【第9話】進路
この物語はフィクションです。実存する地名、人物、団体などと関係ありません。
倫理の授業中の楽しみは的場先生の恋愛の話だと思うんだよね。元カノの話が全て内容が特殊だなって。全員に浮気されるとかめったに経験しないよね。そんな先生もなんやかんやで高校で教師やってるって笑いながら言っていた。人生何があるか分からないとか夢は色んな形で自分に付いてくるとかそんな話をされた気がする。
将来の話をされてもうまく頭に入ってこない。進路について問われても、自分みたいに悩んでる子どもの手助けがしたいって考えしか浮かばない。その手段を考えてもカウンセラーとか声優とか小説家とか自分になれるだろうかと疑ってしまう。カウンセラーは国家資格があれば就職に有利って聞いてるけど、学校に来ているカウンセラーの先生に会いに行く人ってあまり見たことないなって。声優に関しては、声が資本になるのはもちろんなんだけど、自分よりも演技とか感情のノリ方とかがいい人がいたら挫折して苦しくなりそうだなって思う。小説家は、ラノベとか文豪の作品とかを見ると文才のない自分には難しいんじゃない?ってなる。自分すら信じられないのに他人とか自分の気持ちとかを信じられるかって話なんだよ。
これで何回目だろうか。今月だけでもう7回だし。気を抜いた瞬間、血出てくるとかどうなってんの。しかも今日2回目だし。体育祭終わってから確実に体調崩してるよね。昨日もなんかよく分からん液体が唾液腺?から出てきたし。あのアルカリ性っぽい液体何なん。親に言った方がいいんかな…。いや言っても意味ないか。言ったところでまともに取り合ってくれないのは目に見えている。前に眼球が黒ずんでたことを言ったとき適当にあしらってたのに、父親の時は病院まで行かせてたのを目の当たりにしたのを思い出してそう考えた。
こんなことが最近起こりすぎててちょっとむかむかしてる。
以前から我慢し続けてたけど、親は全然理解してないのは分かってる。地元でこのまま実家暮らししながら大学通うと、精神病むか人殺しそうで怖い。
9月26日6・7限に講演会があった。楽団の人達が来て、それを生徒達が聞くって感じ。結構有名らしいけど、生徒はあまり乗り気じゃないらしく自分のクラスの人のほとんどは単語帳や参考書を持って体育館に移動していた。もちろん宮瀬さんも。自分は聞くにしても聞かないにしてもどうせ眠くなるだろうから何も持って行かなかった。ピアニカと言われてもあまりピンとこないが、鍵盤ハーモニカなら分かる。多分同じものだよね。
正直、自分の想像力が足りなかったと思った。楽団を構成している人達は、音楽の世界で有名な人達らしい。しかも、音楽に明るくない自分でも良い演奏だったと感じた。あまり覚えていないが楽器の紹介の時、タンバリンの種類の豊富さやビートボックスとピアノを組み合わせていることなどに驚いた。ピアニカを演奏している人の話は意外と印象に残っている。
「小学生で使うピアニカを極めようっていう人ってあんまおらんやろ?やけん、これや!!って思ったんよ。」
「この演奏法に特別な技術は必要ありません。ピアニカさえあれば誰でもできるようになります。それを皆さんに教えます。息を吐くときに高速でトゥクトゥクトゥクって言うだけです。ね、簡単でしょ。」
「皆さん将来のこととか考えてる時期やと思います。将来ために何か行動しようと思ってるけど何もできない、あまり前に進めない。そーゆうこともあると思います。みんなが前進するために僕は言いたいことがある。一日一歩ずつ前に進んでいくのが大切なんよ。どんな一歩でもいいんよ。サイズとか関係なく一歩を踏み出すことが大事なんよ。今日は気分がいいから大きめでとか、今日は辛いからちょっとだけとかそんな感じでいいんよ。一日一歩ずつ進んでいったら遠いところまで行けるやん。」
ピアニカの演奏に関して言うと、魔術師を名乗るだけあるなと思った。ピアニカの技術は簡単らしいけど努力を感じた。




