⭕ ホットドッグ毒殺事件
──*──*──*── 2階・寝室
オレは今、デジタルTVを見ている。
マオキノが用意してくれたスイーツを片手に、ソファーに腰を下ろしている。
放送されているのは、公園で起きた【 ホットドッグ毒殺事件 】関連だ。
屋台の主人は公衆トイレの中で殺害されていて、ホットドッグの屋台でホットドッグを買って食べた御客──28名が毒物摂取で公園で倒れたんだ。
運悪く公園で亡くなったのが4名、残りは病院へ緊急搬送されるも21名が搬送途中,搬送先の病院で死亡したそうだ。
生き残っているのは3名だけど、危険な状態らしくて明日を迎えらるか厳しい状態らしい。
マオ
「 …………一体何を盛られたんだろうな?
今夜が峠みたいだし……。
犯人は無差別殺人でもするつもりだったのかな? 」
セロフィート
「 どうでも良いです 」
マオ
「 セロぉ~~~~!
そんな事、言うなよ…。
近所の公園で起きた事件なんだぞ! 」
セロフィート
「 毒入りホットドッグを食べてもマオは死にませんし、ビクビクする必要ないでしょうに 」
マオ
「 うぅ……それは…そうだけどさぁ……。
あの公園で売られてたホットドッグ、美味かったんだよ。
オレ、ファンだったのに……。
………………セロ……オレ、こんな事を仕出かした奴を許せないよ!
犯人はオレの楽しみを奪ったんだ!
とっ捕まえて、同じ目に遭わせてやりたいよ!! 」
セロフィート
「 ホットドッグが食べたいならセノコンに作らせます 」
マオ
「 セぇロぉ~~~~!
オレはホットドッグの恨みを晴らしたいんだ!
セロなら刑事よりも早く犯人探し出来るだろ!
頼むよ、セロ! 」
セロフィート
「 知った事ですか。
ワタシは忙しいです 」
マオ
「 何処が “ 忙しい ” んだよ!
“ 忙しい ” の意味を辞書で引いてみろ!
紅茶飲んで寛いでるだけだろが!! 」
セロフィート
「 アフタヌンティーは大事な── 」
マオ
「 夕食後じゃないか! 」
セロフィート
「 はいはい。
──今回の【 ホットドッグ事件 】に使われたのは、農薬です 」
マオ
「 えぇっ?!
幾らなんでも特定が早過ぎないか? 」
セロフィート
「 事件の真相を知りたいのでしょう?
家庭内菜園やガーデニングをしている家庭では農薬を使います。
家族ならば簡単にくすねる──調達し易いです。
水で薄めた農薬をホットドッグのパンに塗り、具材── 炒めたキャベツ,ウインナー ──を乗せ、チャップをかければ特製ホットドッグの完成です。
作り置きしていたのでしょう。
マオが食べていたホットドッグは、パンの白い部分が焼かれてましたけど、今回のホットドッグは焼かれてません。
犯行動機は不明ですけど、事件を起こしたのは高校生です 」
マオ
「 高校生??
この島国では高校生が無差別殺人を起こすのかよ? 」
セロフィート
「 マオ、此処は天下の犯罪都市、米●町ですよ。
未成年の学生も事件を起こします。
4日前にも家族を殺す練習をする為に赤の他人を刺し殺した高校生が居たでしょう? 」
マオ
「 た、確かに居たな…… 」
セロフィート
「 幼少時に両親から虐待を受けていて、児童相談所へ助けを求めたのに保護してもらえず、実家に連れて行かれた事を恨んでいた高校生が児童相談所に放火をした事件もありました。
逃げ遅れた児童相談役員の8名が亡くなりましたね。
クラスメイトからの陰険で陰湿で行き過ぎた過激な虐めに耐えられなくなった高校生が、ネットで購入した拳銃を使い、首謀者と取り巻き達を次々に撃ち殺した事件もありました 」
マオ
「 あったな~~~~ 」
セロフィート
「 生活指導の教員に猥褻な事を強要されていた女子高生が、教員を刺し殺した事件もありました 」
マオ
「 確か……生徒に猥褻な事をしていた生活指導の教員は日教祖──とか言ってたよな?
被害者は女子高生だけじゃなくて、男子高生も居たとか… 」
セロフィート
「 犯罪都市ですし、未成年も事件を起こします。
今に始まった事でもないでしょう。
中学生でも事件を起こしてますし 」
マオ
「 そ……そうだな…。
中学生と言えば、給食中に牛乳を頭から掛けられた生徒──被害者が、ブチ切れて加害者の生徒を窓から突き落とした事件があったよな?
牛乳を頭から掛けられた被害者は、普段は大人しい生徒だったとか。
加害者は死んではないけど、長い病院生活をしないといけなくなったとか…… 」
セロフィート
「 一部の生徒達が、牛乳を掛けた加害者の生徒が、自分から窓へ走って飛び降りた──と証言しているようです 」
マオ
「 いやいやいや、人の頭に牛乳をブッ掛けといてさぁ、窓から飛び降りるって──。
それも自分から??
何でそんな訳の分からない奇行をしたんだろう? 」
セロフィート
「 夏休み前の事ですし、暑かったのでしょう?
夏に入ると頭のおかしい輩が増えます。
奇行に走る人間が居てもおかしくないです。
それに当時は受験生だったとか 」
マオ
「 あぁ……お受験ストレスか。
そう言えば、お受験ストレスで事件を起こす子供って増えてるんだってな~~~~ 」
セロフィート
「 この島国では幼児から、お受験が始まっているようです。
お受験ストレスで事件を起こす子供の年齢は年々下がって来ているようですし 」
マオ
「 犯罪を犯すのは、今や大人ばかりじゃないって事かよ 」
セロフィート
「 両親から過度な期待を受けて、お受験に取り組んでいた小学生が、両親の就寝中に自宅へ放火した事件もあるぐらいです。
行き過ぎたお受験は、弱い子供を追い詰めてしまいますね。
自宅に放火した子供は、愛犬を抱き抱えて歩いていた所を保護されたそうです 」
マオ
「 両親は見殺しにしてもペットは助けたんだな… 」
セロフィート
「 子供にとっては、愛犬だけが心を癒してくれる存在だったのでしょう 」
マオ
「 小学生が受験に耐えられず自宅に放火か。
米●町って本当に物騒だよな。
実は放火率も高いんじゃないのか? 」
セロフィート
「 高いでしょうね 」
マオ
「 ──で、【 ホットドッグ毒殺事件 】の犯人も高校生……。
何でホットドッグなんだよ!!
腹が立つったらないよ!!
セロ、その犯人の高校生は何処に居るんだよ? 」
セロフィート
「 もう死んでます 」
マオ
「 へ?
死んでる??
どゆこと?? 」
セロフィート
「 自宅のリビングでホットドッグを食べて死にました 」
マオ
「 はぁ??
水で薄めた農薬をパンに塗ったホットドッグを自分で食べたって??
な、何でだよ?!
何で……死ぬのが分かってるホットドッグを態々食べるんだよ!! 」
セロフィート
「 ワタシが知るわけないです。
他にも公園の屋台で買ったホットドッグを帰宅してから食べた者も居るようですし、完全犯罪を狙ったのかも知れませんね? 」
マオ
「 …………セロの起こしてる【 尻牛蒡事件 】に感化されて、真似して完全犯罪を目論んだ──とか!? 」
セロフィート
「 マオ──、1人で死ぬのが嫌だから、無関係の人間を巻き込むような事件を起こして、死ぬ人間も居ます。
同士を集めて集団自殺を目論む輩も居るぐらいですし、ワタシが起こす事件とは無関係です。
一々関連付けないでください 」
マオ
「 分かったよ…… 」
セロフィート
「 犯人の高校生は加害者としてではなく、被害者の1人になるように考えた上で自殺したのでしょう。
残った両親に迷惑を掛けないように足りない頭で考えたのかも知れませんね 」
マオ
「 警察はさ……【 ホットドッグ毒殺事件 】を解決させれるのかな? 」
セロフィート
「 難しいでしょうね。
誰かが誤認逮捕されて事件に終止符が打たれるのを楽しみにしましょう 」
マオ
「 誤認逮捕は駄目だろ?
犯人は分かったんだから、何かしらの手掛かりを警察に残してやろうよ 」
セロフィート
「 はぁ?
ワタシが其処迄するギリはないです。
この話は終わりです。
良いですね、マオ 」
マオ
「 ………………手口や犯人が分かったのに、モヤモヤするよ… 」
セロフィート
「 事件とはそういうものです。
迷宮入りの未解決事件が1つ増えましたね♪ 」
マオ
「 嬉しくないよ…… 」