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勇者になれなかった俺、配属先の「雑務課」で世界最強の組織を作ってしまう  作者: 限界まで足掻いた人生


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第11話:数字を理解できない者たち

王城の謁見の間。そこは戦場の土の匂いも、血の焦げた臭いも届かない、清潔で停滞した場所だった。

俺が提出した「遠征成果の統計的分析と今後の運用案」を、大臣たちは鼻で笑いながら突き返した。


「正式に却下する。これまでの騎士団の栄光ある戦いを、このような得体の知れない数字で汚すことは許されん」


「……理由を伺えますか」


俺が冷静に問うと、中央に座る老臣が、さも当然のように言い放った。


「前例がない。それだけだ。我ら王国千年の歴史において、勝利とは勇猛さによって勝ち取るもの。事務方の計算で勝敗が決まるなど、聞いたこともないし、信用もできん」


彼らにとって、データは「真実」ではなく、自分たちの既得権益を脅かす「不気味な魔法」に過ぎなかったのだ。


だが、城の上層部がいくら目を背けても、現場の現実は残酷なほど明確だった。


「おい、次の偵察任務。雑務課の承認は下りているのか?」

「いや、騎士団本部が『そんな暇はない』と握りつぶしたらしい」

「……冗談だろ。あそこのチェックを通さない作戦なんて、自殺志願者のやることだ」


いつしか、兵士たちの間で合言葉のように囁かれるようになった。

「雑務課を通さない作戦は危険」


主人公が作成したチェックリスト、進軍ルートの最適化、交代制のシフト。

それらを採用している部隊と、従来通りの「精神論」で動く部隊。

その差は、帰還後の兵士たちの「指の数」や「生きて帰れる確率」に、はっきりと現れていた。


ある時、名門貴族の息子が率いる「伝統派」の部隊が、補給計画を無視して独断で進軍し、魔物の伏兵に遭って壊滅しかけた。

彼らを救ったのは、雑務課が独自に構築していた「緊急時予備物資」を即座に届けた、若手レオンの部隊だった。


「騎士団本部は『全滅は名誉だ』なんて言っているが、俺たちは生きて帰って酒を飲みたいんだよ」


救出された兵士が、俺に頭を下げながら吐き捨てた。

上層部は「前例」を守るために若者を死なせ、現場は「生存」のために雑務課を頼る。


王国の中心で、決して交わることのない決定的な亀裂が、音を立てて広がり始めていた。

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