レベル上げ
スロウを仲間にしてから三日後、俺達は再びダンジョンに来ていた。
今日もレベル上げをする為だ。
スロウのレベルを上げる為に、まずは雑魚モンスターを倒して貰っている。
その間に俺達が強敵を倒す。
それが最近のパターンになっていた。
ちなみにスロウはケットシーなので、見た目は白猫のぬいぐるみにしか見えない。
モフモフしていて気持ち良いのだ。
しかし、いざ戦闘になると、かなり強かった。
特にシャドウ・ウルフ戦では、俺達よりも遥かに多い数のシャドウ・ウルフを一人で倒してしまった程である。
最初はレベルが低いからと思っていたのだが、その後も次々と敵を殲滅していく姿を見ているうちに、レベル以外の要因があることに気付いた。
それは、どう考えても物理攻撃力が高過ぎることだった。
恐らくは魔法を使わない分、素早さや攻撃力が高くなっていると思われる。
それともう一つ気付いたことがある。
それは、スロウは気配察知能力に長けているということ。
スロウは相手の動きを先読みして攻撃を仕掛けていた。
そのため、敵の攻撃を殆ど受けずに倒すことが出来ていた。
この二つはケットシーという種族の特徴なのかもしれない。
それからスロウは召喚術を使って、自分の眷属を召喚出来るようになった。
俺達のパーティーメンバーが増える形となる。
スロウはケットシーの召喚士となったのだった。
「スロウ、そろそろ帰るぞー!」
『了解した』
俺はスロウに声をかけて、フローラの元へと戻る。
「スロウ、今日の調子はどうだ?」
『いつも通り絶好調だよ。ありがとう』
「そうか、それなら良かった」
スロウは笑顔を浮かべながら答える。
その表情からは、とても満足している様子が見て取れた。
『ところで、一つ相談があるんだが聞いてくれるかい?』
「なんだ?言ってみてくれ」
『実はね、もう少ししたら新しい仲間を召喚しようと思っているんだよ』
「なるほどな。それでどんな奴を召喚するつもりなんだ?」
『私はね、犬を召喚しようと思うんだ。狼じゃなくて普通の犬さ』
「ふむ……どうしてまたそんなことを思ったんだ?」
『私にとって一番馴染みのある動物だからかな』
「そうなのか……でもケットシーって猫じゃないのか?」
『まあね。だけど召喚するとなると話は別さ。それにケットシーは種族特性として、魂を宿すことが出来るみたいだしね』
「へぇ~そういうことか」
ケットシーには、他の種族にはない特殊な能力があるようだ。
「しかし、スロウの召喚術は凄いな。」
「確かにそうですね。」
「いやいや、僕だってまだまだだよ。召喚術は奥が深いからね」
「そうか、スロウは召喚術を極めるつもりなのか?」
「そうだね、最終的には全ての召喚獣を召喚して使役したいと考えているよ」
「それは大変そうだな……」
「そうだよ。召喚術は一朝一夕では身に付かないからね。長い年月をかけて努力していかないと駄目なのさ」
「なるほどな……」
スロウの召喚術に対する熱意はよく分かった。
スロウは召喚術に対して並々ならぬ情熱を持っているのだろう。
「よし、それじゃあ今日はもう引き上げるとするか。」
「はい。」
「了解した」
俺達は街へと戻り、ギルドで報酬を受け取る。
そして、そのまま宿屋に泊まることにした。
明日もレベル上げのためダンジョンに挑戦することになる。
明日の朝に備えて早めに寝ることにしたのであった。