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第8話  討伐令⑤…と、今後の事。

よろしくお願いします。。


 朝食を済ませ、私は自室に籠った。婚約、貴族の義務だ。あの方なら特にひどい生活にはならないだろう。けれど、何かを知っている顔…あれを思い出すと私は気が重くなる。


 不穏すぎて会いたくないっ…!


 私はベットでジタバタする。そこにノックをし、セレーネが現れる。


 「お嬢様、お手紙《《です》》。」


 ピクリと反応してアーリアは体を起こした。これが私たちの合図だ。セレーネは普通のお手紙が届いた時は「お手紙が届きました。」という。けれど、女神に関しての報告の時は「お手紙《《です》》。」というのだ。


 「アリスからの報告ですが、問題はなかったという事です。昨日の件はまだあまり広まっていないようです。騎士団がまだ一般向けに情報公開が出来ていないからでしょう。」


 「…ん。了解。」


 「…髪の毛、やり直しましょうか。」


 私が暴れたせいでせっかくセットしてもらった髪の毛がぐちゃぐちゃになってしまった。私はのそりと起き上がると、鏡の前の椅子に座る。セレーネは後ろに回って私の茶がみががった黒の髪をとかす。


 「お嬢様の髪色は亡くなった奥方様によく似ていると聞きますが、そうなのですか?」


 セレーネは私の母にはあったことは無い。彼女がここに来たのは亡くなったすぐ後だった。


 「うーん…まあ、似てるっていうか…同じだよね…。だってお父様金色だし。」


 「確かに。」


 「あはっ、じゃなきゃお母さま不倫してるじゃない」


 私は珍しく昼間から態度を崩したセレーネにつられて、令嬢としての自分のことを考えていたのを忘れてただ笑っていた。


 「元気になりましたね。さ、これからについて少し話しましょう。」


 「ん、ありがと。」


 元気づけてくれたことと髪の毛のこと、両方の俺を言って私は席を立った。セレーネはお茶を入れてくると一度出て行った。


 私はアリスのことを思い出した。彼女はこの家の針子で、メイドから私たちまでみんなのものを作ったり、繕ったりしてくれる私よりいくつか年上のの少女だ。けれど、私と体格が似ているので私が魔物討伐に出ている間、カツラをかぶって私の身代わりをしている。彼女が問題ない、というのは誰も来なかったし屋敷にも異常はなく、バレなかったということだ。私はソファーに移った。


 そこで、セレーネがお菓子と紅茶を持ってくる。私とセレーネは向かい合わせになって座り、会議を始めた。


 「今後の事なのですが、魔物が人の暮らす範囲にまで現れることが増えました。そして、それらすべてがブーストがかけられている…明らかに人為的です。」


 「そうよね…。魔物は魔界に返せば良いだけだもの…殺す必要性もないしブーストしてなければ能力も低いし、性格だってそこらの飼い猫より大人しいし…。そんな彼らを暴れさせて何か利益を得る人がいるという事でしょう?」


 「愉快犯…ということは?」


 「それなら自分で殺らない?」


 「たしかに…流石、令嬢とは思えないほど物騒な思考…」


 今回の話し合いは長引いた。ただ現れた魔物を魔界に返す…それを繰り返しているだけでは埒が明かない。こちらも狙われるかもしれないし、公衆の面前でバレるにしてもタイミングというものがある。良い方向に理解してもらえるようにしないといけない。それも含めて今後を考えなければならなかった。


 「隣国では昔から魔獣が現れましたが、襲われる件は数えるほどで、あった瞬間襲ってくるようなことは無いようです。」


 「えぇ??つまり…?80年前に突如現れ人里に現れては問答無用で暴れることらが異常だと?そういうこと?じゃあ、隣国の彼らは幾分か魔獣に関しても知識が先行していると考えていいの?」


 「そういう事じゃないですか?名前なんかもついているらしいですよ。」


 「ねぇ…騎士団に入らない?」


 「…は?」


 セレーネは心の底からの真顔で私を見つめる。心底理解できない顔をしている。ただ、主人の自信に満ち溢れた顔を見て何があっても強行されることだけは悟った。

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