表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/20

六朝元老3話不定愁訴外来


六朝元老3話不定愁訴外来



1週間後。

能登島の作業車は、鳥取県の鳥取砂丘にいた。マッケイン少将から、TACー50スナイパーライフルの日本国内使用許可証明書を渡すと連絡が有り。待っていた。

例によって、ブラックホークが現れ通信筒を落として飛び去った。


「凄いな。使用を許可する。警察庁長官鴨島日富美。公安委員長柘植久比呂」

見た目は卒業証書で墨文字。

高城は覗き込んでいる坂井に証明書を渡した。

「事実上の、ライセンス オブ キル。殺人許可証です」

坂井は証明書の一行を指差した。

「使用は対許湖岳(シーフーエ)に限る。つまり、流れ弾が誰かに当たったら逮捕。使用に際して、この証明書を携行し、求められた場合には提示する事?こんな、かさ張る紙持って戦えって?」

能登島は笑って言う。

「ジェームスボンドとイーサンなら、脚本でボツ。ジョニーイングリッシュなら、受け取った帰り道でゴミ箱に捨てる。高城麟太郎は?」

高城は、エビスビールを冷蔵庫から取り出して答えた。

「携行が法令なら守りますよ。相当無理して出してくれたんでしょう。その苦労は尊重しないと」



通信筒には梱包材で包まれた物も入っていた。

「脳無線ランルーターを付けてくれ……六朝元老からの招待状がきてる」

能登島はUSBメモリーを流体コンピューターのスロットに入れた。

空中にシーフーエが浮かんだ。背景は車の中のようだ。左眼が黒くアザになっている。

……高城。上半身脱がしちゃったけど?風邪引いてない?あなたは想像通り期待通りの狙撃手ね。左眼に当てられるのはあなただけ。右ストレートでも。それで?次は本気出してくれるみたいね。ジバンシーのオードモアゼルやらiPhoneじゃなくて、TACー50を使ってくれるんでしょ?嬉しくて死にそう。それに応えないと……次の招待状は、3人。宮家光樹(みやけこうき)尾木勇夫(おぎいさお)尾木和子(おぎかずこ)

久万山で待ってるわね。


「高城?誰なんだ?」

「高校の先輩と定食屋のご夫婦です」

「避難させよう……」

高城は能登島の手を抑えた。

「久万山は、子供の頃からの遊び場です。シーフーエはミスを犯した。敵スナイパーの故郷で戦うな。2017年6月イラクで3450mを撃ち抜いたカナダJTF2狙撃兵の言葉です」

高城は、高知市東久万地区の産まれだった。




宮家光樹(みやけこうき)は、上町の上町病院に新しく開設された¨不定愁訴外来¨の担当医。

高城が産まれた東久万に対して、西に位置する西久万産まれ。実家に母と妻、子供2人と暮らしている。

高城の土佐高校の先輩。部活動は全国大会に出るレベルだが、二人とも部活に馴染めず一年生で登山部を退部。二人で帰宅部を私的に設立。他校の生徒ら20名で久万山でサバイバルゲームを始めた。陣地や塹壕を構築し久万山を要塞化した為、¨安城寺山城跡保存研究会¨と¨高知市教育委員会¨によって補導された。


その後。宮家は医者を目指し、高城は陸上自衛隊に行った。

帝都大学病院の医局に馴染めず、病院を辞め高知に帰り、転職先を探している時に上町病院の¨不定愁訴外来¨に迎えられた。

この仕事は宮家に合っていた。様々な病気や事情を抱えた患者の話を聞くのが仕事だ。回復する人だけでなく、亡くなる人もいる。寄り添うだけでなく、厳しくする事も有る。不定愁訴外来が開設されてから、医療事故や訴訟が激減し、患者数は県内1になり、赤字は黒字に転じた。

開設前は、¨お荷物苦情窓口外来¨と影口を叩かれたが、花形部署に。実家を建て替え、トヨタのタンドラ テスラスポーツとフェラーリ、ハマーを所有している。


不定愁訴外来は、17時まで。

宮家は時計を見た。

インターホンで、患者が居ない事を確かめる。

立ち上がって白衣を脱ごうとして、診察室の入口に女性が立っているのに気付いた。

入口にはカーテンが有り、揺れれば気付くはずだが………。

「すいません。気付かなくて。座って下さい」

「診察時間は終わりですが?よろしいですか?」

「かまいません。時間外でもお受けする事は、日常です」

女性は丸椅子に座った。左眼は充血し、周囲が黒く内出血している。

…DVか…

宮家は、女性を観察する。

ベリーショートの髪。伸縮性のあるピッタリとした暗色のパンツルック。靴はヒールの無い黒のブーツ。瓢箪型のギターケースを右肩に掛けている。薄化粧……。

…バンドマン系DVにしては化粧が薄い…

「どうされました?」

「殴られました」

「どなたに?」

「高城麟太郎に…」

??????????ミヤケ先輩は女性を見詰めた。








 







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ