見た国王は、王直属の最高監察官、セルヴァン伯爵を地下へと送り込んだ。


セルヴァンは、かつてのヴァルムとは違った。

彼は感情や伝統ではなく、冷徹なまでの「実利」を重んじる男だった。

彼は三日間にわたり、雑務課の書類、倉庫の在庫、そして帰還した兵士たちへの聞き取り調査を徹底的に行った。


最終日。セルヴァンは俺の前に立ち、一冊の分厚い報告書を閉じた。


「……信じがたいが、これが現実か。君が来るまで、この国の軍隊は『最強の剣』を持ちながら、その振り方すら知らなかったというわけだ」


セルヴァンは深く溜息をつき、言葉を続けた。


「調査の結果、明確になった。これまでの敗北の要因は、兵の弱さでも魔物の強さでもない。ただ一点、『運用が弱すぎた』ことにある。君は、その空洞だった部分をたった数ヶ月で埋めてみせた」


その日の午後、王城の広間に全将兵が集められた。

王座の前に呼び出されたのは、華やかな鎧の騎士団長ではなく、汚れ一つない実務服を着た俺だった。


「雑務課、及びその責任者の功績を称え、本日付で同部署を『後方支援統括本部』へと格上げする。軍内のあらゆる物資、人員配置、進軍計画における承認権限を正式に付与するものである」


Shutterstock


どよめきが広がる。

それは事実上の、騎士団と同格、あるいはそれ以上の権限が「雑務課」に与えられたことを意味していた。

神官や貴族たちは顔を歪めたが、広場を埋め尽くした兵士たちからは、雷鳴のような喝采が巻き起こった。


式典の後、セルヴァン伯爵が個人的に俺に歩み寄ってきた。


「さて、これで君も男爵の位と、莫大な俸給が約束された。これからは城の上層階に執務室が用意される。出世おめでとう」


だが、俺は差し出された叙爵の書類に目もくれず、手元の在庫リストを捲った。


「いえ、伯爵。俺は今の場所で十分です。地下の方が冷えていて、ポーションの保存状態も管理しやすいですから」


「……本気か? 誰もが欲しがる権力と名誉を、君は捨てると言うのか」


「権力には興味ありません。俺が興味あるのは、この組織がどれだけ正確に、無駄なく回るか。それだけです。……あ、それから新しい部署名のハンコを早急に発注してください。前の『雑務課』のままだと、書類の形式が乱れますから」


セルヴァンは呆れたように笑い、肩をすくめた。

「……世界最強の組織を作る男が、一番の無欲とはな。皮肉なものだ」


勇者になれなかった俺は、こうして正式に、王国の運命を握る「裏方の支配者」となった。

肩書きが変わっても、やることは変わらない。

ただ数え、記録し、最適化する。

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