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序章
記憶、それは刻まれし足跡…
記憶、それは新たな未来への道標 …
記憶、それは結ばれた証し…
あたたかい
これは? 光なのか?
混濁した意識の中、ぼんやりとして彼は目の前にある何かに手を伸ばしてみた。
そこにはなにもなく、ただあたたかいもの、細かな霧のような光を帯びた粒子が燦々と彼の頭上から降り注いでいるようだった 。
…レイ アムール シンザー そうか…誰もいないのか…
ハウトは、ゆっくりと傷ついた身体を起こした。あたりを見回して、そうつぶやいた後、2、3回頭を振った。
彼は白金に輝くオリハルコンの鎧を、ひとつ、またひとつと装備を外しながら、前方の大きな壁へと傷ついた重い足をひきずりながら一歩、また一歩と、ゆっくりと歩いていった。
「高いな。そして、なんとも厚い。偉大な世界樹よ…彼はその手で神樹セインデリアに触れた。」
ーさあ、記憶を呼び覚まそうー
神々しい光がレースのカーテンのように大きく、優しく受け止めるように広がり、そして彼は包まれていった…