はじめまして!再び再び
「はじめまして!うわぁー、やっぱりすごく素敵!私ずっと、ずーーっとアレックス様にお会いできる日を楽しみに、勉強も魔法も、えーと…やっぱり勉強も死ぬほど頑張って来ました!だから必ずアレックス様のお役にたって見せます!」
グラッセン様と呆然と首を傾げた日の放課後。本日は、わたしくしは殿下と帰宅し王宮に行く日の為、殿下の生徒会の仕事が終わるのを、いつもの様に図書室でお待ちしようと向かいました。図書室の扉を少し開けましたら、またしても聞き覚えのある声とセリフが…。
わたくしは、扉にはめてあるガラス部分から、そっと図書室内を見ました。
予想通り、大きな瞳をこれでもかと見開いた少女が、拳を振り回しながら、宰相様のご嫡男であるアレックス・ノーギル様に勢いよく話しかけていました。
「いや…、君、制服の胸元、血だらけですよっ⁈何があったんですか⁈」
いつも冷静なノーギル様が慌てております。ノーギル様ご安心ください。それは彼女の鼻血です。決して誰かの、何かの返り血ではございません。
ノーギル様…見知らぬ血だらけで、ニヤニヤしている少女にさぞかし恐怖を感じていると思われますのに、慌てても場所が図書室、必死に声を落として話されています。ご立派でございます。
普通は淑女たるもの、決してその様なお召し物が汚れた状態を他人に、いえ、身内であってもお見せする事は有りません。大失態ですから…
それと、やはりお名前!ここは、高位貴族であるわたくしが、しっかり注意させていただかなくては!
「貴方は、」
「ぐぅえっっ」
「バカ女が失礼した様で申し訳ございませんでした。お目汚しでしかありませんので回収させて頂きます。」
私が言葉を発すると同時に、またまた何処からともなく現れた黒髪琥珀色の瞳をした少年が、彼女の首の後ろの襟を掴んで連れ去ってしまいました。
「お目汚し?」がお目汚し断定に変わってましてよ?大丈夫でしょうか…色々な意味で?
「……。」
「何だったんだ?」
「何だったんでしょうね…」
無言のノーギル様。そして殿下いつの間にわたくしの背後に⁈生徒会のお仕事は終わりました?そうですか終わりましたか…ではそっと帰りましょう。ノーギル様は、図書室の椅子に座ったまま半分意識を飛ばしていて、わたくしと殿下に気がついていないご様子ですので。