六朝元老2話その2
六朝元老2話その2
チャーリーは、明治記念絵画館の角池の駐車場に作業車を停車させていた。
能登島は、高城の動きを追っている。
「普通。あの速度で動く物には照準すらできない。予測しての置き撃ちが、1m以内の至近弾なんてあり得ない」
坂井は呆れている。
能登島は立体地図を拡大して縮小する。
「シーフーエは、行動不能を狙ってる。足を止めたいんだろう。高城は知ってて足を守る機動をしてる。焦ってるだろう当たらないからな」
「逆に。高城は東京体育館の屋根にシーフーエを追い込んでいるのか!」
「東京体育館の屋根に登ったら、シーフーエの負け……だが、そう簡単にはいかない…んっ?」
「能登島さん。どうしました?」
「シーフーエから、ラジオコントローラーの電波が出てる…」
「ドローン?」
「ドローンを飛ばせば、警備のドローン班に撃ち落とされる…」
能登島は立体地図の、青山通りとスタジアム通りが丁字路になっている部分を拡大した。
「クレーン車……こいつをシーフーエが?」
試合は0ー0のままハーフタイムに入った。
メインスタンドのVIP席に、八起き亭の尾木夫婦は登って行く。おじちゃんが先導し、おばちゃんは¨スイーツ仕立ての一口稲荷寿司¨をお盆に持って付いて行く。
おじちゃんが説明し、イギリス大使が稲荷寿司を口に入れて、空を指差した。
SPが人間の楯を作る。おじちゃんもおばちゃんも振り返る。
屋根の中央丸く開いた部分に、クレーンの先が見えている。その先端に2人の人影が小さく見える。
揉み合っているようだ。
SPが囲みながら、VIPを退避させて行く。
1人が屋根に飛び移り、もう1人が追う。
クレーンの先が動き…消えた。
2人は死角に入り見えなくなった。
「片方は麟太郎に見えたね?」
「あ~ありゃあ麟太郎だ。あんなとこで。揉めるか?普通」
二人は極度の遠視だった。
シーフーエは、クレーン車を移動させメインスタンド側の屋根から跳躍した。
ライフルも拳銃もジバンシーで崩れて無い。クレーンのブームを縮めながら降ろし、なおかつクレーン車を発進させた。
高城は届かないと判断して諦めた。
能登島が要請したらしい、UHー60Lブラックホークが回収に現れた。
もう4機のブラックホークが、クレーン車を追って行く。
高城は神奈川県のキャンプ座間で降ろされた。
指令部に案内され、マッケイン少将が待っていた。
「タキ。ブジでなによりだ」
日本語が上手くなっている。
高城は光学迷彩も生体筋細胞タイツも上半身無くなっている。
「シーフーエは?」
マッケイン少将は、湯気の出るマグカップを高城に渡した。
「クレーンシャは、ワラビシのキタマチコウバンにツっコンんでトまった。ムジンで、シーフーエはショザイフメイだ」
「試合は中止ですか?」
「シーフーエがツカまるまで、イベントはカイサイできない」
「捕まえます。マクミランTACー50の日本国内使用許可をお願いできますか?」
「なんとかしよう。オッてレンラクする」
高城は指令部を出た。