初めての冒険
「これから、どこに向かうんですか?」
「とりあえず、冒険者のギルドに行きましょう」
「どうしてギルドに行く必要があるのですか?」
「冒険者は誰でもなれますので、登録しておくと何かと便利です」
「なるほど。じゃあ、早速行きましょう!」
「はい!」
こうして、俺たちは冒険者になるために、冒険者ギルドへと向かった。
しばらく歩いていると、大きな建物が見えてきた。
あれが冒険者ギルドだろう。
中に入ると、そこにはたくさんの人がいて、賑わっていた。
受付のような場所があり、そこに並んでいる列もある。
「ここは、依頼をする人と受ける人を仲介する場所で、冒険者が依頼を受ける時は、この窓口で手続きをしなければいけない決まりになっています」
「へぇ〜。そうなんですか」
「はい。では、私も並んできますので、少し待っていてください」
「わかりました」
そう言って、受付の方へと歩いていった。
それから数分後、戻ってきた彼女の手には2枚の紙があった。
「はい、これがあなたの分の依頼書です」
「ありがとうございます」
2枚のうち1枚は薬草採取。もう1枚はゴブリン討伐だった。
「あの、この2つって、難易度とかは違うんですか?」
「全然違います。薬草はFランクのもので、ゴブリンはEランクのものになります」
「そうなんですね。ちなみに、俺のステータスだとどれくらいの強さになるんですか?」
「ステータスは見なくても大丈夫です。だいたいの目安は分かりますので」
「そうなのですか」
「はい。それより早く行かないと、日が暮れてしまいます」
「それもそうですね。急ぎましょう」
急いで、街の外へと向かう。
街の外に出ると、そこは森になっていた。
「ここが、街の近くの森になります。ここで、必要なものを集めていきます」
「了解しました」
「まずは、薬草集めから始めましょう。薬草の種類は、これとこれとこれとこれで、あとこれですね。あまり魔物は強くありません。しかし、油断すると危険ですので気をつけて下さい」
「わかりました」
そこから、森の中を進んでいく。
5分程歩くと、前方に人影のようなものを見つけた。
「止まって下さい」
「はい」
「あそこの人影が見えますか?」
「見えます」
「あれは、ゴブリンです。まだこちらに気づいていないようですので、奇襲をかけます。試しに私が魔法で攻撃してみますね。」
「はい。でも、どうやって魔法を使うんですか?」
「それは、こうやるんですよ」
そう言い終わると同時に、魔法を発動した。
その瞬間、地面から無数の氷柱が現れて、ゴブリンに向かって飛んで行った。
そして、あっという間に倒してしまったのだ。
「す……すごい……」
魔法が発動するまでが早すぎて、全くわからなかった……。
「今回は、あなたの実力を見るためなので、私は手を出さず、見守っています」
「わかりました」
「頑張ってください」
「はい」
こうして、俺は初めての実戦に挑むのであった。
俺はゴブリンたちと向かい合う。
数は5対1だが、相手は格下。
1人で戦うなら、問題ないだろう。
「さぁ、行くぞ」
俺は、駆け出す。
まずは一番近くにいた奴からだ。
俺はそいつに飛びかかる。
「ギャウ!?」
驚いている様子だったが、すぐに反撃してきた。
爪を振り下ろしてくる。
俺はそれをバックステップで回避する。
続けて、右前足を振るってきたので、しゃがみこんで避ける。
そのまま、後ろ足を斬りつける。
「グガァー!!」
怒ったのか、大きく吠えた。
それと同時に、後ろに控えていた4体が同時に襲いかかってくる。
俺を中心に囲むように移動しているので、逃げ場がない。
このままでは、やられると思ったので、上にジャンプする。
「ガルルルル!」
「うぉっ!危ねぇ〜」
ギリギリのところで、攻撃をかわすことができた。
空中にいるので、身動きができない。
そんな隙だらけのところを狙ってきたのだろう。
一斉に飛びかかってくる。
「くらえ!」
咄嵯に影の刃を作り出して、振り回した。
「「「ギャアッッッ」」」
3体のゴブリンに命中したが、1体は避けられてしまった。
着地と同時に、最後の1体を斬る。
「ギャンッ」
見事に真っ二つになった。
「ふぅ〜なんとか勝てたか」
「お疲れ様です」
戦いが終わったのを見計らったかのように、フローラさんが声をかけてくれた。
「ありがとうございます。それにしても、凄いですね。まさか、たったの1撃で倒しちゃうなんて。正直、予想以上で驚きました」
「そうですか?自分的には、全然余裕でしたけど」
「いえ、それでも普通は厳しいですよ。特に、初めての戦いだったわけですし」
「そうなんですか?」
「はい。普通の人だと、最初の方では大怪我をすると思います」
「そういうことなんですね」
「はい」
「とりあえず、次のゴブリンを探しに行きましょう」
「そうですね」
それからも、俺たちは順調に進んでいった。