【第1話】迷路
この物語はフィクションであり、登場する団体・施設・人名などは現実に存在するか分かりません。
あの人を見ているといつも目が眩みそうになる。あの姿を見ていると自分もそんな風になりたいという感情と共にその様な感覚に襲われる。あぁ、早く月がみにくくなってほしい。
高校生になったら恋に部活に勉強って感じでめっちゃ忙しくて…もうなんなんだろう。もっとキラキラしているものだとばっかり思っていたのに、そんな時間があんまりないし、この3年間碌に人と話してない所為で友達も全然いない…。こんな性格だからだよね。うぅ、ついつい過去のことを引きづってるからなんだけど、もう今更変えるのも難しいし…。
まぁ、別に私も恋してないわけでもないですし、いや、でもこれが恋かどうかは分からないんだけど…。この感情が何であっても大事にしたいな。なんて思ってたりしちゃったりなんて…。でもこれが叶わないことなんてとっくに気づいてるのに、どうしてまだ大事にしようだなんて思ってるんだろう。早く手放せば、誰も苦しまず楽に生きていけるのになんでそうしないのか。自分のことなのによく分からないことだらけだ。もう考えるのはやめよう。
学校の清掃も終礼も終わり放課後になった。早々に下校している生徒や部活に行く生徒が多くいる中、教室に残っている生徒も見受けられる。かくいう私もその一人だ。部活もあるのだが最近は行けていない。正直、人に接するのが少し怖いそれだけでなく、部室に足が進まない。それに対して教室では落ち着いていられる。ただ、1・2年の頃と比べて最近は、教室に残る人が増えた。基本的には、勉強の為に残っている人が多いのだけど、仲の良い人が複数人居る所為か大きな声で話している様子が多々見受けられる。まぁ、本人は楽しいだろうし、勉強を一緒にして効率化を図りたいと思っているのかもしれないけど、もう少し気を付けて欲しいなと思ってしまう。
こんなにも近くにいるのに遠くにいるように感じる。宮瀬さんはいつも残って勉強をしている。あの人の勤勉さは尊敬してるし、見倣いたいと思ってるけど、同時に少し行き過ぎてるような気もしたりするんだよね…。そこまで仲が良いという訳ではないけれど、あまり無理はしないで欲しいなって勝手に思うばかりだよ。宮瀬さんは先輩のことが好きだったらしいけど、告白はできないまま先輩が卒業してしまったみたいで未だに先輩のことが好きらしい…という話をなんとなく耳にした。そんな人に恋愛感情かどうか分からないものを抱いてるのは自分でも勝ち目がないことは気づいてる。けど、あんなに優しくしてもらってるのに好きにならない無茶振りだと思う。宮瀬さんにとってこの感情は迷惑以外の何物でもないだろうから、バレないようにするしかないだろうけど、少しぐらいは気づいて欲しいなんて我が儘だよね。やっぱり自分のことなのによく分かんなくなるし、矛盾ばっか抱えちゃって自分に対する疑心が芽生えてくる。
今日はここら辺までかな。もうすぐバスが来る時間だから帰る準備をしないと、宮瀬さんはいつも通り自転車だからまだ残るみたいだし鍵閉めてくれるよね。いつも遅くまで頑張ってるなぁ。邪魔しちゃいけないし、いつも通り挨拶はしないでおこう。教室から出て、礼をしたらすぐにバス停に向かう。バスが来る5分ほど前にいつも着いてしまう…。遅れるよりはましだけど。そういう時は、スマホを見たり、人に聞こえないくらいの声で歌ったりして待ってる。バス停に人が居ない時はついつい大きな声で歌っちゃうんだよね。歌うのは楽しい、感情を上手に動かせてる気がする。そうこうしてるとバスが来た。やっぱり人が結構いるけど、座席が空いてる。朝に比べたら大分少ないんだけどね…。
家の近くのバス停に着く頃には暗くなっている。最近、空を見上げても星を見ることができない。早めに帰った時はまだ明るかっり、今日みたいに7時すぎ辺りだと雲が出てる時が多々あったりしてちょっと悲しい。家に着くとまず手洗いうがいそしてお風呂に入る。お風呂に入るといっても最近は時間が足りなくてシャワーだけで終わらせちゃってて少しどうかなと思う。お風呂の間も好きな歌を歌ってる。好きな歌詞をリピートしてる。どのように歌えば、あの歌の意味や良さを知らない人にも伝えられるかを考えてはいるけど、私は上手くはないからなと思うことがある。事実だから仕方ない。最近、髪をドライヤーで乾かせてない。まぁ髪が短いから、タオルだけで意外と乾く。夕食は、家族は食べてるから1人で食べる。その後、食器を片付けて、リビングで撮っていたアニメを見ながら、ゲームをする。えっ?受験生としてどうなんだって?ずっと気を張らせても良くないと思うし、息抜きは大事だと思う。宮瀬さんは勉強の息抜きに勉強をする人らしい。そういえば宮瀬さんの友達が引いてたな…。11時頃には部屋に行って、予習をする。部屋といっているが実際の自分の部屋では無いし実際の部屋の方は縁側だからこれまた部屋では無い。とりあえずこの話は置いておいて、部屋というのは座敷で、そこには母親が信仰している宗教に関するものなどが沢山置かれている。そこに布団が敷かれていて、そのうえで予習をしたり課題をしたりしている。だらしがないとでも何とでも思えばいいよ。机だと集中しにくいけど、布団だと集中出来る上にすぐに寝れるからやりやすいという理由で癖になってしまっているだけなのだ。基本的には12時頃遅くて2時頃に就寝する。(スマホを見てたり使ったりして遅くまで起きてることもしばしばある)
朝になると朝はいつも通りギリギリまで寝てしまう。6時に目が覚めたり6時半に目が覚めたり遅くて6時40分に目が覚めちゃう。やはり家で朝食を食べる時間はなく、準備するのに時間をとられる。6時55分に家を出てバス停に行きバスを待つ3年生になってからは、少しは余裕が出来てるのである。どやっ。といっても、3分程だけどね。バスに乗ってる間は、寝てたり、単語テストの準備をしたりする。テスト期間中はテスト対策を考えることがある。それと、1・2年の頃にたまに宮瀬さんがバスに乗ることがあったから、宮瀬さんが乗るバス停を覚えてて居るかをついつい確認してしまうことがある。
学校前のバス停に着き、降りようとするもやはり人が多い為降りるのには少々時間がかかる。その後、教室に行く。普段教室は開いているが、偶に開いてないことがあり職員室に鍵を借りに行く。教室の自分の席に着くと、サブバックからお弁当入れを取り出して朝食を食べる。家で食べる時間がない私に母が毎朝用意してくれている。こういうところは素直に感謝している。偶に、たこ焼きが入っいることがあり、不思議な感覚になることがある。メインはサンドイッチ系だ。母は、調理師である為料理が上手だ。朝食を終えたら、予習をする。夜中にしてただろと思う人がいるかもしれないが、世間では頭が良いとか言われるような進学校では予習の量が多いので、2〜3時間で終わるような人はひと握りである。更に最悪なことに、私のクラスは特進と呼ばれており、頭が良い人達が集まっているクラスなのだが、何故か頭の悪い私が入ってしまっているという。何故だ何故私は、このクラスに入れているのだ!とまぁそんな疑問は置いておいて、朝のHRまで予習で時間を潰していることがしばしば…。考え事の所為で時間が潰れてしまうことがあるのも事実である。
この繰り返しが私の日々である。