第2話 物語のはじまり~アリスと俊也~
彼女の名はアリス・キンブリー
金髪碧眼をもっている16歳の少女
どっからどう見たって彼女はイギリス人だった。
しかし彼女には1つ問題があった。
彼女には15歳の春、以前の記憶がない。
彼女が唯一覚えていたのは自分の名前と出身地、あとなぜか『知識』だけは残っている。
だから日常生活にはあまり支障はでなかった。
学校にも普通に通える、だから次の年彼女は学級委員になった。
そんなアリスには記憶を失う前の彼女のことを知っている人はいなかった。
彼女は気がついたときには一人暮らしをしていたから家族はいないし、友達も知り合ったばっかりだ。
そんな彼女の過去を知っている人がようやく現れた。
彼女にとっては待ちに待った存在。
「まさか……アリス?」
「どうして私の名前を知ってるの?」
最初は人違いかと思った。でも彼には『何か』を感じた。他の人にはない『何か』を……
「僕だよ、俊也だよ。おぼえてない?」
「ごめんなさい。おぼえてない……です」
「でも君はアリスなんだろ?」
その言葉がなにかしら心に響いた。
たしかに私はアリス。
でも彼が言っている『アリス』とは違うと思う。
なんせ自分は記憶を失っているから、前はどんな性格だったかもわからない。
もしかしたらまったくの別人だったのかもしれない。
全く知らないからこそ彼を裏切ったような気がして少し申し訳なかった。
「……」
「ちょっと、俊也!アリスちゃんが困ってるじゃない」
「なんだよ、いきなり!かんなには関係ないだろ」
「それは、そうだけど!困っている人をほおっておけないの」
彼女……西条かんなは偉いと思う。
誰にでも救いの手を差し伸べる。
だから憎まれることも多いが全体的に彼女は好かれている。
もしかしたら、今抱えていることを彼女に全て吐き出したら少しは楽になるかもしれない。
彼女はきっとうなずきながら話しを聞いてくれる。
何度も聞こうと思った。
しかし現実はそんなに甘くはない。
聞いてもらおうと心に決める度に誰かに邪魔される。
そしていつの間にか聞くことを諦めてしまった。
「聞かれたくなかったことなんだよね?私でよかったら相談に乗るからいつでも言ってね」
軽々とこんなことを言えるなんて私には到底出来ることではないことだ。
だからってこんなチャンスはめったにない。
私が口をあけようとしたら……
「そんなこと言って僕には何にも相談には乗ってくれなかったじゃないか!」
また邪魔された。
しかも今度は私の記憶に関して重要なことを知っている人に……
やっと続きが書けました。
待っていた人ごめんなさい。
こんなものに付き合ってくださってありがとうございました。